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『Stray 2 ~嫉妬と決意~』 34KB 観察 不運 日常模様 都会 現代 2話 かすがあきです。 注意 anko4465 Stray 1 ~れいむは地域ゆっくり~ の続きです。 「」はゆっくりの発言です。 『』は人間の発言です。 死なない ゆっくりがいます。 Stray 2 ~嫉妬と決意~ 両親が死んだ翌日、れいむはいつもと同じで掃除をしている。 「ゆぅ…………きょうも ごみさんが いっぱいだよ………」 れいむが暮らす公園は駅と繁華街と住宅街が隣り合っているため、ゴミが多い。 特に夏場は食べ歩きで容器類が不法投棄されたり、花火のなどでゴミが多い。 れいむは暑さを我慢しながら、汚い舌でゴミをゴミ袋へ入れていく。 「ゆ!…………ゆぅ………まただよ……」 掃除をしている れいむの顔が暗くなる。 れいむの視線の先には、所々焦げた小さな饅頭が4つと、黒いとんがり帽子を被った、やはり焦げた大きな饅頭が1つ。 その側で、汚いリボンをつけた大きな饅頭があった。 「この おかざりさんは はじめてみるから むれの ゆっくりじゃないね。」 れいむの言う通り、この饅頭たちは群れに所属していない ゆっくりの遺体である。 「ゆっくりごめんね。」 れいむはそう呟いてから赤ゆの遺体を咥え、ゴミ袋にいれる。 そして、所々黒く焦げている まりさの遺体に歯をあて、小さく千切っていく。 成体ゆっくりの遺体をそのままゴミ袋にいれるの事はゆっくりの力ではできないからだ。 「……ゆっぷ……こげてても……やっぱり くさいよ…… ゆっくりできないけど、がまんだよ………ごめんね、まりさ…… おぼうしも いっしょに すてさせて もらうよ……」 見ず知らずの ゆっくりとはいえ、同族の遺体を噛み千切る事は辛い。 れいむは押し寄せる吐き気と戦いながら、掃除を続ける。 ------ 昨晩、れいむがダンボール箱の中で泣きつかれ眠っている頃、 公園の中心部では若者2人が花火で遊んでいた。 - ッヒューー………ッドーーン!! 「ゆわぁ~~。とっちぇも きりぇーなのじぇ……」×2 「ほんっちょうだね!まるで れいみゅ みちゃいだよ!」×2 「ゆぷぷ。ほんっとうだね、おちびちゃんたち。とっても ゆっくりできるね。」 始めて見る花火に赤ゆっくり4匹(姉れいむ・姉まりさ・妹まりさ・妹れいむ)と れいむが喜ぶ。 笑顔の家族を見て、まりさが ゆっくりとした気持ちになる。 「よかったのぜ。みんなが どれいの もてなしに よろこんでいるのぜ。 これも すべて まりさが さいっきょう だからに ちがいないのぜ! くそにんげんを どれいに できて さいっこうに きぶんが いいのぜ! ゆ!さいっきょうの まりさは ごはんさんを むーしゃむーしゃするのぜ! むーしゃむーしゃ……っしあわっせー!!」 「ゆ!まりさだけ ずるいよ!れいむも もっともっと むーしゃむーしゃするよ!」 「まりちゃ(れいみゅ)もするーー!!」×4 一家は透明な箱の中で駄菓子を食べてより幸せになる。 『ははは、見ろよコイツ等。幸せそうな顔してるぜ?』 缶ビール片手に青年が笑いながら言う。 『いいじゃない。最後の晩餐なんだから。 安くい菓子だけど、生ゴミよりはご馳走でしょうし。』 女性が青年から缶を奪い取りながら言い、ビールを一口飲む。 『まっずーい。やっぱりビールは私の口にあわないわ。』 『リキュールも買ってあるからそっちを飲めばいいのに。 よし、ロケットは終わったから そろそろ手持ち花火にするか。』 「おそらとんでりゅみちゃい!!」 ロケット花火がなくなったのを確認した青年が姉れいむを持ち上げながら言う。 「おねーちゃんずるいのじぇ!!」×2 「れいみゅも!れいみゅも!!」 浮遊感を楽しむ姉れいむを見て、残りの赤ゆっくりたちが自分にもしろと騒ぐ。 「ゆぷぷ。おちびちゃんたち、だいじょうぶだよ。 おとーさんに めいっれいしてもらって たかいたかいを たのしもーね。」 「ゆっくりまかせるのぜ。おい!どれい!! ほかの おちびたちにも たかいたかいを するのぜ!! さっさと しないと この せいっきょうの まりささまが せいっさいするのぜ? ゆあぁ~?きいてるのかぜ?」 まりさが勝ち誇った顔で言う。 この一家、裏路地でゴミ漁りをしながら生活をしていた野良一家である。 ゴミ漁りをして生きている野良ゆっくりは人間との力関係を理解し、卑屈な個体が多い。 しかし、餡子脳のため、 親がどれだけ人間の脅威を教えても理解できずに人間にケンカを売り、殺される子ゆっくりも大量にいる。 が、中には運だけで生き残り、成体まで成長するバカもいる。 まりさと れいむは運だけで生き残り、結婚し、子供までつくった個体である。 子供が生まれ、立派な家が必要→人間の家でお家宣言をしようという発想から、 夕方、虐待派の青年の家(公園の近所にある学生向けアパート)でお家宣言をした愚かな個体である。 人間の家で、それも虐待派の人間の家で お家宣言をしたのだ、もはやこの ゆっくりたちに命はない。 姉れいむは透明な箱(ビックサイズ)に入れられる。 「ゆ!もっちょ れいみゅは おそらを とびたいよ! さっさとしてね!すぐで いいよ!!」 地面に下ろされたことが不満な姉れいむが青年に向かって叫ぶ。 『ねぇ、れいむ。れいむってさ、花火好き?』 リキュールが入った缶を片手に女性が尋ねる。 「ゆ?はなびしゃん?すきだよ!はなびしゃんは とっちぇも きりぇーなんだよ! まるで れいみゅ みたいに きりぇーで れいみゅ、はなびしゃんが だいっすきだよ!」 『そっか。それじゃぁ、れいむに花火を見せてあげるね。』 『ほい、火……』 ビールを飲みながら青年がライターを女性の手元に近づける。 手には、花火が握られている。 -ッジュッボ………ッシューーーー!!! 花火から勢いよく火が飛び出る。 「ゆっわぁーー!!ちょっちぇも きりぇーだよ!!」 『でしょ、もっと近くで見せてあげるね。』 「ゆ!なかなか きが きく ばばあだにぇ! ちょくっべつに どりぇーに してあげるきゃら かんしゃちてにぇ!! おれいは あみゃあみゃでいいよ!とくもりで いいよ!!」 額に青筋を立てながら、女性は花火を透明な箱の中にいる姉れいむにゆっくり向ける。 「ゆわぁーー!!れいみゅ みたいに きれ っぎゃぁぁああ!!! ああ!!っあじゅいぃいいいい!!!」 火花が姉れいむの汚い身体にかかり、姉れいむが絶叫をあげる。 『お!喜んでもらえてなによりだ。ほら、もっと花火を見せてやるからな。』 青年が女性の花火の側に別の花火を近づける。 -ッジュッボ………ッシューーーー!!! 青年の持つ花火に火が燃え移り、姉れいむ目掛けて勢いよく火が飛び出る。 「っあじゅいぃいい!!だっだじゅげ!! っゆっぎゃぁぁああ!!!!だじゅげでぇええ!!おぎゃぁじゃぁぁあん!!!」 姉れいむは絶叫をあげながら透明な箱の中を必死に跳ねる。 が、ビックサイズとはいえ箱の中だ。逃げれる場所などない。 「おぢびぃいいい!!」 「おぢびじゃぁあん!!」 まりさと れいむが姉れいむを助けようと透明な箱の中で跳ねているが無駄な努力である。 「っゆっぎゃぁああ!!!あ!!!あじゅいぃい!!めぇぇええ!!!めぎゃぁあああ!!! っめっぎゃぁああああ!!!!っだ!!だじゅげじぇぇええええ!!!あっじゃぁあああ!!!」 眼に火花が入ったようで、姉れいむが一際大きな絶叫をあげる。 『ほら、お前も楽しめよ。』 「おそらとんでりゅみちゃい!」 青年が姉まりさをもちあげ、姉れいむの入った透明な箱に近づける。 「やめりゅのじぇぇえ!!あ!あそこは ゆっくりできないのじぇぇえ!!」 姉れいむと同じ所に入れられることを察した姉まりさが叫ぶ。 『そっか、いやなのか。じゃぁ まりさはあの箱の中にいはいれないよ。』 青年は姉まりさの要望を聞き入れた。 『でも、その代わり、帽子をいれておこう。』 「まりちゃの おぼうちぎゃぁあああ!!!」 笑顔の青年は、姉まりさから帽子をとりあげ、帽子を透明な箱にいれる。 「あじゅいぃいい!!あじゅぃぃいい!!だれぎゃぁあ!!れ!れいみゅをたちゅけちぇぇぇ!!! っゆ!!お!!おぼうちじゃぁあ!!」 透明な箱の中で、姉れいむは黒とんがり帽子を見つける。 「こ、この おぼうちを かぶれば げすな はなびしゃんから にげれりゅよ!! ゆぷぷ!!れいみゅったら かちこしゅぎりゅよ!!」 姉れいむは笑いながらそう言い、姉まりさの帽子を被る。 ちょうど花火の勢いが弱まったこともあり、姉れいむは火の脅威から一時的に逃れることができた。 「ゆぷぷ。もう げすな はなびしゃん なんて こわきゅないよ! こうっさん したら さっさと あまあまを もってきてにぇ!ときゅもりでいいよ!!」 勝利を確信した姉れいむが笑顔で宣言をする。 そんな姉れいむに、姉まりさが泣きながら叫ぶ。 「かえちゅのじぇぇえ!!まりちゃの おぼうちをぉお!!」 「ゆぴゅぴゅ。なにいってりゅにょ?ばかなにょ?あほなにょ? おぼうちしゃんで れいみゅは てっぺきの ぼうぎょを てにいれちゃんだよ! だめに きまっちぇるでしょ! そんなことも りかい できないにゃんて、おぼうちの ない げしゅは なんて おりょかなにょ? おお、おりょかおりょか。」 「ゆっがぁああ!!がえじぇぇええ!!」 姉まりさは飛びかかろうとするが青年に握られており、動くことができない。 『お、中々意外な行動をとったな。この れいむ。』 『本当ね。でも、そのおかげで楽しめそうよ。』 女性が新しい花火に火をつけながら笑顔で言う。 -ッジュッボ………ッシューーーー!!! 花火から勢いよく飛び出る火が帽子にあたる。 「ゆぴゅぴゅ。むだだよ! れいみゅには おぼうちが あるから はなびしゃんは こわきゅにゃ…… っゆっぎゃぁああ!!あ!!あぢゅいぃいI!! ど!どぼぢじぇぇえ!!??どぼじで おぼうじを がぶっじぇりゅのにいぃい!!??」 帽子のおかげで火の粉からは身を守れても熱からは身を守ることはできない。 女性は花火を帽子のリボン付近に近づけ、帽子に火をつける。 「っゆっぎゃぁああ!!!ああ!!ああああああぁああ!!!!」 頭部からの熱に姉れいむが絶叫をあげ、帽子を舌で投げ飛ばす。 「っば!!ばりじゃの おぼうじぎゃぁぁああ!!!」 大事な帽子に火がついたとあって、姉まりさが絶叫をあげる。 『ほら、まりさ。帽子をとりかえさないと。』 青年が姉まりさを握る力を緩めた。 姉まりさは急いで青年の手から、透明な箱の中へと飛び移り、顔面を強打した。 「っぐっべぇぇ………い、いじゃいのじぇ…… で、でみょ、いたいことより、おぼうしを………いそぐのじぇ!!」 痛みに堪えながら、姉まりさは燃えている帽子に近づき、帽子を守るために愚かにも燃え盛る炎を舐める。 「ぎえじぇにぇ!!げしゅにゃ ほのおじゃんは ざっざど ぎえじぇねぇ!! ぺーりょぺー…ゆっぎゃぁあああ!!あああ!!あじゅいぃいい!!!あっじゅいぃいいい!!!!」 結果、姉まりさは火傷を負い、痛みで箱の中を暴れる。 『ははは。火を消せるはずないのに、まりさ種って本当にバカだよね。いや、ゆっくり全部か。』 姉まりさの行動を見て青年は笑う。そして、花火に火をつけ、姉れいむと姉まりさとに向ける。 姉れいむと姉まりさは花火と帽子を燃やす炎から逃れようと透明な箱の中を必死に走り回る。 が、どれだけ逃げても箱の中のため、逃げ場所はない。 2匹の身体に無数の火傷ができていく。 『あれ?動きが鈍くなってきた?』 「た……たじゅげ……」 「ば……まりぢゃ……じにじゃくにゃ………」 2匹は体力的に限界がきており、火が近くにきても跳ねることなくズリズリと這いずるだけだ。 『やっぱり赤ゆは体力が少ないな。まぁ、しかたがない。次の赤ゆを入れるか。』 「っゆっびぃいいい!!」 消えた花火を姉れいむに強く押し付けてから水の張ったバケツに捨てた青年が透明な箱に手を伸ばす。 「ぐるにゃぁぁああ!!」×2 「おちびちゃん!ゆっくり おかーさんの おくちに かくれてね! おかーさんの おくちのなかは あんっぜんだよ!」 「おちびは さいっきょうの まりさが まもるのぜ!! くらうのぜ!さいっきょうの まりさの さいっきょの ぷくーを!ぷくーー!!」 透明な箱の中では、れいむが赤ゆを口内に入れようとしている。 その隣で、家族を守るため、自称最強である最弱のまりさが頬を膨らませている。 何をしても無駄なのだが、餡子脳のため、そのことに気がついていない。 「おそらとんでりゅみちゃい!!」×2 今ごろ 口に隠れろと言う れいむに本当に子供を守る気があるのかを疑問に思いながら、 青年は妹まりさ・妹れいむを箱から取り出す。 「おちびぃいい!!!がえぜぇえ!! せいっさい されたくなかったら、さっさと おちびを かえすのっぜぇええ!!」 「おちびちゃぁあああん!! まりざぁああ!!ざっざど おちびちゃんを どりがえじでぇええ!!」 喚く2匹を無視して、青年は透明な箱の中に赤ゆたちを入れる。 「っゆべぇ……れ、れいみゅおねーしゃん、だ、だいじょうかじぇ?」 「っゆべぇ……や、やめてにぇ…… にんげんしゃん!おねがいちましゅ!きゃわいい きゃわいい れいみゅだけは みのがちちぇにぇ!」 火傷を負った姉の心配をする妹まりさと、命乞いをする妹れいむである。 『うわぁ……さっすがれいむ種。平気で姉妹を見捨てるわね。』 『虫唾がはしるから当然制裁だな。』 -ッジュッボ………ッシューーーー!!! 助ける気などまったくない2人が花火に火をつけ、赤ゆたちに向ける。 「っゆっぎゃぁあああああああああああああ!!!」×2 まだ元気がある2匹が絶叫をあげ、箱の中を飛び跳ねる。 「おちびぢゃぁあああん!!まりざぁああ!! さっさと くそにんげんを せいっさいして おちびちゃんを たすげでぇええ!!」 「わかってるのぜ!! おいぃいい!!ごの ぐぞにんげんがぁあああ!! いますぐ おちびを たすけるのぜぇええ!!いまなら ぜんごろしで かんべん してやるのぜぇえ!!」 『いつも思うんだけどさ、全殺しで勘弁してやるってどういう意味なの?』 『さぁ?ゆっくりの言葉なんて一々考えるなよ。お、そうだ!』 「おそらとんでるみたい!」 青年は まりさを持ち上げ、女性のほうに まりさの足を向ける。 『ねぇ、悪いけどライターで足焼きをしてくれない?』 『ん?いいよ。』 「な!なにを いってるのぜ!? どれいの ぶんっざいで さいっきょうの まりささまに きがいを くわえるつもりかぜ? げらげらげらげら。そんなのは ふかのうさんなのぜ。 まったく、これだから くそにんげんは おろかなの っぜぇえええええええ!!?? っゆっぎゃぁぁあ!??ああああぁあ!!あづいぃいいい!!!」 『ほら、まりさ。最強なんでしょ?私の攻撃なんて痛くも痒くもないんでしょ? なんで そんな大きな悲鳴をあげるの?』 女性がニヤニヤしながら言うが、その声は まりさには届いていない。 数分後、青年は脚部が炭化した まりさの足にリキュールをかける。 糖分を含んでいるため、痛み止めになるからだ。 そして、まりさを赤ゆたちのいる箱の中にいれる。 「おとーじゃぁああん!!」×2 「おどうじゃ………」×2 箱に入ってきたまりさを見て、4匹は笑顔になった。これで助かると信じているのだ。 動くだけの元気がある2匹はまりさの側にかけより、頬を擦っている。 「おちび!!もう だいっじょうぶなのぜ! この さいっきょうの おとーさんが おちびたちを ぜったいに まもってみせるのぜ!!」 『粋がるのはいいけどさ、どうやって?』 「げらげらげらげら! そんなことも わからいのかぜ?まったく、これだから くそにんげんは おろかなのぜ。 この さいっきょうの まりささまが すぐに せいっさいしていやるのぜ! ないたって ゆるさいのぜ。かくごするのぜ! っゆ?ゆゆ??」 まりさが上半身(?)をねじる。 「ゆ?っど!どぼじで あんよが うごかないのぜ!? う!うごくのぜ!!さいっきょうの まりさの さいっきょうの あんよさん! うごいて さっさと あの くそにんげんを せいっさいするのぜぇぇええ!!」 『ははは。頑張ってね、まりさ。はやくしないと、子供が大変よ。』 花火に火をつけながら女性が言う。 そして、火のついた花火を、姉まりさ・姉れいむに近づける。 「っあ゛!あづいぃいいい!!!だ!だじゅげじぇぇええ!!!おじょうじゃぁああん!!×2 動くだけの力がない2匹は父であるまりさに助けを求めてただ叫ぶだけだ。 「おちびぃいい!!!まってるのぜぇえぇええ!!すぐに たすけるのぜ!! うごげぇええ!!うごくのぜぇええ!!まりさの さいっきょうの あんよざん!! うごがないど!!うごがないと おちびがぁああああ!!!っゆっがぁああ!!うごげぇええ!! うごげ!うごげ!!うごげ!!うごいて れいむにの かわいい おちびを たすけるのっぜぇええ!!!!」 「がんばりゅのじぇ!!さいっきょうの まりちゃの おとうしゃんなら できるのじぇ!! はやくちて れいみゅおねーしゃんを たすけりゅのじぇ!!」 「おちょうしゃん!はやく くしょにんげんを せいっしゃしちて れいみゅを まもってにぇ!!すぐでいいよ!!」 妹まりさ・妹れいむの応援も虚しく、まりさは動くことができない。ただ、醜く身体をねじるだけだ。 「あ゛あぁああ!!ぼ!!ぼっど……ぼっど ゆっぎゅぢ……ちたが……じゃ……」×2 花火に晒され続けた2匹が息を引き取った。 「おちびぃいいいい!!!!」 まりさが箱の中で絶叫をあげる。 『まったく、子供を助けないだなんて最低な親だな。 そんな最低な まりさにはお仕置きとして帽子を没収だ。』 「ゆっがぁああ!!!がえじでぇええ!! おでがい じばずぅう!!がえじでぐだざいぃいい!!おでがいじばずぅうう!! ぞれが ないどぉお!!ぞれげないど ゆっぐりでぎないんでずぅううう!!!おでがいじばずぅうう!!」 帽子を失った途端、先ほどまでの威勢はなくなり まりさは涙を流しながら帽子を返すように懇願する。 「おぼうちの ない げしゅおやは ちねーー!!ぷきゅーー!!!」×2 「お!おちびぃい!!ど!どぼじで ぞんなごどいうのぉおおお!!?? おどうざんでしょぉおお!!!??」 子ゆっくり2匹は、帽子を失くしたまりさを突然見下す。 『うわぁ~~。 帽子なくしたぐらいで子供から見下されるだなんて…… これだから ゆっくりって嫌い。』 帽子なくした まりさに親としての威厳などありはしない。 飾りがない個体は飾りを持つ個体から見下される存在となるのだ。 先ほど、姉まりさのことを誰も心配しなかったのは、姉まりさに帽子がなかったからである。 これは、ゆっくりの習性であるが、女性は ゆっくりのこういう習性が嫌いである。 愚かな習性を見ると、女性は制裁という名のゆ虐をしたくなる。 『ははは。確かにな。』 女性とは反対に、青年は ゆっくりの こういう愚かな習性が好きであった。 愚かな習性のお陰で罪悪感もなくゆ虐ができるからだ。 青年は、大した理由もなく持ち歩いているナイフを取り出し、まりさの額に刃をあてる。 『花火の土台を作らないとな……よっと……』 青年が まりさの頭をナイフで削ぎ、まりさの頭頂部が平らになる。 「っゆっぎゃあぁああああああ!!!ああぁあ!!あだばがぁあああああ!!!!」 「ゆぴゅぴゅ。げしゅな おとーしゃんが ないてりゅよ。」 「げりゃげりゃげりゃ。さいっきょうの まりちゃと ちがっちぇ、さいっじゃきゅな おとーしゃん らちいのじぇ。 まったく、はずかちいのじぇ!ちょっと あたまを けがしたぐらいで さわぎすぎなのじぇ!」 「ゆぷぷ。おぼうしのない まりさには おにあいの すがただね。 おお、おろかおろか。もっと くるしんでいいよ!」 まりさの絶叫を聞き、家族は笑顔である。飾りを失った個体に対しては愛情も情けもないのだ。 『まったく、こいつらは。まりさの次は自分だということを考えないのかね?』 『あはは。そんな頭あるはずないじゃん。餡子脳なんだから。 こいつらの こういうところって、あたし大嫌い。』 飲み終えたリキュールの缶を手で潰しながた女性が言う。その眼は冷たく、ゆっくりを見下している。 『まぁまぁ。そんな愚かな ゆっくりには制裁がお似合いだろ?』 女性とは反対に笑顔の青年がまりさの頭にドラゴン花火をセットする。 「っゆっぎゃぁああ!!やべ!やべでぇえ!! ああぁぁ!!あだばに べんなの おがないでぐざいぃい!! やべでぇえ!!ぐりぐりじないでぇええ!!おでがいじばずぅううう!!! いじゃぁぁああ!!!やじゃぁあああ!!!なにかが はいっでぐるぅうううう!!!」 ドラゴン花火が餡子に深々と刺し込まれ、まりさは絶叫をあげる。 喚く まりさを無視して、青年がドラゴン花火に火をつけた。 -ッシューーーー!!!ッジュッボォーーーー!!! 『あはは!すっごくキレー!!』 『ほんとうだ。』 「ゆぷぷ。まりさの あたまに きれーな おはなさんがさいたよ。」 「ゆぴゅぴゅ。とっちぇも きりぇーだよ。」 「げしゅ おやも たまには やくに たちゅのじぇ。」 まりさから吹き出る七色の炎に見とれる2人と3匹。 「っゆっぎゃあぁあ!!あぁぁあ!!あづいぃいいい!! だずげだずげ!!だじゅげでぇえええええええええ!!!」 花火の熱と、降りかかる火の粉でまりさは絶叫をあげる。 助けを求めるが、誰も まりさを助けるつもりはない。 -………ッジュ!………ッジュッボォーーー!!! -………ッジュ!………ッジュッボォーーー!!! ドラゴン花火を見ながら、青年はネズミ花火を火をつけ、透明な箱の中にいれていく。 「っゆっぎゃぁああ!!いっじゃあぁあ!!あじゅぃいい!!」×3 箱の中を でたらめに回転する複数のネズミ花火に、まりさ・妹まりさ・妹れいむは悲鳴をあげる。 「おちびちゃぁぁあん!!ゆっくりして!ゆっくりして!!ゆっくりするんだよぉおお!!!」 飾りを失っていない子供の心配をする れいむが、透明な箱から飛び出ようと顔面を壁に押し付けているが、意味はない。 『あはは。ほら、れいむ。頑張って子供を助けてね、手伝ってあげるからさ。』 女性は笑いながら れいむを透明な箱から取り出す。 『お、優しいね。さっすが俺の彼女。ほら、れいむ。優しい彼女にお礼は?』 「おちびちゃぁぁあん!まっででね!すぐに おかーさんが たすけるよぉおおお!!!」 青年の言葉は れいむには届いておらず、れいむは泣きながら まりさたちが入った透明な箱に向かって跳ねる。 「っゆっべぇええ!!!………あ!あづいぃいいいい!!!」 透明な箱に顔面を押し付けた れいむは、箱から跳び退く。箱が熱を持っているのだ。 「ゆがぁぁあ……げすな かべさんは あつくて ちかづけないよ……… ど、どうすれば いいの?どうすれば おちびちゃんを たすけれるのぉおお?」 「ぎゃわいい ぎゃわいい れいみゅを だじゅげじぇぇえ!!おかぁじゃぁああん!」 「おがぁじゃぁああん!!だ!っだじゅげじぇぇええ!!」 「おちびぢゃぁあん!!ゆっぐりずるんだよ!!ぞうずれば ぎっど だずがるよぉおお!!!」 子供は助けたいが、危険は一切犯したくない れいむはアドバイスを叫ぶ。 この状況下でどうしたら ゆっくりできるのか? 仮に ゆっくりできたところで危険は回避されない。 れいむのアドバイスは れいむのように全くもって役に立たない。 「ぜいっさい ちてやりゅのじぇ!!さいっきょうの まりちゃが げすな はなびしゃんを せいっさいすりゅのじぇ!!」 妹まりさは愚かにもネズミ花火に向かって口をあけて突進する。 「こにゃいでぇえ!!れいみゅが きゃわいすぎるからって、すとーかーだなんてゆっきゅりできにゃいよ!! れいみゅ、はなびしゃんなんで だいきりゃいだよ!!」 妹れいむはネズミ花火から逃れようとするが、恐怖で眼を閉じデタラメに跳ねている。 そして、2匹はネズミ花火に激突し、動けなくなり、身体を焼かれ、死んでいった。 「っだずげ!だずげ!!!っあっづぁぁあああ!!っゆっぎゃぁぁああああ!! っぐっぼぉおおおおお!!!ぐぶぶぶっばあぁあああ!!! っゆっばぁあぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 まりさの口内にネズミ花火が入り、まりさの体内で暴れる。 頭と口から火をあげながら、まりさは辞世の句を詠むこともできずに息絶えた。 「おちびじゃん……れ、れいむの……かわいい かわいい れいむの おちびちゃんが……」 花火が収まり、焦げ饅頭が入った箱を見ながら れいむが泣きながら呟く。 『やだな、れいむ。死んだのは子供だけじゃないだろ?生きていく上で、もっと大事なものを失っただろ?』 「ゆ?どういうこと?おちびちゃんよりも だいじなものなんて ないよ?」 青年が焦げた饅頭に まりさに帽子をかぶせた。 途端、れいむの顔色が悪くなる。 「っば!ばりっざぁぁああ!!!ど!どぼじで ばりざが じんでるのぉおおおお!!!」 苦しむ まりさを笑って見ていた者の発言とは思えないことを言う れいむである。 「おぎでぇえええ!! ゆっくり! ば!ばりざが いないど、 ゆっくり! だれが ごばんざんを ゆっくり! もってぐるのぉおお!!?? だれが ゆっくり! おちびじゃんの せわを ずるのぉおおお!!?? おでがい!!いぎがえっでぇええええ!! ゆっくり! れ!れいぶを びどりにじないでぇえええ!! れいぶを ゆっぐりざぜるのが ばりざの ぎむでじょうがぁああああああ!!!! ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!」 大事な子供を失い、愛する(?)まりさを失った れいむ。 孤独を嫌い、労働を嫌う れいむにとって、 一緒に過ごす家族・生活を支える番を失ったことは非ゆっくり症を発症させるには十分な悲劇であった。 なお、餡子脳の為、帽子がない まりさが苦しんでいたことを忘れており、 帽子なしの死骸を番とは認識できていなかった。 『あれ?非ゆっくり症?なぁ、コイツに薬を喰わせてなかったの?』 青年が れいむの非ゆっくり症の発症に驚きながら女性に聞く。 『あ、ごめん。薬食べさせるの忘れてた……』 申し訳なさそうに謝る女性。 『そっか。まぁ、いいよ。花火もなくなったことだし。にしても、うるさいな。』 「ゴメンね。あたしが薬を忘れたばっかりに。 おわびに、れいむは あたしが処分するね。』 「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり! ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっぴ!!!!……………」 女性は待針を取り出し、れいむの額に刺し込む。 中枢餡を突かれた れいむはそのまま絶命した。 『さ、おわったよ。はやく帰って お風呂にはいって いいことしよーよ。』 『お!そうこなくっちゃ。一緒に入ろうな。』 青年は笑顔で透明な箱を逆さまにし、ゴミを地面にばら撒きながら言う。 そして、バケツの水をゴミにかけ、火の始末をした。 『よし、こうしておけば そのうち公園の ゆっくりが勝手に掃除するだろ。』 『あはは。同族の死骸の処分させるだなんて、可愛そうなことさせるね。 きっと、公園の ゆっくりから恨まれるよ。』 『いやいや、俺みたいのがゴミを公園に捨てることで、 公園のゆっくりの生存が認められるわけだ。 反対に感謝されているに違いない。』 2人は手をつなぎ、笑顔で公園から立ち去る。 2人がいた場所には、ゴミが散乱している。 ------ セミが鳴く中、れいむは昨晩殺された ゆっくり一家の遺体の片付けを続ける。 まりさの遺体をゴミ袋におさめた後、れいむの遺体へと近づく。 「ごめんね、れいむ。」 遺体に謝ってから、れいむは口を大きくあけ、遺体の頬に噛みついた。 口内が死臭に犯される。何度味わってもこの臭いに慣れることはない。 れいむは吐き気を我慢しながら、遺体を小さく千切っていく。 「っゆぴ!?」 口内に突然鋭い痛みが発生し、れいむは遺体から口をはなし、飛び退いた。 口内を舌で舐めながら、れいむは遺体を注意深く見る。 「ゆ?ゆゆ??これは………まちばりさん? そっか、このれいむは まちばりさんで あんこさんを つかれて しんじゃったんだね……」 昔、友人のちぇんが針で殺されるところを見ていたことがある。 嫌な事を思いだし、憂鬱な気分になるが、それでも仕事はしなくてはならない。 れいむは針をさけて遺体の片付けをした。 片付けを終えた れいむは まわりを見渡す。 「ゆぅ………もえないごみの ごみぶくろさんを もった ゆっくりが いないよ…」 いつもなら、隣のダンボール箱に住むまりさや、その妹のれいむと一緒に掃除をするのだが、今日は誰とも話をしたくなく、一人で掃除をしている。 そのため、れいむは燃えるゴミ袋しか持っておらず、針を捨てたくても燃えないゴミ用のゴミ袋を持った ゆっくりがいないのだ。 「ゆぅ………まちばりさんを ここに おいて おいたら、ゆっくりが けがしちゃうよ…… どうしよう………っゆ!そうだ!!」 待針の処分に頭を悩ませた れいむだが、名案を思いついた。 れいむは待針を咥え、揉み上げを口に近づける。 そして、右の揉み上げの中に待針をしまう。 「っゆ!すこし うごかしにくいけど、これで まちばりさんを ゆっくり はこべるよ! ゆぷぷ。れいむったら かしこすぎて こわいぐらいだよ! こんな かしこくて かわいい れいむ だから きっと きょうこそは かいゆっくりに なれるよね? ゆーん。なんだか きぶんが よくなってきたよ!ゆっくりー!!」 気分がよくなった れいむは笑顔でゴミ袋を咥え、歩き出す。 ゴミを運ぶ途中で れいむは、噴水に寄ることにした。 暑くて喉が渇いたこともあるが、死臭で臭くなった口内を洗いたかったのだ。 「ごーくごーく……ごーくごーく…… っぷはぁ……おみずさんは ゆっくりできるよ。」 水を飲み終えた後、れいむは汚い舌で噴水の水をすくう。 「ゆ!かいゆっくりに なるためには からだを きれーきれーに しないとね!」 笑顔の れいむは水で身体を洗う。 裏路地等で暮らす野良よりは 綺麗だが、石鹸もシャワーもないので それなりである。 特に髪は洗髪の手段も知識もないため、ベタベタで不潔であるが、れいむはそのことを知らない。 「ゆ!きれーに なったよ!ゆぷぷ。れいむの かわいさに ますます みがきがかかったね。 ゆーん。なんだか きょうは きぶんが いいよ! おさの ところにいくまえだけど、すこしだけ おうたを うたっちゃうよ! まったりのひ~♪ゆっくりのひ~♪すっきりのひ~♪♪」 セミの鳴き声とれいむの歌声が公園に広がる。 「おねーさん。ゆっくりしていってくださいね。 あと、とても すてきな おうたです。とっても ゆっくりしていますね」 「ゆっくりしていってね!!!ゆ?」 声をかけられ、れいむは反射で返事をし、振り返る。 振り返った先には、胴付き金バッチの さなえがいた。 「ゆ………ま、まさか さなえって れいむの いもーとの さなえ?」 「はい。そうです。おねーさんの いもーとの さなえです。 おひさしぶりです。おねーさん。」 さなえは微笑み、れいむと話しやすいように屈む。 れいむが石段の上にいたこともあり、2匹の顔の高さはほぼ同じになった。 「ゆわぁ………いもーと……すっごく きれーだよ…… すっごく ゆっくりしているよ………」 さなえの顔を見て、れいむは思ったことを口にした。 同時に、劣等感に襲われた。 毎日噴水の水で身体を綺麗にしており、自分の美しさには それなりの自信があった。 が、さなえの白くて柔らかそうでキズがまったくない肌。潤いのある唇。 そして、自分とはまったく違う、サラサラで艶のある美しい髪。 一緒に暮らしていた頃は差なんてなかった。 いや、むしろ自分の方が綺麗だったハズだ。 飼いゆっくりになり、自分よりもはるかに美しくなった妹に れいむは嫉妬する。 「ほんとうですか?ありがとうございます。 まいにち おにーさんに ていれして もらってますから。」 さなえが照れながら言う。 「そ、そうなんだ。さすが かいゆっくりだね。うらやましいよ。」 「でも、さなえは まいにち さびしいんです。 だって、おにーさんは やさしいけど、おとーさんや おかーさん。 それに、おねーさんと あえませんから。 でも、おにーさんが どうつきなったら あいにいって いいって いってくれました。 だから、さなえ どうつきに なるように まいにち おねがいしてたんです。 そしたら、きのう おきたら どうつきに なっていました。 おねーさん。おとーさんたちは ゆっくりしていますか? さなえ、おにーさんに たのんで おみやげの あまあまを もらってきました。 おうちで みんなで たべましょうよ。」 さなえが笑顔で近況報告をする。 姉との再会が嬉しいのか、さなえは れいむの顔が暗い事に気がつくことなく、話をする。 「……………いないよ………」 「え?」 「おとーさんも おかーさんも、おそらの ゆっくりぷれいすに いっちゃたよ。 だから、もう ………もう ここには いないよ………」 れいむが涙ぐみながら言い、さなえの笑顔が曇った。 「………な、なんなの!? くるなら もっと はやくきて れいむたちを かいゆっくりに してくれれば よかったのに!! いもーとが ゆっくりしすぎてるから、そんな かみさんを きれーきれーに なんてしてるから!! だから おとーさんも おかーさんも しんじゃったんだよ!!」 れいむは涙を流しながら叫ぶ。 「でもね!もういいよ!とくっべつに ゆるしてあげるから かんしゃしてね! はやく れいむも いもーとの おうちに つれていってね!れいむも かいゆっくりにしてね! そしたら あまあまを ちょうだいね!とくもりで いいよ!!」 「………………おねーさん………ごめんなさい。 それは ……その……できません………」 さなえは申し訳なさそうな顔をしながら言う。 「はぁあああ!!??どぼじで ぞんなごど いうのぉおおお!!?? そんな うそさんは ゆっくりできないでしょうがぁあぁぁあ!!」 「おにーさんが、さなえの かぞくまで かうことは できないって……」 「その じじいを せっとくするのが いぼーどの やぐめでじょぉおおお!!?? いいがら、ざっざっど そいづを せっとくじろぉおおおおお!!!」 「ごめんなさい……がんばったけど、むりでした。 その……おにーさんは、きしょうしゅしか かいたくないそうです。 だから、その………つうじょうしゅの おねーさんたちは かえないって………」 さなえも、家族と一緒に暮らしたいと考えている。 飼い主に何度となく懇願したが、答えはいつも No であった。 さなえにとって優しい飼い主であったが、この願いだけは聞き入れてもらえなかった。 これは、飼い主が多頭飼いをする気がないことと、稀少種にしか興味がないからである。 「ごめんで ずむがぁあああああ!! ぞんなの びぎょうだよ!!きじょうじゅだがら がいゆっぐりに なるだなんで!! れいぶも がいゆっぐりに なりだいんだよぉおおお!!! がいゆっぐりになって、まいにち あまあまを たべて、おびるねをじで、ゆっぐりじだいんだよぉおおお!! ごごは ゆっぐり でぎないんだよぉおお!!れいぶは ゆっぐり゛じだいんだぁああ!! いいがら ゆっぐりざぜろぉおおおおおお!!!!」 「……ほんとうに ごめんなさい。 あまあまは、おうちに おいておきますから たべてくださいね…… また きますから………そのときは いっしょに ゆっくりさせてくださいね……」 そう言って、さなえは走り出す。その目には涙が溜まっている。 両親の死を知り、姉から無理を言われたのだ。 そして、姉と一緒にゆっくりできなかったことが悲しいからだ。 「ゆっぐりなんて でぎるがぁああああ!!! れいぶは ちいきゆっくりなんだよぉおおお!!!のらと おなじで ゆっぐりでぎないんだよぉおおおお!!! きょうにも しんじゃうかも しれないんだよぉおおおおお!!!! がいゆっぐりの いぼーどどは ちがうんだよぉおお!!かわいぞうなんだよぉおおおお!!! だがらぁああ!!!だがら れいぶも がいゆっぐりじろぉおおおお!!! ごの むのーの いぼーどがぁああ!!きじょーじゅだがらっで いいぎになるなぁあああ!! れいぶのぼうが ゆっぐりじでるんだぁああああ!!!もう にどど ぐるなぁああああ!!!」 れいむはさなえの背中に向かって叫ぶ。 さなえは何も言うことなく、ただ涙を流しながら立ち去った。 ------ 夜、元気なく家に戻った れいむは菓子を見つけた。 さなえが置いていった菓子で、とても美味しそうだ。 長ぱちゅりーから支給された ゆっくりフード・狩りでとったセミと菓子を見比べる。 どう贔屓目に見ても、菓子のほうが美味しそうだ。 必死に働く自分よりも、何もしてない さなえのほうが美味しいものを用意できる。 地域ゆっくりと飼いゆっくりとの違いを感じ、れいむは激しい劣等感に襲われ、涙を流す。 「むーじゃむーじゃ……ごっぐん……」 れいむが泣きながら菓子を食べる。 甘い味は れいむに幸せを与えるハズだが、心は満たされない。 妹は毎日こんな美味しいものを食べているのだろうか? 自分の食事との差を実感し、れいむの劣等感が増していく。 「ひどいよ……いもーとばっかり ゆっくりして……」 れいむが呟きながら妹の綺麗な姿、ゆっくりした姿を思い出す。 「ゆぅ………ごべんね……いぼーと…… ひどいこと いっちゃって………」 れいむは ここにはいない妹に向かって謝る。 興奮して酷いことを言ったことを自覚しているのだ。 自分が飼いゆっくりではなく、両親が死んだことは妹のせいではない。 頭では理解できても、心が追いつかなかった。 ゆっくりしている妹を見て、嫉妬し、ゆっくりできないことを全て妹のせいだと決めつけてしまった。 「でも、いもーとは ゆっくりしてたよ…… さすが かいゆっくりだよ………れいむも いつか ぜったいに…… ゆぅ…………わからないよ………どうしたら かいゆっくりに なれるの?」 れいむは餡子脳でどうしたら飼いゆっくになれるかを考える。 毎晩考えていることだが、答えは未だに見つからない。 友人や長ぱちゅりーにも相談しているが、正しい答えはまだ見つかっていない。 ただ、これまでに飼いゆっくりになれた仲間や、逆に捨てられてた ゆっくりを観察して分かったこともある。 ①人間は身なりが綺麗で食事のマナーを守れるゆっくりを飼いゆっくりにする。 ②人間は我侭を言わない ゆっくりを飼いゆっくりにする。 ③人間は稀少種を飼いゆっくりにする。 自分はれいむ種で③の条件は満たせないが、①と②は満たしている。 しかし、未だに飼いゆっくりにはなれない。何が足りないのだろうか? ちなみに、③の条件を満たしていれば、妹のように①の条件を満たしていなくても飼いゆっくりになれることが分かっている。 この事から、れいむは稀少種が羨ましく、妹に嫉妬している。 れいむは餡子脳をフル回転させるが答えはでてこない。 そもそも、明確な答えなどない。強いて言えば、【運】であろうか。 「ゆぅ~~~………かんがえすぎたら あたまが いたくなってきたよ…… っゆっぴ!?」 知恵熱で熱くなった頭を揉み上げでさすると、れいむの頭に痛みが走った。 慌てて揉み上げをはなし、揉み上げを凝視すると、待針が見えた。 「ゆ?そっか、まちばりさんを すてるのを わすれてたよ。 れいむったら うっかりさんだよ。 まちばりさんは あぶないから、あした すぐに すてないと だめだね。」 ゴミ捨てのついでに燃えないゴミ袋に待針を捨てるつもりであったが、 さなえと会ったことで興奮していた れいむは、待針のことを忘れていたのだ。 「ゆぅ………あぶない まちばりさんを ちゃんと すてれるぐらい れいむは かしこくって やさしくって かわいいのに、なんで かいゆっくりになれないの? いもうとより ゆっくりしているのに………きしょうしゅよりも ゆっくりしているのに…… ゆ?………ゆゆ??…‥…ゆ~~………」 待針を床に置き、れうむは再びどうしたら飼いゆっくりになれるかを考える。 「ゆ!そうだ!!そうだよ!!すっごいことを おもいついたよ! そうだよ!そうすれば ぜったいに かいゆっくりになれるよ!」 餡子脳が再び熱を持ち始めた頃、れいむの両方の揉み上げが元気良く跳ねた。 名案を思いついた れいむが笑顔になる。 「ゆぅ………でも……… ゆぅ………………でも、それをすると……ゆっくり できなくなるよ………」 が、すぐにその笑顔が曇った。 浮かない顔のれいむが、ダンボールの片隅を見る。 れいむの視線の先には、両親の形見である赤いリボンと、白いリボンが置いてある。 「おかーさん……おとーさん…………」 れいむは両親の形見に そっと頬をあてる。 れいむの脳裏に両親が死ぬ瞬間の光景が浮かんだ。 「………れいむは かいゆっくりになりたいよ。 かいゆっくりだったら、おかーさんも おとーさんも しななかったよ。」 れいむは飼いゆっくりになることで、襲われる心配のない安らかな生活が得られると考えている。 もし、両親が飼いゆっくりだったら、今頃は家族で楽しくゆっくりしているハズだ。 今、自分が孤独でゆっくりできないのは、自分が飼いゆっくりでないからだと れいむは考えている。 【いづか……ぜっだいに……かいゆっぐりになっで……もっどもっど……ゆっぐりじでね……】 母れいむの最後の言葉を思い出す。 そして、自分が絶対に飼いゆっくりになる決心をしたことを思い出した。 ダンボール箱に置かれた菓子を見る。 妹は毎日こんな美味しいものを食べているのだ。 地域ゆっくりの自分と違い、働かなくてもいい飼いゆっくり。 ゆっくりするだけで身の安全と美味しい食事が約束されている飼いゆっくり。 (飼い主によっては ゆっくりできない生活をする強いられることもあるが、れいむは そのことを知らない。) 飼いゆっくりである妹に、れいむは嫉妬する。 「きめたよ。れいむは…… れいむは かいゆっくりに なるためなら なんでも するよ……… どんなに ゆっくりできなくても、かいゆっくりに なれば、ゆっくりできるから……… いもーとみたいに ゆっくりできるから。 ぜったいに。ぜったいに かいゆっくりに なって、いもーとみたいに ゆっくりするよ……」 れいむは自分の決意を口にし、右の揉み上げに待針を仕舞った。 その顔は ゆっくりしておらず、険しい顔であった。 つづく あとがき ゆっくりを飼うことができるとしたら、個人的にれいむ種がいいです。 でいぶになった瞬間、処分しますが。 過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3986.html
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1410.html
※独自設定注意。山盛り出てきます。 ※人間に因る虐待表現はほぼ0です。 ※何故か書く度に長くなる罠。しかも前後編。 ※今までの話とは繋がっていません。……今のところ。 書いた奴:一言あき 本日の激務を終え、片道一時間程の郊外に構えた4LDKの我が城へ帰り着けたのは午前三時。 これで明日は朝九時出社だと言うのだから、ブラックにも程がある。 「ただいまー」 サラリーマン夢の一戸建てではあるが、ここに住んでいるのは俺一人。 田舎暮らしが性に合うらしく両親はこちらに出向こうともしないし、俺は独り身なので妻も子供も居やしない。 だが俺の帰宅の挨拶に、誰もいない筈の家の中から応えが来る。 「おにーさん、ゆっくりおかえりなさい!」 家の奥からぽいんぽいんと跳ね寄って来たのは、半年程前から俺のペットになったゆっくりれいむだ。 「きょうもおしごとごくろーさま!ごはんはどーするの?」 「あぁ、帰りにコンビニ寄ってきたから……」 「またそんな『じゃんくふーど』ばっかりだとからだこわすよ!きをつけてね!」 「……俺のオカンかお前は。風呂は沸いてる?」 「ぬるくなってるから、おいだきしたほうがいいよ!すいっち、いれてくるね!」 「頼んだ。……ああ、忘れてた。頼まれてたお土産買って来といたからな」 オール電化の恩恵で、ゆっくりでも操作できる風呂場に向かった背中に放った俺の言葉に、目を輝かせて振り返るれいむ。 「ゆっ!ありがとうおにーさん!ゆわ~い!」 一層軽快な足取りで跳ねて行くれいむを見送りながら、俺はビニール袋から買ってきた弁当とビール、そしてお土産の小壜を取り出す。 ビールで喉を潤し、揚げ物中心のカロリー過多な弁当をもそもそ喰っていると、追い炊きのスイッチを入れたれいむが戻って来た。 目をキラキラさせて俺の言葉を待つ様はご褒美をねだる子供そのもので、思わず苦笑いしながら俺は小壜を掲げてれいむに見せる。 「ほら、これだろ?今開けてやるから待ってろ」 「ゆっくりしないでさっさとあけてね!……ゆっ!?」 無意識のうちに口走ったのだろう、言い切ってからはっとした顔になるれいむ。 先程までの輝いた顔が嘘であるかのように意気消沈してしまう。 「……れいむ……お前な……」 「ゆぅ……ごめんね…………かってにおしゃべりしちゃうんだよ………」 嘘ではない。ゆっくりの本能なのか、こいつらは思ったことをそのまま口に出してしまうのだ。 調べた所、本来気心の知れた仲間同士で生活するこいつらは気遣いと言うものを知らないらしい。 おまけにとても物覚えが悪く、持って回った言い方が通じないため本音や直球で会話するのだそうだ。 人間で言う空気の読めない発言や、自分勝手な発言が多いのはその所為だ。 逆に空気が読めるゆっくりは本音を隠すのが上手いゲス候補なんだとか。 しかし、このれいむは普通のゆっくりとは違う。 こいつはとある事情で俺に頼らなければ生きていけない。それが解ったとき、 『お゛に゛い゛じゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!ごべん゛な゛じゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!』 と、こいつはボロボロ泣きながら何度も俺に頭を下げ、餌を貰う代わりに家の雑用をすると言い出したのだ。 雑用とは言ってもゆっくりの出来る事はたかが知れているが、この家でなら大概の事はスイッチを入れるだけで済むので、れいむでも結構使えるだろう。 そんな出来の悪い小間使いを雇う程度の気持ちで飼い始めたれいむだが、存外役立っていた。 基本午前様の俺を出迎え、風呂やら郵便物の受け取りやら、こいつが出来る範囲の事を一生懸命やり遂げようとしてくれる。 何より一人暮らしの身には、たとえゆっくりでも同居人が居ることが何よりも安らぐのだ。 世間一般で言われるゆっくりの評価が当て嵌まらない程出来の良いれいむは、最早俺にとって家族同然の存在だ。 しかし、そんなれいむでさえゆっくりの本能には逆らえないのか、たまにこんなゆっくり出来ない事を口走ってしまう。 そしてその都度、こうやって落ち込むのだ。 「まあ仕様がないさ。ゆっくりの宿命みたいなもんだろうよ、気にすんな」 俺の慰めに、れいむは力無い笑いを浮かべる。 「……でも、れいむはふつうのゆっくりじゃないよ。れいむはもうほかのこたちといっしょにゆっくりできないのに、こんなところだけゆっくりのままなんて……」 泣き出しそうなれいむを、俺は小壜の蓋を開けながら励ます。 「何、時間はまだまだあるさ。大体、生まれて半年経ってない子供が悟った事言うなよ。それに……」一旦言葉を切り、部屋の奥に目を向けながら続ける。 「仲間ならもうすぐ増えるさ。あいつ、どうやら成功みたいだしな。」 それを聞いたれいむの目が再び輝きを取り戻す。 「ほんとう!?あのこ、れいむとおなじになるの!?」 「お前と同じって訳にはいかないが、少なくとも普通のゆっくりとは違うわな。ほら、開いたぞ。丁度良いし、これで乾杯するか!」 「ゆわ~い!ありがとうおにーさん!」 俺はビールの缶を、れいむは口に銜えた小壜を合わせて乾杯する。 「「かんぱ~い!!」」 ビールを喉に流し込む。晩酌代わりの一本だが、今の俺には高級シャンパン並みの美味さに思えてくる。 俺は『タバスコ』の小壜をラッパ飲みする『真っ赤な髪』のれいむを見ながら、あの日の事を振り返っていた。 『激辛れいむと珈琲ありす 前編』 その日、俺はいつものように激務を終えて疲れた体を引きずり、午前様の帰宅を果たした所だった。 「ゆっ!ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!!じじいははやくでていってね!!」 「れいむはあかちゃんがいるんだよ!!じじいはあまあまをもってきてね!!あとしんでね!!」 だが、誰もいない筈の家の中で待っていたものは、割れた窓ガラスとぐちゃぐちゃに掻き回された室内、そして頭に茎を生やした汚い饅頭共だった。 「きこえないの!?ばかなじじいはさっさときえて「お前が消えろ」ゆ゛べじっ゛!!」 「ばり゛ざぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?!?」 只でさえ疲れていた上に饅頭の相手などしていられない。黒い帽子を被った饅頭に思いっきり足を振り下ろし、素早く生ゴミになってもらう。 「生ゴミは静かで良いな。んじゃ、ゴミの始末はよろしく。あ、こいつらそれまで人質な」 「でい゛ぶの゛あ゛がじゃ゛ん゛がえ゛ぜぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 赤いリボンを付けた掃除機が騒音を撒き散らすが、俺は掃除機がさっさと仕事を終えるよう、掃除機に生えていた雑草をもぎ取って人質にする。 尚も抵抗する掃除機だったが、俺が雑草に付いてた実を潰そうとすると大人しく仕事を始めた。 その姿を見ている内にふと思い付き、俺は茎を刺している花瓶代わりのグラスにあるものを混入する。 俺がそんな事をしている事に気付かないまま仕事を終えた掃除機が、また「あ゛がじゃ゛ん゛がえ゛じで!!」と喚き出したので適当に痛めつけてからガムテープで拘束。 身動きの取れない掃除機の目の前に、俺は茎を刺したグラスを置いてやった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!でい゛ぶの゛!!でい゛ぶの゛あ゛がじゃ゛ん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 掃除機の顔色が真っ青になる。その目線の先に居たのは、グラスに注がれたタバスコの所為で黒ずんだ実。十個近く実っていたプチトマトサイズのそれが、一個を残して全滅していた。 辛いもの、渋いもの、苦いものはゆっくりにとって劇物だ。一個残っただけでも奇跡だろう。 「良かったな、一個は無事だぞ」 「よ゛ぐも゛あ゛がじゃ゛ん゛を゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛!!じね゛ぇ゛!!じじい゛ばじね゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛!!」 再び騒音を立て始めた掃除機を隔離するため、玄関に置いてあった魚の居ない水槽をひっくり返して被せ、俺は眠りに付いた。 翌朝、会社に出かける前に茎の様子を伺うと、もう目鼻が判別出来るくらいに育っていた。おそらく今晩辺りに生まれるんだろう。 「でい゛ぶの゛ばでぃ゛ざを゛がえ゛ぜえ゛え゛え゛!!でい゛ぶの゛あがじゃ゛ん゛を゛がえ゛ぜえ゛え゛え゛!!」 一晩中喚き散らしていたらしい掃除機の水槽にグラスを入れておく。ガムテープで固定された掃除機は動けないからグラスを割られる心配は無いだろう。 「赤ちゃんと仲良く語らってな。それじゃ、行ってきますっと」 「ぐぞじじい゛ばじね゛ぇ゛え゛え゛え゛!!じね゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 何か言ってるが、相手している時間がなかったので軽く無視して出社する。 何時ものように激務をこなし、何時ものようにコンビニに立ち寄り、何時ものように午前様で帰宅。 そして俺の帰宅を待っていたかのように、飲まず喰わずで喚きっ放しだった為か瀕死の掃除機の目前で、茎に付いていた実が震えてぽとりと落ちる。 「……で、でいぶの………あか……ちゃ……………ん……………?」 「……何だこれ?」 目を丸くする俺と掃除機を余所に、落ちた実は二、三回伸びをするように体を震わせて、勢い良く目を開ける。 「ゆっ、ゆっくちしちぇいっちぇね!!」 ご挨拶と言う奴なのだろう、舌足らずな甲高い声で定番の台詞を吐いたそいつは掃除機と同じれいむ種のように見えた。 だが、掃除機は黒髪なのに対してこいつは見事な赤毛をしていた。それも染毛剤による赤毛でなく、アニメとかに出てきそうな不自然な、それでいて自然な紅。 親と同じ色のリボンが隠れて見えなくなるような、完全な赤毛であった。 「…………ゆ?」 呆然としていた俺と掃除機の様子に小首を傾げる赤れいむ。ご挨拶の返事が返ってこないので不思議がっているらしい。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!!」 「……解った、ゆっくりしてけ」 もう一度繰り出されたご挨拶に、俺は思わず返事してしまった。 途端に、赤れいむが目を輝かせて俺に跳ね寄って来た。 「ゆっ!おちょーしゃん!」 「……ゆ゛っ゛!?」 「……何?」 間違いない。今、こいつは掃除機じゃなく俺を見て『おとうさん』と呼んだ。おいおい……。 まさか刷り込みって奴か?生まれた直後に見たものを親だと思うってあれ。 ゆっくりの場合は最初の挨拶に返事を返した奴が親だって事か?危ない習性だな、それ。 「……俺はお前の親じゃないぞ?お前の親はこっち」 「お、おちびちゃん………、れいむがおちびちゃんのおかーさんだよ……?そっちのじじいじゃないよ………?」 爺って、まだそんな事言ってるのかこいつは。ムカついたので掃除機を叩き潰してやろうと振り上げた拳は、続く赤れいむの言葉に行き場を無くした。 「ゆっ!ちぎゃうよ!おきゃーしゃんはりぇいみゅに『ちねぇ!!』にゃんていわにゃいよ!!」 「ゆ゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛!?!?!?」 そうか!こいつは茎に付いている時に聞こえた言葉を覚えているんだ。 そして本当の親がずっと垂れ流していた呪詛を聞いていたんだろう。 そりゃあ、子守唄の代わりに恨み言を聞かせる親なんざ親だと思いたくないわな。 「ち、ちがうよ!れいむはおちびちゃんにいってたんじゃないよ!!こっちのじじいにいってたんだよ!!」 「そりぇにおきゃーしゃんはしょんなゆっくちできにゃいことをいわにゃいよ!!!」 「ゆ゛ぎゅ゛う゛う゛う゛う゛う゛っ゛!!」 「まあ、そりゃそうだな。普通なら『じじい』なんて呼ばれてゆっくりできる訳無いって解るもんな。偉いぞ、ちび」 「おちょーしゃんにほみぇりゃれたよ!!ゆわ~い!!」 「じじいはだまっててね!!おちびちゃんはれいむのおちびちゃんなんだよ!!」 「あ、そうだ。ちび、お前ご飯まだだったろ?今喰わせてやるよ。この茎で良いんだよな?」 「でい゛ぶの゛ばな゛じを゛ぎげぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 喚き散らす掃除機を無視して俺は赤れいむの餌を準備する。とは言っても生まれたての赤ゆが喰うものは決まっている。 先程まで自分が実っていた茎。こいつが赤ゆの初めての餌になるらしい。胎生型とかだと自分の餡子を喰わせてやったりするようだが、植物型はこれが定番だ。 でも待てよ?タバスコに浸かっていた茎だぞ?赤ゆが喰っても大丈夫なのか? 不安になった俺はとりあえず掃除機に毒味をさせる事にした。 「そんなに言うなら、お前がやるか?確か茎を噛み砕いて柔らかくしてやるんだよな?」 「とうぜんだよ!!れいむのおちびちゃんなんだから、れいむがごはんをあげるにきまってるでしょお!?」 「五月蝿いぞ。喚くんじゃねえ」 こいつらは飾りが無くなったり欠けたりしただけで育児放棄するらしいのに、こんな明らかに異相の子供を見捨てないなんて見上げたもんだ。 そこだけは認めてやっても良いかもな。 そんな事を思いながら、俺はグラスから引き上げた茎を掃除機の口の中に押し込んでやった。 「むーしゃ、むーしゃ………ゆ゛げぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 咀嚼を始めた直後、掃除機が大量の餡子と一緒に茎を吐き出した。 「ゆわぁああああああ!?」 「うわ!汚ねえ!!吐き戻しやがった!!」 やはりあの茎はタバスコを吸い上げていたようだ。咀嚼した途端に口内に入って来た劇物に体が過剰反応を引き起こしたんだろう。 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛………」 掃除機が痙攣を起こし始めている。これはもう駄目だな。 「ちび、お前の親が死に掛けながら砕いてやった飯だ。きちんと喰ってやれ」 「ゆぅ……ほんちょうにおきゃーしゃんにゃの……?」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛………」 「ああ、本当だ。お前の為に死に掛けてるのが何よりの証拠だろ?だから俺はお前の親じゃない。呼ぶんなら『お兄さん』にしとけ」 大体俺はまだ二十代だ。お父さんと呼ばれる年じゃねえ。 俺の言葉にようやく納得したのか、赤れいむは痙攣を繰り返す掃除機の傍に寄り、ガムテープの隙間から見える素肌に頬擦りを始めた。 確か、『すーりすーり』だったか?手足の無いこいつらのコミュニケーション方法だった筈だ。 「おきゃーしゃん……ありがちょう…………りぇいみゅ、がんびゃってゆっくちしゅりゅよ……」 頑張ってゆっくりするって、矛盾してないかそれ? 内心浮かんだ疑問を口に出さず飲み込んでいる間に、赤れいむは噛み砕かれた茎に近付く。 茎に齧り付こうとした所で、痙攣する掃除機が「ま゛……ま゛っ゛で………お゛ぢびじゃ゛ん゛……」とそれを止めた。 「……おきゃーしゃん……?」 「………その……くきさんは………からいからいだよ……………おかーさんの……あんこさんを…………たべてね………」 ああ、そう言えばそうだった。こいつ、茎を齧ってこうなったんだっけ。 しかし増々見上げた根性だ。自分の子供が知らずに毒を食べようとするのを止める為に、残った力を振り絞ったか。 その上自分の餡子を食べさせようとするなんて、いや人間でも中々いないんじゃないのか、こういう親。 結構良い親子になれたかも知れないな、尤もこいつを許すつもりは毛頭無いが。 「わきゃったよ……あんきょさん、ゆっくちりぇいみゅにたべられちぇね……、むーちゃむー……ゆげぇえええええっ!!!」 「おちびちゃぁあああ゛あ゛あ゛ん゛!?!?!?……ゆ゛ふ゛っ゛!!!!!!」 「わ!何だ何だ、何事だ!?」 餡子を口に含んだ途端、今度は赤れいむが餡子を吐き出した。 それを見た掃除機は余りのショックで今度こそ昇天したらしい。 そりゃそうだ。身を挺してまで助けようとした我が子が死に掛けたんだからな、しかも自分の餡子で。そりゃショック死位するわな。 しかし……何なんだこりゃ? 赤れいむは幸い致死量まで吐いた訳じゃないらしいが、吐いたものが問題だ。 赤い。何か見事に赤い。親の餡子と比べるまでもなく別物だ。 どうやら赤れいむの中に詰まっているのは餡子じゃないらしい。と、いうよりあの赤さはどこかで見覚えが……? 「!そうか、おいちび!そっちの餡子は喰うな!!餡子を避けて茎だけ喰え!!」 「……ゆ、ゆぅ………?」 「お前は親と違って辛いものしか喰えないんだよ!甘いものがお前にとって毒なんだ!!」 他のちびは耐えられずに死んじまったが、こいつは自分の中身を変える事で生き延びた。 その代償に、他のゆっくりと同じものが喰えなくなったんだ! 「ゆ……むーちゃむーちゃ……ち、ちあわせぇ~!」 やっぱりそうだ、茎だけならこいつは吐かずに喰える。 まさか、俺は気付かないうちにゆっくりの品種改良に成功してしまったっていうのか? なんてこった、面白いじゃないか! ゆん生初の食事を終えた赤れいむに、俺は事情を説明してやる。 流行病に罹ったれいむとまりさが、己の身も顧みず人里へ助けを求めに来た事。 その病は生まれる前の子ゆっくりにある治療を施す以外、助かる見込みが全く無い事。 その治療法でさえ助かる可能性はごく僅かである上、副作用で普通のゆっくりでは無くなってしまう事。 しかも治療の為には、ゆっくりでは到底払い切れない高額の費用がかかる事。 それを聞いた親まりさが自分の身と引き換えに、子供達の治療を要求した事。 その熱意に打たれ治療を施すも、赤れいむ以外の姉妹は治療に耐え切れず死んでしまった事。 全てを見届けるため、病気が進行して危篤状態だった親れいむが無理を押して赤れいむの誕生に立ち会った事。 そして、赤れいむにご飯をあげようとして毒性を持った茎を食べ、餡子を吐き出して死んでしまった事。 俺はある事ない事取り混ぜて、赤れいむに説明した。 一時間以上掛けた洗脳にとりあえず赤れいむは理解を示し、次いで自身の現状を問うて来た。 親を殺した猛毒の茎を食べて、自分は大丈夫なのかと。 「おそらく、これがお前の副作用なんだろう。普通のゆっくりなら甘いものが最大の栄養源だからな。それが逆転したんだ」 「………りぇいみゅ、ちぬの?きゃらいきゃらいしゃんは、どくなんでちょ?」 「いや、多分お前の体質自体が変わってるんだよ。要するに、お前には辛いものが毒にならない代わりに、甘いものが毒になるんだ」 「……ゆぅ………」 「まあ、この治療法で助かっただけでも御の字だろうさ。お前の姉妹は十匹近く居たんだぞ?それがお前残して全滅だ」 「……おにぇーちゃん……」 話が姉妹の事になった途端、赤れいむが涙ぐむ。天涯孤独になった事を今更実感したんだろう。 「生き残れた事を幸運に思えよ。でないと、親も姉妹も何の為に死んだのか解らないだろ?」 「……にゃんで?」 「お前を助ける為に命を張ったに決まってんだろが。そのお前がいつまでもグジグジ泣いててどうするよ。 頑張ってゆっくりするんだろ?だったら泣いてる暇なんか無いだろうに」 「…………ゆん!わきゃったよ!りぇいみゅ、がんびゃってゆっくちしゅりゅよ!」 泣いた烏がもう笑いやがった。と、思ったらよく見ると泣くのを我慢して無理に笑っているらしい。 (結構根性あるなこいつ) そう思った俺は暫くこいつの面倒を見る事を決めたのだ。 回想と食事を終え、烏の行水を決めた俺はゴミを捨てるついでに奥の様子を伺いに行く。 納戸の扉に平仮名で『ちりょうしつ』、その上に漢字で『実験室』と書かれたここに、れいむは殆ど近付かない。 扉を開けた途端に漂ってくる甘い香りが怖いらしい。れいむを怖がらせないよう、俺は素早く中に入って扉を閉める。 そこにあったのはわざわざ持ち込んだスチール棚に並んだガラス瓶やグラスの山。その中に満たされているのは様々な液体。 タバスコ、ラー油は言うに及ばず、古今東西の調味料や酒類、お茶の類いに至るまでがここに集められている。 そしてそれらの液体に浸かっているのは、貴重な休日に野山を駆け巡って収集して来た赤ゆっくりの茎だ。 ここは『新種のゆっくりを作り出す実験』をしているのだ。 勿論れいむには本当の事は教えていない。『これは治療だ』と言い張っている。 こうして実験するのももう何十回になるのか、未だ成功したのはれいむ一匹だけ。 茎が生えてから大体一週間くらいで生まれるらしいが、そこまでたどり着かずに黒ずんでしまう。 黒ずんだ赤ゆが放つ甘い匂いでむせ返りながら、俺はあるマグカップの前に立つ。 他の茎と同様に黒ずんだ赤ゆが鈴生りに実る中、一匹の赤ゆだけが寝息を立てている。 赤いカチューシャからしてありすらしいが、おそらく誰もそうだと思わないのではないか? 何故なら、ありすの特徴的な金髪が濃い茶色に染まり切っていたからだ。 俺は持って来たポットの中の液体をマグカップに注ぐ。 芳醇な香りが一瞬赤ゆ共の死臭を押しのけるが、すぐに混じって判別が付かなくなる。 マグの中で湯気を立てているのは、砂糖やミルクの一切入っていないコーヒーだ。 今の所、このありすが品種改良の成功例第二作となるのだろう。 この茎は出来立てホヤホヤのレイパー被害者から採取して来たもので、今日で五日目になる。 そろそろこの部屋から出しておいた方が良いかも知れない。 俺は黒ずんだ実ゆを毟り取りながら、マグカップをリビングへ運んだ。 「れいむ、そろそろ生まれそうだからリビングに出すぞ」 「ゆっ!あかちゃん、ぶじにうまれてきてね!」 フローリングの床に直接マグカップを置く。頼りなく茎にぶら下がるありすを、れいむが心配そうに見守っている。 「……おうたは禁止な。やるんだったら俺が居ない時にしてくれ。近所迷惑にならないように閉め切っておくから」 「ゆん!れいむ、うるさくしないよ!」 念のために釘を刺し、俺は短い睡眠を取るため自室に向かった。 振り返ると、れいむがマグカップの前に陣取る姿が見える。どうやら一晩中付いているつもりらしい。 (……随分とご執心だな。あれが噂に聞く『ぼせい(笑)』ってやつかね?) そんな事を思いつつ、俺は眠りに付いた……。 れいむは空調に合わせて揺れる実ゆを見守りながら、これまでのゆん生を振り返っていた。 れいむの一番古い記憶は、絶え間なく聞こえてくる『しね……しね……』と言う呪詛である。 生まれ落ちる寸前の一番ゆっくりするべき時期に聞かされたそれは、れいむの中に呪いとなってこびり付いた。 (りぇいみゅはいりゃないこにゃの?おきゃーしゃんはりぇいみゅがきりゃいなの?) ゆっくりのにんっしんっとは即ち中枢餡の発生である。そして中枢餡の原料は、親となるゆっくりの餡子そのものだ。 すっきりー!と呼ばれる行為で分泌される精子餡を受けた餡子が変異したそれが、胎生ならまむまむと呼ばれる器官に、 植物性なら茎を通して実ゆと呼ばれる外殻の中に移動した時点で、ゆっくりはその生態の大部分を形作る。 即ち、にんっしんっした時点で聴覚・嗅覚・触覚を肌で感知する統合感覚、『ゆっくりしたい』と願う本能、そして基本的な知識と自我は既に出来上がっているのだ。 ゆっくりが生まれる前の赤ゆにやたら話しかけたり、おうたを聞かせたりするのはそれを本能で理解しており、赤ゆをゆっくりさせようとするからなのだが…… このれいむは親の励ましやゆっくり出来るおうたの代わりに、最もゆっくり出来ない呪詛を聞かされ続けたのだ。 れいむは怯えた。まだ見ぬ親に、れいむをゆっくりさせない呪詛に。 (おきゃーしゃん、りぇいみゅいいこにしゅるよ!わがみゃみゃもいわにゃいよ!おきゃーしゃんのいうとおりにしゅるよ! だきゃら、だきゃらりぇいみゅをきらわにゃいで、りぇいみゅをころしゃにゃいで………!!) 恐怖に怯えながらも無事生まれ落ちたれいむが最初に見たものは、全身を茶色い帯でぐるぐる巻きにされたゆっくりと、大きな胴付きゆっくりだった。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!!」 「……解った、ゆっくりしてけ」 産声代わりのご挨拶にお返事が無かった事を不審に思ったれいむが再度ご挨拶をした時、お返事を返してくれたのは胴付きの方であった。 お返事を返してくれた方が親に違いない。そう感じたれいむは胴付きの方へ駆け寄って呼び掛けた。 「ゆっ!おちょーしゃん!」 「……ゆ゛っ゛!?」 「……何?」 その言葉に激しく反応したのはぐるぐる巻きにされたゆっくりだった。 「……俺はお前の親じゃないぞ?お前の親はこっち」 「お、おちびちゃん………、れいむがおちびちゃんのおかーさんだよ……?そっちのじじいじゃないよ………?」 『おとーさん』が親である事を否定する脇から、恐る恐るといった様子でぐるぐる巻きのゆっくりが話しかけてくる。 しかし、れいむはその声に聞き覚えがあった。 それが生まれ落ちる寸前まで聞こえて来た呪詛と同じ声だと気付いたれいむは即座に否定した。 「ゆっ!ちぎゃうよ!おきゃーしゃんはりぇいみゅに『ちねぇ!!』にゃんていわにゃいよ!!」 「ゆ゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛!?!?!?」 れいむの言葉に仰天して顔色を失ったぐるぐる巻きのゆっくりだが、すぐに言い訳を始める。 「ち、ちがうよ!れいむはおちびちゃんにいってたんじゃないよ!!こっちのじじいにいってたんだよ!!」 だが、その言葉はれいむの怒りを逆撫でしてしまった。 (おちょーしゃんをじじぃってよんだにぇ!!もうゆるしゃにゃいよ!!) ゆっくりは舌足らずながら、生まれた直後から言葉を使ってコミュニケーションをとる事が出来る。 それは即ち『会話に必要な経験を既に会得している』事を意味している。 人間や動物でさえ『学習』しなければ会得できない『経験』を、ゆっくり達は餡子を繋げる事でクリアしているのだ。 生まれたての餡子脳に蓄えられた僅かな語彙の中から、『じじい』と言う言葉が蔑称である事を理解していたれいむは、 更なる怒りを込めて目の前の汚物に言い放つ。 「そりぇにおきゃーしゃんはしょんなゆっくちできにゃいことをいわにゃいよ!!!」 「ゆ゛ぎゅ゛う゛う゛う゛う゛う゛っ゛!!」 「まあ、そりゃそうだな。普通なら『じじい』なんて呼ばれてゆっくりできる訳無いって解るもんな。偉いぞ、ちび」 悶絶する汚物と裏腹に、正しいご挨拶が出来た事を褒めてくれる『おとーさん』。 生まれる前から死に怯え、親との対面に恐怖すら抱いていたれいむにとってそれは何物にも勝る福音だった。 だが、そんなしあわせー!な時間は長くは続かなかった。 生まれて初めての食事、その一連の騒ぎの中で自分があの汚物の娘である事を突付けられてしまったのだ。 『おとーさん』の冷たく突き放したような言葉、自分を犠牲にしてまでれいむをゆっくりさせようとしてくれた親らしきゆっくり。 それらが全てあのぐるぐる巻きのゆっくりが母親である事を証明している事を受け入れたれいむは、茶色い帯の隙間に覗く母の頬にすーりすーりする。 「おきゃーしゃん……ありがちょう…………りぇいみゅ、がんびゃってゆっくちしゅりゅよ……」 そして母の忠告に従い美味しそうな匂いがする茎を避け、何故かゆっくり出来ない雰囲気を醸し出す餡子をむーしゃむーしゃした時、悲劇は加速した。 「あんきょさん、ゆっくちりぇいみゅにたべられちぇね……、むーちゃむー……ゆげぇえええええっ!!!」 口内に走る激痛、同時にこみ上げてくる吐き気と悪寒に、れいむは自分の餡子を吐き出してしまったのだ。 もし『おにーさん』の的確なアドバイスが無ければ、れいむのゆん生はそこで終わっていただろう。 一命を取り留めたれいむは、『おにーさん』から事情を聞かされた。 にんっしんっしたゆっくりが罹るというと言う流行病に感染した両親が、せめて子供達だけはと自分の身と引き換えに治療を依頼したと言う事、 治療が成功したのはれいむ只一人であり、それを見届けた母が錯乱してあんな奇行に走った事。そして…… 「………りぇいみゅ、ちぬの?きゃらいきゃらいしゃんは、どくなんでちょ?」 れいむの中身が、母の命を奪った毒物で出来ている事を。 『おにーさん』によれば、それでれいむが死んだりする事は無いが、通常のゆっくりにとってのご馳走である甘味が猛毒になる為、普通のご飯は食べられなくなったらしい。 「まあ、この治療法で助かっただけでも御の字だろうさ。お前の姉妹は十匹近く居たんだぞ?それがお前残して全滅だ」 この病に感染した大人のゆっくりはまず助からないそうだ。 生まれる前の赤ちゃんだけは助けられるらしいが、万に一つの確率でしかない。実質、不治の病で死の病なのだという。 れいむは心の中で両親と姉妹に何度も謝罪した。 そんな事も知らず、れいむは母を罵倒した。心の中で汚物扱いさえしてしまった。命を懸けて自分の誕生を見守ってくれていたのに。 父はゆっくりの身では購い切れない治療費の為に自ら加工所へ向かったそうだ。そこまでして助けてくれた事に、れいむの胸が熱くなる。 十人近く居た姉妹は治療に堪え切れず永遠にゆっくりしたという。見た事も無い姉妹が自分の代わりに犠牲になったようで、れいむの心に罪悪感となってのしかかってくる。 だが、涙を流して死んでしまった家族達に詫び続けるれいむを、『おにーさん』は一喝した。 「お前がいつまでもグジグジ泣いててどうするよ。頑張ってゆっくりするんだろ?だったら泣いてる暇なんか無いだろうに」 「…………ゆん!わきゃったよ!りぇいみゅ、がんびゃってゆっくちしゅりゅよ!」 『おにーさん』の励ましを受け、れいむはそのゆん生の第一歩を踏み出した。 しかし、れいむのゆん生はいきなりの挫折を迎えた。 自分を治してくれた『おにーさん』の厚意によって当面の住居と食事を確保したは良いが、その『おにーさん』が全然ゆっくりしてくれない。 毎日、朝早くに慌ただしく出かけて行ったっきり深夜になるまで帰ってこないのである。 如何にれいむの聞き分けが良くてもまだ生まれたての赤ゆだ。 本来なら付きっきりで面倒を見なければいけないのだが、そんな事おかまい無しで『おにーさん』は出かけてしまう。 留守の間はここに居ろ、と入れられた水槽の中で一人寂しく遊びながら、れいむは不満を募らせていた。 (りぇいみゅいいこにしてりゅよ……わがみゃみゃもいわにゃいよ……おにーしゃんのいうとおりにしてりゅよ……。 ……にゃんで、おにーしゃんはりぇいみゅとあちょんでくりぇにゃいの……?) 我侭の一つも言わず、ゆっくりの常識からすれば有り得ない『赤ゆだけのお留守番』を続けるだけの日々。 日を追う毎にれいむの不満は膨れ上がっていく。そしてその不満はとうとう爆発した。 「……おにーしゃぁああああん!ゆんやぁああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 突然泣き出したれいむに吃驚した『おにーさん』。慌ててれいむを宥めながら話を聞く。 「……ぐすっ……おにーしゃん……なんで、りぇいみゅをおいちぇいくにょ……?りぇいみゅのこと……きらいなにょ………?」 りぇいみゅをおいちぇ、どきょにいきゅの……?いっちょにゆっくち、しちぇくりぇにゃいにょ………?」 「あん?何処にって……会社だよ。仕事をしに行ってるんだよ」 さも当たり前のように返された言葉に、れいむは顔を上げて質問を重ねる。 「……おしぎょちょ……?」 「あー………、お前らで言う狩りみたいなもんだ。もっと難しくてややこしいがな」 「にゃんで、しょんにゃこちょしゅりゅにょ……?」 「そりゃ俺が人間だからだよ。人間は仕事をしなきゃ食って行けないんだ」 その答えに、れいむは頭だけで器用に首を傾げた。 「……にんげんしゃん?」 『おにーさん』が詳しく調べた所、どうやられいむの餡子脳に焼き付いたゆっくりの常識は相当曖昧になっているらしい。 今まで人間とゆっくりの区別がついていなかったのかよ、と『おにーさん』は呆れたが、どうやら原因は彼にあるようだった。 「実験もとい治療の副作用だな。こんな結果が出るとは俺も思ってなかったが」 治療の為に母親の頭から切り離されたため、本来生まれ落ちるまでに受け取る筈だった記憶や経験が一部受け継がれていないのが原因らしい。 「ゆぅううううん!じゃあおにーしゃんはにんげんしゃんなんだにぇ!」 「ああ、そうだ。んで、お前はゆっくりって訳だ」 たっぷり時間を掛けた説明により、れいむにもようやく『おにーさん』達が『人間さん』と呼ばれる種族で、ゆっくりとは違う生き物らしいことが理解出来た。 そして『人間さん』は毎日お仕事をしなければいけないと言う事も。お仕事って何をするの?と尋ねるれいむに、『おにーさん』は苦笑しながらこう応えた。 「そうだな、お前にも解るように言うなら『他人をゆっくりさせる』事だ」 その答にれいむは仰天した。他人をゆっくりさせる!?その為に、『おにーさん』は毎日ゆっくり出来ないのに!? その疑問を素直にぶつけて来たれいむに対し、『おにーさん』はこう返したのだ。 「いいか、れいむ。俺は野菜を作れないし、服だって作れない。家なんて尚更だ。でも、野菜を作る農家の人や服を作る職人さん、家を建てる大工さんが出来ない事を俺は出来る。 だから俺が出来ることで誰かをゆっくりさせてあげて、同じように俺の出来ない事でゆっくりさせて貰うんだ。それが、仕事をする、働くって事なんだよ」 そう言ってお仕事に向かう『おにーさん』の背中を呆然と見送りながら、れいむの中にある思いが芽生えていた。 そうだ、いつまでも泣いてばかりは居られない。父や母、そして姉妹が分けてくれたゆっくりのおかげで生き残った自分には、やらなければならない使命がある。 人間さんが他人の為にゆっくりしないで頑張るように、れいむもまた皆をゆっくりさせねばならない。自分が貰ったゆっくりを、皆に返さないといけないのだ。 命と引き換えにしたゆっくりを、十人分以上も貰ったのだ。これから先の生涯全てを掛けても、はたして果たせるかどうか解らない。 (……しょりぇでも!りぇいみゅはやりとぎぇてみしぇりゅりょ!!おきゃーしゃん、おちょーしゃん、おにぇーちゃん、りぇいみゅをゆっくちみちぇちぇにぇ!!) れいむは知らなかったが、それは『ゆっくりがえし』と呼ばれる行為だった。 ゆっくりさせて貰った分、相手をゆっくりさせるという最も原始的なゆっくりの価値観であり、現在を生きるゆっくり達から失われてしまった美徳である。 図らずもれいむは両親から受け継ぐ筈だった記憶の代わりに、祖先の価値観を復活させた『先祖返り』を起こしていたのだ。 とはいえ、ゆっくりはゆっくり。どんなに壮大な目標を掲げようが、生物界で最弱を誇る饅頭に出来る事などたかが知れている。 『おにーさん』のお仕事を手伝おうにも何がなんだかさっぱり解らなかったし、ご飯を集めてこようにも何処に何があるのかすら知らなくてはどうにもならない。 れいむの意気込みは早々に頓挫した。 「お゛に゛い゛じゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!ごべん゛な゛じゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 しかし自分が何も出来ない無能であると知ったれいむが号泣しながら『おにーさん』へ謝った時、彼はこう言ってくれたのだ。 「お前、まだ赤ゆだって事忘れてないか?何も出来ないなら、出来る事を覚えりゃ良いんだよ。 第一、子供の仕事は勉強だぞ?お前はまだ何も勉強してないだろうが。俺が教えてやるから、勉強してみろ」 『おにーさん』が教えてくれたのは、お家の中に沢山ある『ぴこぴこさん』の使い方だった。 『ぴこぴこさん』は大抵黒い小窓とセットになっており、使う度に小窓に何かが表示される。 『おにーさん』が言うには小窓に浮かんでいるのは文字と言う物で、『ぴこぴこさん』が何をしてくれるのかを教えてくれるらしい。 だが、文字はとても種類が多く、れいむがどうにか読めるようになったのはアラビア数字が精々。 最終的には二桁まで数える事が出来るようになったものの、平仮名や片仮名は幾つか読める程度以上にはならなかった。 それでも、れいむの赤ゆ言葉が抜ける頃には殆どの『ぴこぴこさん』を扱えるようになっていた。 「これでぴこぴこさんはつかえるようになったよ!」 「ぴこぴこじゃなくてリモコンだっての。……まあ、これだけ使えるなら留守番くらいは出来るか」 手狭になった水槽から出されたれいむに与えられた仕事は『おるすばん』である。 流石に来客の応対などは不可能なので、主にやるのは『おにーさん』の帰宅に合わせて風呂の追い炊きやエアコンのスイッチを入れる程度だが。 『おにーさん』からは『家の中を汚したり物を壊したりしなければ何をしてても良い』と言われていたが、れいむはなるべくリビングから出ようとはしなかった。 (おにーさんのたいせつなおうちは、れいむがまもるよ!!) そんな使命感に駆られ、れいむはリビングのサッシから毎日お外を見張っていたのだ。 決してリビングで日向ぼっこをしていたり、専業主婦よろしく昼ドラに見入っていた訳ではない、と思う。多分。 れいむが留守番を任されるようになってから一ヶ月余り経った頃、事件が起きた。 「ゆっ!ここをれいむたちのゆっくりプレイスにするよ!」 「「「「「ゆ~♪」」」」」 遅刻寸前だった『おにーさん』がうっかり閉め忘れた玄関から、野良らしきれいむの一家が侵入して来たのだ。 「ここはおにーさんとれいむのゆっくりプレイスだよ!!かってにはいってきちゃだめだよ!!」 「ゆん?おかーさん、あそこにへんなれいむがいるよ?」 「ゆ?……ゆっくりできないれいむはゆっくりしねぇ!!」 全く無遠慮に、我が物顔で上がり込んでくる一家を押しとどめようと姿を現したれいむに向かい、全力で体当たりしてくる親れいむ。 生まれて二ヶ月しか経ってないれいむが抵抗できる筈も無く、呆気なく吹き飛ばされてリビングの中央まで吹き飛ばされた。 「ゆぎぃ……いじゃいよう………」 「おちびちゃん!あんなへんなかみのけさんのれいむにちかづいちゃだめだよ!かみのけさんがあんなふうになるよ!」 「かみのけさんがあんないろになるのはゆっくりできないよ!」 「へんなかみのけのれいむはゆっくりしないでしんでね!」 れいむの髪は真っ赤に染まっている。勿論天然だが、明らかな異相を持つれいむをこの一家は『ゆっくりできない』と認定した。 しかしれいむは殺されなかった。病気か何かだと思われたからだ。 痛みに悶えて動けないれいむを尻目に、一家はリビングの様子に目を奪われていた。 カーペットが敷かれたリビングはとても広く、今まで暮らして来たお家とは雲泥の違い。 日当りの良さそうな窓際に置かれたムートンの座布団はふかふかで、実に座り心地が良さそうだ。 お城の形に積み上げられた積み木はカラフルで様々な形が用意されており、いくら遊んでも飽きないだろう。 車輪の付いた滑り台の階段は緩やかで、子ゆっくりでも簡単に登れるようになっている。 犬用の給水器に蓄えられたあまあまジュースは一家全員でも飲み切れまい。 その側に置かれた餌皿には、見た事も無いゆっくり出来そうなご飯が山盛りにされていた。 まさに一家が思い描いた理想の『ゆっくりプレイス』がそこにあった。 余りの感動にしばし無言になっていた一家だったが、一番小さな子れいむが鳴らした腹の音で我に帰る。 「ゆっ!みんな、あそこのごはんさんをいっぱいむーしゃむーしゃしようね!!」 「ほんとう!?あんなにいっぱいむーしゃむーしゃしていいの?ゆわ~い!」 「あんなごはんさんはみたことないよ!おいしそうだね!」 親れいむの言葉に一番大きな子まりさが喜び、恐らく次女であろうれいむがその味を想像して涎を垂らす。 そして一回り小さな子まりさ二匹と子れいむが餌皿に向かって駆け出した。 「まりしゃがいちばんさいしょだじぇ!」「まりしゃがさきだじぇ!!」 「おにぇーしゃんずるい!れいみゅもむーちゃむーちゃしたいよ!」 その姿に苦笑しながら、親れいむも食事をするべく餌皿に向かう。 その足を止めたのは、背後から聞こえて来たか細い声だった。 「……だめだよ……それは、れいむのごはんさんだから………たべちゃ、だめなんだよ………」 「なにいってるの!れいむはしんぐるまざーなんだよ!かわいそうなんだよ! そんなれいむからごはんをうばおうとするれいむはゆっくりしないでしんでね!!」 痛みで涙目になりながらも、赤髪のれいむは餌皿に向かう一家を制止する。 が、親れいむには只の強がりにしか見えなかった。 潰してしまいたいのを我慢しながら、親れいむは餌皿に目を向ける。 視線の先では一着を取ったらしい子まりさが、大きく開けたお口でご飯に齧り付く所であった。 「ゆっくちいただきます!むーちゃむー……ゆげぇえええええ゛え゛え゛え゛え゛え゛っ゛!!」 「ま、まりさぁああああ!?!?!?」「おにぇーしゃぁああん!?」「ゆわぁあああ!?まりさのいもうとがぁあああ!!」 だが、そんな微笑ましい光景が即座に地獄に変わる。 餌に齧り付いた子まりさが突然、明らかに致命傷な量の餡子を吐き出したのだ。 仰天した親れいむが駆け寄るが、子まりさは既に「ゆ゛っ゛……ゆ゛っ゛……」と虫の息。もう助からないのは一目瞭然だった。 それでも一縷の望みを懸け、親れいむは給水器のジュースを勢い良く吸い込んだ。 「……ゆ゛っ゛!?!?!?」 最初に感じたのは違和感。舌先が痺れるような、ちっともあまあまじゃない感覚。 一瞬遅れて襲って来たのは、全身を打ち抜く途轍も無い衝撃であった。 「ぶべぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ゛!!!!!な゛に゛ごれ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ゛!!!!!」 口に含んでいたジュースを思いっきり吹き出す親れいむ。その飛沫は、子れいむの周りに集まっていた子供達に直撃した。 真っ赤なそれが無防備な子供達に降り掛かる。次の瞬間、子供達は魂消るような絶叫をあげて苦しみ出した。 「ゆぎゃああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!い゛じゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛い゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛っ゛!!!!」 「おべべがぁ!!りぇいみゅのきれいなおべべがぁああ゛あ゛あ゛!!!」 「いだい!いだいぃい!!とって!これとってぇええ゛え゛え゛!!」 「おぎゃあぢゃぁあああん!!いだいよぉおおお!!はやぐべーろべーろぢでぇええ゛え゛え゛!!」 阿鼻叫喚に陥る一家。山盛りになった『激辛スナック菓子』と『タバスコの希釈液』という劇物がもたらした悲劇であった。 「ゆ……だからいったのに………」 赤髪れいむがぽつりと漏らす。耳聡くそれを聞きつけた親れいむが鬼の形相で詰め寄った。 「おばえの、おばえのしわざだね!!ゆるさないよ!!」 「れいむのせいじゃないよ……、れいむはとめようとしたんだよ……。 それより、このままじゃおちびちゃんたちがしんじゃうよ、きっちんにいけばおみずがあるから、それであらえば……」 「ゆっ!だったらゆっくりしないでさっさとおみずさんをもってきてね!!」 「きっちんのながしだいは、れいむたちじゃとどかないよ……、はしごさんをもっていかないと………」 痛む体を引き摺って、赤髪れいむはキャスター付きの滑り台へ向かった。 実はこの滑り台、赤髪れいむの手が届かない所をカバーする為に用意された足場なのだ。 ゆっくり用の遊具の中で、足場代わりになりそうなものがこれしか無かった為である。 車輪が付いているので、赤髪れいむでも一生懸命押せば動かす事が出来た。 「ゆんしょ、ゆんしょ……」 とはいえ、それは万全の体調だった場合の話。 倍程も違う親れいむに突き飛ばされた赤髪れいむに、そんな力は出せなかった。 「なにやってるの!ぜんぜんうごいてないよ!このぐず!!れいむはぐずはきらいだよ!!」 そして赤髪れいむの怪我の元凶である親れいむは手伝おうともしないで、必死に踏ん張るれいむに罵声を浴びせるだけだった。 そうこうしている合間にも、子供達の苦痛の声は続いている。そしてとうとう、一番小さなれいむが痙攣を起こし始め、 「……もっちょ………ゆっくち……しちゃかっ………」 その言葉を最後に、遂に動かなくなってしまった。 「ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!お゛ぢびぢゃ゛ん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 番だったまりさが残した大切な忘れ形見の、あまりにもゆっくり出来ない最後に母れいむは絶叫する。 何故、どうしてこうなった?母れいむの脳裏で渦巻く疑問。 まりさが死んでご飯が獲れなくなり、周りの草花を喰い尽くして虫さえ寄ってこなくなったお家の代わりを探しているうちに見つけた大きなお家。 随分慌てた様子で人間さんが出て行くのが見えた。恐らくこのお家がゆっくり出来なくなったので他のお家を探しに行ったのだろう。 だったらこの空き家は自分達が貰おうとお家宣言した途端、突然現れた変なれいむに邪魔をされた上に大切なおちびちゃん達を殺されてしまった。 そうだ、全てこの気持ち悪いれいむの所為に違いない! あまりにも身勝手な、真実とは程遠い捏造された記憶から導き出された結論に突き動かされ、親れいむは赤髪れいむに躍りかかった。 「げずな゛れ゛い゛む゛ばゆ゛っ゛ぐり゛じな゛い゛でじね゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」 「ゆっ!?」 醜く歪んだ凶相を振りかざして勢い良く跳ね上がって踏み潰そうとする親れいむの姿に圧され、赤髪れいむは咄嗟に転がって避ける。 目標を見失った親れいむは、そのまま先程まで赤髪れいむが動かそうとしていた滑り台に激突した。 赤髪れいむより大きな質量を叩き付けられた滑り台が、与えられた運動エネルギーのままに勢い良く走り出す。 その車輪の先にいたのは、未だにタバスコに苦しみもがく子供達であった。 「ゆ゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ごろ゛ごろ゛ざん゛ごっ゛ち゛ごに゛ゃ゛い゛で゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 慌てて横へ転がり、逃げ出す子れいむ。 そして逃げ遅れた子まりさ達が気付いた時には、滑り台は目前に迫っていた。 そして、 「ゆべっ!!」 まだ小さな子まりさを引き潰し、その皮と餡子を車輪に巻き込み、 「ゆがっ!!」 大きい子まりさを跳ね飛ばして、ようやく滑り台は止まった。 「ゆ~おそらを……づみ゛ぎざん゛どい゛て゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!ゆ゛びゃ゛っ゛!!!!!」 跳ね飛ばされた子まりさを受け止めたものは、お城の形に積み上げられていた積み木だった。 ガラガラと崩れ落ちる積み木に埋もれるまりさを一先ず置き、親れいむは車輪に車輪に巻き込まれたまりさの元へ向かう。 何故なら、それだけの大惨事にも拘らず、まりさはまだ生きていたから。 「おぎゃあじゃああああん………いぢゃいよぅ…………たぢゅけでぇええ…………」 とはいえ、最早助からないのは明白だった。 生まれて間もない赤ゆの柔らかい肌が仇となり、体の大部分を車輪に巻き込まれてしまった為に動く事すら敵わない状態。 溢れた餡子が車輪に押し戻され、塞がれていたのも不運であった。 自力で這い出す事も出来ず、傷口を車輪で塞がれているので失餡死すら出来ず、まりさに出来たのは母に助けを求める事だけだった。 「おぢびじゃあああああん!!いまたすけるからねぇえええ!!」 「ゆっ!だめだよ!いまうごかしちゃったら……!!」 赤髪れいむの制止すら聞かず、親れいむはまりさの上に鎮座している滑り台を退かそうと動かした。動かしてしまった。 「ゆ゛ぐぁ゛w゛ぜd゛r゛f゛t゛g゛y゛ぶじごl゛p゛!!!!!!!!!」 声にならない叫び声をあげ、まりさがぷくーっ!したかと思った次の瞬間、餡子を散らして爆ぜた。 何が起こったのか理解できずに硬直した親れいむに、返り餡が浴びせられる。 ほかほかの、まだ温かい餡子が親れいむの金縛りを解いた。 「お………おちびちゃぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ん゛ん゛ん゛っ゛!!!!!!!!!」 先程までの絶叫を超える、とんでもない声量の絶叫に窓ガラスがビリビリと震える。 親れいむが滑り台を動かした事で体内の餡子が押し出され、まりさの体が内圧に堪えられずに破裂したのだ。 赤髪れいむの制止を聞いていれば、あるいは助かる可能性があったのかも知れない。 よりによって親れいむは自分でその可能性を摘み取ってしまったのだ。 しかし親れいむはそれを認めなかった。 餡子をフルに回転させ、自分の子供を殺した犯人を捜す。 瞬き程の時間を掛け、親れいむは赤髪れいむが犯人であると確定した。 「こぉおおおのぉおお!どげすがぁあああああ!!!」 「ゆ゛っ゛!?」 鬼の形相で睨みつけてくる親れいむに、赤髪れいむの全身がすくみ上がる。 「おちびちゃん!このげすをころすよ!てつだってね!………おちびちゃん?」 自分の呼び掛けに返答が無い事を不審に思った親れいむが、積み木のあった場所に目を向ける。 そこにあったのは、全身を積み木に貫かれたまりさの姿だった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!」 最早何度目かも解らない親れいむの絶叫が響き渡る。 積み木は前日に赤髪れいむと『おにーさん』によってお城の形に積み上げられていた。そこにまりさが突っ込んだのだ。 屋根に使われていた三角錐、城壁に使われていた立方体に直方体、塔に使われていた円柱や角柱。 怪我をしないよう角を丸く削った配慮も意味を成さず、方体に削られ、円柱に打たれ、とどめに中枢餡を三角錐に貫かれたまりさは悲鳴を上げる間も無く即死したのだ。 一先ず置かれた時にはもう死んでいたのは幸いだったのだろう、親れいむに見捨てられる瞬間を目撃しなくて済んだのだから。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でい゛ぶの゛お゛ぢびぢゃ゛ん゛だぢがじん゛じゃ゛っ゛だぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!…………ゆっ!?」 相次ぐ愛娘の死に狂乱していた親れいむがふと気付く。 親れいむのおちびちゃんはまりさ、れいむ、まりさ、まりさ、れいむ、の順番である。 その内死亡が確認できたのはまりさ、まりさ、まりさ、れいむ、だ。 (……そうだよ!れいむにはまだれいむににたおちびちゃんがいるよ!) そう、次女に当たるれいむはまだ無事な筈だ。先刻、滑り台がぶつかる寸前に逃げ出したのを親れいむは目撃している。 だが、先程の呼び掛けに返事を返してくれなかったので忘れていたのだ。 まさかタバスコにやられてしまったのか?不安になった親れいむが視線を巡らすと、親れいむから若干の距離を置き、子れいむがこちらの様子を伺っているのが目に入る。 「おちびちゃあああん!!ぶじだっ「こっちくるなぁああああ!!」ゆ゛っ゛!?!?」 我が子の無事を喜び駆け寄ろうとした途端に拒絶され、親れいむの足が止まる。 よく見れば子れいむは警戒心を露にしており、親れいむの事を仇を見る目で睨みつけていた。 「ど……どうしたの、おちびちゃん?れいむはおかーさんなんだよ……?どうしてそんなめでみるの……?」 恐る恐る問いかける親れいむに、子れいむは憎悪の篭った昏い瞳を向けて吐き捨てる。 「ゆっくりごろしのゆっくりできないおやは、ゆっくりしないでしね!!」 「どぼじでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛!?!?」 愛娘から浴びせられた罵声に目を剥いて驚愕する親れいむ。 しかし、子れいむは親の言葉を一蹴した。 「どうしてって、よくいえるね!れいむのいもうとたちをころしたのはおまえじゃないかぁあああ!!」 そう、自分の所行をまるで理解していない親れいむの凶行を、子れいむは全て目撃していたのだ。 毒を食べる様命令して妹まりさを殺し、自分達に痛くなる液体をぶち撒けて妹れいむを死なせ、滑り台で姉まりさを跳ね飛ばした上に妹まりさを轢き、とどめまで刺した。 いや、それ以前にこの地獄のような場所に子れいむ達を連れて来たのは他でもない、この親れいむである。 既に子れいむには目の前のゆっくりが親であるという認識は無い。姉妹を殺し、自分をも苦しめた仇敵にしか見えなかった。 一方、親れいむは娘の拒絶に困惑していた。 一体何を言っているのか?親れいむが子供達を殺しただなんて、とんでもない言い掛りだ。 第一、子供達を殺したのはあの気持ち悪いれいむであり、一緒に制裁しようとして無事な娘を呼んだのに。 そこまで思考が及んだ時、親れいむの脳裏に閃くものがあった。 (……ゆ?もしかして、おちびちゃんはあのげすのなかまなの?) それは証拠も何も無い思い付きだが、親れいむはその仮定をあっさり肯定してしまう。 途端に親れいむの視界から娘が消えた。その代わり、ゆっくり出来ないゲスれいむが目の前に居る。 体の奥底から湧き上がる憎悪に身を任せ、親れいむは先刻まで愛娘と信じていた子れいむに踊り掛かった。 「ゆっくりできないげすはしねぇええええええ!!」 突然跳ね上がった親れいむを、子れいむは滑り台の時と同じく転がって避けようとする。 「ごーろごーろするよ!!……い゛じゃ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 子れいむが転がった途端、余りにも堪え難い痛みが全身を貫く。皮のあちこちにタバスコが染み込み、火傷と同じケロイド状態になっていたのだ。 何かが触れる度に悶えて転げ回れば転げ回る程、被害は拡大していく。 痛みに霞む子れいむの視界に、上空から親れいむのあんよが急速に近付いて来る様が映し出される。 「ごっ゛ぢぐる゛な゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 激痛で満足に動けない体では避ける事も出来ず、子れいむは親れいむの踏み付けを喰らうしか無かった。 「ゆ゛びぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!い゛じゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!」 一回り大きな親れいむの体が子れいむを押し潰す。だが、子れいむは生きていた。 中途半端に避けた所為で、体の大部分を潰されても中枢餡は無事だったからだ。 どうあっても助からないのは目に見えていたのだが。 「ゆっくり!!できない!!くずは!!ゆっくり!!しないで!!しねぇ!!!」 「ゆ゛ぎっ゛!!い゛だい゛っ゛!!や゛べで!!ぢん゛ぢゃ゛う゛!!でい゛ぶ!!じん゛じゃ゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 親れいむが子れいむの上で飛び跳ね始める。子れいむにとどめを刺すつもりなのだ。 「や゛べで!!お゛ぎゃ゛あ゛じゃ゛ん゛や゛べでぇ゛え゛え゛え゛!!」 「うるさいよ!!おやにしねっていうげすは!!れいむのおちびちゃんじゃないよ!!」 微妙に中枢餡を外して執拗に繰り返される踏み付けに、子れいむが先程までの遣り取りを棚に上げて助命を懇願するが、母れいむは耳を貸さない。 子れいむは必死で逃げ出そうとするが、動き出すよりも先に母れいむの攻撃が当たる為に動く事もままならない。しかしその時、双方にとって不測の事態が起きた。 「ゆわあっ!?」 「ゆ゛っ゛!?」 子れいむの執念が通じたのか、親れいむが足を踏み外して無様に転げ落ちたのだ。その隙に子れいむは這いずるように逃げ出す。 「ゆ゛びぃ゛……ゆ゛ぐぅ゛………」 子れいむの体は半分が潰され、餡子が半分程も流れ出した状態であった。 こうなっては最早手の施しようは無い。むしろ一息に潰してしまった方が余程慈悲深いだろう。 それでも、子れいむは母から逃げるように這いずり始める。 激痛に顔を歪め、一歩ごとに餡子を漏らしながら、それでも尚見せる生への執着を、 「どこへいくの!?にがさないよ!!」 粉微塵に粉砕するべく、親れいむは猛然と子れいむに襲い掛かった。 満身創痍の子れいむと殆ど無傷の親れいむ。普通に見ればもう結果は見えているも同然であったが、それでも子れいむは歩みを止めない。 いよいよ母の兇手が届こうかという正にその時、子れいむはギリギリで目的の場所に辿り着いた。 「ゆ゛わ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!」 「ゆぎゃああああぁああ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!?!?!?」 親れいむが再び転げ回る。しかし今度のは自爆ではない。 「ゆ゛ぎぃ゛い゛い゛い゛い゛!!でい゛ぶの゛あ゛ん゛よ゛がぁ゛あ゛あ゛!!でい゛ぶの゛びぎゃ゛ぐがぁ゛あ゛あ゛あ゛!!」 親れいむが勢いよく踏みつけたのは、子れいむが最後の力を振り絞って引き寄せた積み木だった。 そう、子れいむは姉まりさの命を奪った積み木を目指していたのである。 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛……ざまあみろ、おねーちゃんといもうとのかたきだ……ゆぶぅっ………」 壮絶な笑顔を貼付け、子れいむはみっともなく転げ回る母を一頻り嘲笑うとそのまま力尽きた。 瀕死の体に鞭打ってまで求めたのが本当に敵討ちだったのだろうか?最早それは誰にも解らない。 ただ一つ確かなのは、子れいむ達姉妹が全滅した事で親れいむがしんぐるまざーからただのゆっくりに戻った、という事だけであった。 赤髪れいむは目の前で置きた出来事が信じられなかった。 母と娘が互いを罵り合い、そして殺し合った光景が。 「なんで……どうして……、おかあさんなんだよ………おちびちゃんなんだよ………かぞくなんだよ………」 見知らぬ自分の為に加工所へ行った父、知らずにとはいえ自分の為に毒を食べた母。 無償の愛を受けて生まれた赤髪れいむにとって、子を殺す親の存在なぞ理解の範疇に無い。 まして『ゆっくりがえし』を目標に立てている身からすれば、親を殺す子は居てはいけないもの。 混乱の極地に陥り、ただ震えているしか出来なかった赤髪れいむの漏らしたつぶやきを、親れいむは激痛の極地に居ながらも聞き逃さなかった。 「お゛ばえ゛ぇ゛……お゛ばえ゛の゛ぜい゛だぁ゛あ゛あ゛……でい゛ぶの゛お゛ぢびぢゃ゛ん゛が……み゛ん゛な゛じん゛じゃ゛っ゛だじゃ゛な゛い゛がぁ゛あ゛あ゛あ゛…………!!」 「ゆ゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛!?!?」 とんでもない言い掛りだが、赤髪れいむにはそれを否定することも抗議する事も出来なかった。 角の丸められた積み木にあんよの大部分を引き裂かれ、先程の子れいむを彷彿とさせる大怪我を負いながら。 鬼の如き形相で睨みつけ、地獄の底から響くような声で呪詛を叩き付けてくる親れいむの姿に、一切の思考が麻痺してしまったのだから。 「ぞごぉ゛お゛お゛お゛う゛ごぐな゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……………お゛ばえ゛だげばゆ゛る゛ざな゛い゛よ゛ぉ゛お゛お゛お゛…………」 「ゆんやぁああああああぁああああああっ!!こないでぇえええええぇえええええええ!!」 幽鬼のようにずり、ずりと這い寄ってくる親れいむ。その余りの迫力に赤ゆのようにしーしーを漏らしながら、赤髪れいむは涙を流して怯えるだけ。 金縛りになった赤髪れいむの目前に立ち、親れいむは鬼の形相のまま彼女に迫った。 「じぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛ね゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!」 「ゆぎゃぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!……ゆ゛げぇ゛っ゛!!」 恐怖が限界に達したのか、赤髪れいむが餡子を吐く。血よりも尚真っ赤な色をした餡子が返り血のように親れいむに降り掛かる。 「ゆ゛ぎべぎゃ゛お゛ごお゛お゛お゛う゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛!?!?!?!?」 次の瞬間、名状し難き悲鳴を上げて悶絶したのは、親れいむの方であった。 全身を苛む痛みを一瞬で吹き飛ばす激痛に転げ回り、先程赤髪れいむが漏らしたしーしー溜まりに親れいむが突っ込む。 「ゆ゛じゃ゛ぎゃ゛ぎごげぐぐぐぎぼぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!!!!!」 破けたあんよから覗く親れいむの餡子を、赤髪れいむのしーしーが強烈な痛みで灼いていく。 灼熱する痛みに脳裏を真っ白にして悶え苦しむ親れいむに度肝を抜かれ、赤髪れいむは立ちすくむのみ。 「どぼじで…………でい゛ぶが…………ごん゛な゛べに゛……………、も゛っ゛ど………ゆ゛っ゛ぐり゛………じだがっ゛………………」 たっぷり苦しみ抜いた後、末期の言葉でさえ自分の罪を認めないまま、親れいむも先立った子供達の後を追う。おそらくあの世でも殺し合うのだろうが。 後に残された赤髪れいむはそのまま『おにーさん』が返って来るまで呆然としていたのだった。 『ゆっくりは、ゆっくり出来ないと判断したものを排除しようとします。 ゆっくり出来ないものには個体差がありますが、大きく分類すると『自分の命を脅かすもの』と『自分を不快にさせるもの』に分かれます。 前者は言うまでもありませんが、後者は矯正が必要な場合が多々ありますので、注意が必要です。 ゆっくりは異相の同属を認めません。自分と同じようで違うものを見せられて不安になってしまうからです。 お飾りを無くしたゆっくりが排除されるのも同様で、自分がお飾りを無くした様に感じられて不安になる為です。 ですので、同属への攻撃癖を矯正する場合は不安を取り除く方向で教育しましょう。 また、ゆっくりは自分の罪を受け入れる事をしません。悪い事をした、と認めてしまうとゆっくり出来ないからです。 その為往々にして『自分は悪くない、全部あいつが悪い』と責任転嫁してしまう事がよくあります。 まずは自分がやった事を認めさせる事から始めましょう。 この際にお仕置きは控えましょう。苦痛から逃げる為に口先を合わせて来る事がありますが、心の中では事実を認めていません。 一方的に責め立てるのでは無く、こんなことをしたらゆっくり出来なくなる、と認識を変えさせる事を第一にしましょう。 悪い事をしたら、誰が、どのようにゆっくり出来なくなるのかを理解できるまで説明してあげてください。 根気のいる作業ですが、この基本の躾が出来ないとゆっくりはゲスになり易くなってしまいます。 何事も基本が肝心、ゆっくり躾けていきましょう』 ~新ゆっくりバッジ認定協会監修『ゆっくりの躾け方 バッジ取得マニュアル』より抜粋~ 長い回想から目覚めたとき、れいむは自分に掛けられたタオルケットに気が付いた。 どうやら回想しながら眠ってしまったらしい。時計に目をやれば朝の八時、『おにーさん』はもうとっくに出掛けてしまってる時間だ。 起き抜けで霞む目を瞬かせると、頬が何やらごわついているのを感じる。 (ゆっ、れいむ、ないたままねちゃったんだ……。 れいむがなきながらねてるのをみて、おこさないようにしてくれたんだね……。ありがとう、おにーさん……) 涙に暮れる様を見られて尚落ち着ける程、れいむの肝は太くない。その事を慮ってくれたのだろうとれいむは察していた。 あの野良れいむ親子の襲撃において、親れいむを悶絶死させたれいむの体液を調べた『おにーさん』は、残酷な事実をれいむに告げたのだ。 「れいむ、お前……多分、子供が作れない体質になったんだ」 『おにーさん』に因れば、れいむの中身は豆板醤と呼ばれるものに近いらしい。餡子と同じく豆を原料にしているからだろうか。 ただ、一般に出回っている豆板醤の辛さを大きく上回っており、殆ど唐辛子ペーストと呼んで良い程なのだと言う。 それ故れいむから排出される全ての体液が辛味を帯びているのだ。親れいむが死んだのはその所為だ。 問題はそれが『全ての体液』に含まれている事にある。しーしーやうんうんだけじゃなく、汗や涙に唾液、そしておそらく精子餡にも。 すーりすーりやぺーろぺーろ等、ゆっくりのスキンシップには体を触れさせるものが多い。それは即ち汗や唾液に触れる機会が多いということ。 ゆっくりにとっての劇薬で構成されている今のれいむには、それらが一切出来ない。 それだけではない。子供をにんっしんっするならパートナーとのすっきりーっ!が必要だ。すっきりーっ!で放出される体液は精子餡だけではない。 まむまむから分泌される潤滑液や快感に伴う発汗、ぺーろぺーろ等の前戯で交わす唾液等、互いの体液が満遍なく混じり合うのがすっきりーっ!である。 そんな行為をれいむが出来る訳が無い。更にいえば、れいむの中身に触れた精子餡は例外無く死滅するであろう事も解っている。 つまり、れいむは子供を生む事も生ませる事も出来ないのだ。 あのれいむ親子のように、いや自分を生んでくれた両親のように自分のおちびちゃんとゆっくりする事が出来ない。それはどんな拷問よりも尚深い苦しみだった。 この体質を治せないのかと尋ねても、『おにーさん』は「それは出来ない」と即否定した。 「お前の体質は実験、もとい病気の治療に因るものだ。こればかりはどうしようも無いな」 身も蓋もない断定に、れいむの絶望は深くなるばかり。 今でこそこうして昔話にも出来るが、当時は自殺しなかったのが不思議な位の荒れようだった。 ……いや、本当は今でも引き摺っている。 れいむが『おにーさん』のお家から一歩も外に出ないのは、あの野良の親子のように迫害されるのを怖れるだけではない。 もし、お外で優しいゆっくりと電撃的な出会いを果たしても、すっきりーっ!はおろかすーりすーりすら出来ない身ではどうしようもないのだから。 『おにーさん』をゆっくりさせようと頑張るのも、もしかしたら番を迎える事すら出来ない事の代償なのかも知れなかった。 時折、あの親子の事を思い出す事がある。 想像を絶する殺し合いを始めるまで、あの親子はとても仲良さそうにしていた。れいむには到底望めない家族の団欒があった。 その度にれいむは涙する。恐怖からではなく、羨望で。 『おにーさん』もその事は知っている。だから今日も涙に濡れて眠るれいむを起こさないでくれたのだろう。れいむは『おにーさん』の温情に感謝する。 リビングに置かれた茎の上で、空調に揺れるありす。 このありすはれいむとは違う体質になる可能性が高いらしい。その為ぺーろぺーろもすーりすーりも禁止されている。 この子はどんな子になるんだろう。れいむの様に生きてるだけでゆっくりを殺しうる危険なゆっくりになるのだろうか。 それとも、他のゆっくりとも一緒にゆっくり出来るゆっくりになるのだろうか? 「ゆ~♪ゆんゆんゆ~♪ゆっくりうまれてね~♪」 TVの児童番組で覚えた下手糞な子守唄を歌って聞かせながら、れいむは思う。 (おちびちゃん、ゆっくりしたこにうまれてね。れいむがゆっくりできないぶん、みんなをゆっくりさせてあげてね!) 父母と姉妹から貰ったゆっくりを、この子にも与えよう。そしてその分この子が誰かをゆっくりさせてくれるなら、れいむは最高にゆっくり出来る。 ありすが身震いを始める。生まれる前兆だ。 さあ、まずはどんなおはなしをしようか。 そんな事を思いながら、れいむはありすの誕生をゆっくり見守っていた。 ※と、いう訳で一言あきの「餡子ンペ09」参加作品です。 テーマは3.改造「失敗作の末路 or 無双 or リハビリ」。 ……実はこれ書き始めたの十月だったりします。 「遅ぇよ!」「長ぇよ!」等のお叱りはご勘弁を。本人が一番気にしてますんで。 ……後編も順調に滞っています。本当に十二月中に書き上がるのだろうか…… いや、書き上げなきゃ駄目なんですが。頑張ります。 お読みいただき、ありがとうございました。 ……冒頭のお兄さんの独白、実は実体験だったり。 時間か筆力、勝手に生えてこないかなぁ…… 今まで書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 274 嘘つきゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 277 騙されゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 301 勘違いゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 314 仕返しゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 410 お尋ねゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 557 捕まりゆっくり 挿絵:キリライターあき
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『ゆセロ』 今、僕は友人の部屋に来ている。 「新しいボードゲームを買ったから遊ばない?」 そう言って友人が僕を呼んだのだ。 「ゆセロ」それが友人の買ったボードゲーム。 独特のマニアックさが漂う厚いマニュアルをパラパラめくる。 「要するにルールはオセロなわけだ」 「そのとおり!」 8×8マスの盤の上で「くろ」と「しろ」のコマを使って陣取りをする。 コマとして使われるのが赤ゆサイズの「ゆっくりえーき」― 「コマが違うだけだね」 「まあゲームの進行的にはそう思ってくれていいわ」 オセロの場合は石の取り合いで色が変わる時は裏表ひっくりかえす。 一方この「ゆセロ」では、赤ゆっくりえーきの頭部のおかざりをひねる。 おかざりの前面が「黒」と「白」の2色になっているのだ。 またおかざりの底面からはピンが突き出ており、これがコマえーきの内部餡の言語をつかさどる部位に刺さっている。 このピンの刺激によってコマえーきは自分の色を発声する。 この発声もおかざりの色と連動している。 おかざりをひねって色を変えることにより「くろっ!くろっ!」の鳴き声連呼が「しろっ!しろっ!」に変化するわけだ。 「もともとは視覚障害者用に考案されたんだって」 「…その設定ってどうなのかな」 「それでは始めようか」 盤面上で配置されたえーきが鳴いている。 「しろっ!」「くろっ!」 「くろっ!」「しろっ!」 ゆセロの初期配置。これはオセロと全く一緒だ。 コマを振って僕が先手になった。 真空パックされた「黒」のコマのパッケージを開ける。 コマを一つ置く。 「白」のおかざりをひねって色を「黒」に変える。 「しろっ!」「くろっ!」 「くろっ!」「くろっ!」「くろっ!」 さあゲーム開始だ― ――――― ―ゲームは終了した。 激しく競り合ったつもりだったが終わってみれば僕の完敗。 「勝ったぁ~」 友人は極上の笑顔でコマのゆっくりえーきに笑いかける。 「えーきちゃん達~♪らぶらぶ~」 さらには一匹一匹にちゅっちゅとキスの雨を降らせる。 赤えーき達もしあわせそうな表情で友人のらぶらぶちゅっちゅに応えている。 だけど例のマニュアルによれば、「ゆセロ」の本番はむしろゲームが終了した後だと言うんだ。 つまり―― 「ヒャッハー!すーぱー虐たいむよおおお!!!」 「し?しぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい?!」 「くろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお?!!」 。 友人は手始めに盤中央の赤えーきに目を付けて、おかざりをぐりんぐりんとひねり出す。 「くろっ?」「しろっ?」「くろっ?」「しろっ?」 おかざりのピンが激しく赤えーきの言語中枢を刺激しているのだろう。鳴き声がどんどん意味不明になっていく。 「くろしろくろしろくろしくしくししkすいししくくくしし」 やがてそれも限度を超えた様で。ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ…と痙攣を始める赤えーき。 「さすがに限界かな~アタマが焼き切れちゃったかな~」 お飾りを引き抜くと、ちゅぽん、と液状化した餡子が流れ出す。 「も…もっちょ…しりょ…くりょ…しちゃかっ…ちゃ……」 「なーんだぁ!まだ鳴けるんじゃない!!ちっちゃいくせにすごいね!潰すけど!!」 ぺちゃり。 盤面の64匹の赤えーきの目が恐怖に染まる。 「ん~おびえるえーきちゃんたちも、ちょっちぇみょきゃわいぃわよ~!きょりょしゅけぢょ!」 赤ゆ言葉風に友人は盤面に顔を近づけて。 赤えーき共の一匹に視線をとめて、おかざりを引き抜く。 「ぱっく~ん!」 その赤えーきを一噛みする。さらには。 「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~!」 しあわせ宣言で盛大に食べカスをまき散らす。これを飼いゆっくりがやったらバッジ剥奪モノだ。 しかし友人には食べカスでも赤えーき共には同族の死体の破片だ。 それを全身に浴びせかけられる恐怖で震え上がって。 「くろろろろろ……」 「しろおお?しろおおお?」 「しっ…ししし…ししし……」 あーあー。しーしー垂れ流してるのもいるじゃないか。 「ゆセロセットには面白いアイテムが入ってるのよねえ~。そろそろ使ってみよっかな~」 友人は箱の中から「おかざり」を取り出した。 赤えーきが付けているものと形は同じだが、これは色が白でも黒でもなくオレンジ色だ。 栄養補助食品にこんなパッケージ 友人は赤えーきを一匹つまみ上げると、お飾りを抜いて、 「くろ!くろ!くろ!…ゆ!?」 オレンジ色のお飾りを突き刺した 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!?」 みるみる内にプチトマトサイズの赤えーきが膨れあがっていく。 「……何なのそれ?」 「これは成長促進おかざりね。中にゆっくりの成長を加速する特殊な薬剤が入ってるわけよ」 サッカーボール大にまで膨れあがったところで、友人はお飾りを引き抜いた。 「ぜんこー!?ぜんこー!?」 「はいはーい、善行しますよー!ぐりっ!」 「くろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!?」 友人はグレープフルーツを食べるときに使うようなギザギザのスプーン(どこから取り出したんだ?)でそのえーきの右目をくりぬいた。 「はい、あーん」 「僕は食べないよ、そんなの」 「もったいなーい。こんなに美味しいのにぃ」 続いて左目もくりぬくと、そのえーきを床に置いて足で蹴り上げ、ぽむぽむとリフティングを始めた。 「くろっ?!しろっ?!くろっ?!しろっ?!くろっ?!」 「やっぱりサッカーボールって白黒じゃないとね~はいパス!」 友人が不意に僕の方にえーきを蹴る。僕はそれを右手で受ける。 「岬く~ん、それハンドだよ」 「何だい岬君って」 「私が翼くんならあんたは岬くんに決まってるじゃん」 「岬君も翼君もわからないって」 「はあああああ?こんなの腐女子の基礎教養でしょおおお?」 「本当かよ。というか僕は腐女子とかじゃないし」 「僕っ子なんて全部腐女子でしょ?そうに違いない・そうに決まってる」 「なんで決めつけるんだよ。あと僕っ子って言うな」 僕が友人にボールを投げ返すと、友人はノートラップで窓の外に蹴り出した。 「飼いゆから野良ゆになっても元気に生きて行けよー!生きてたらの話だけど!」 「どうでもいいけど君は妙にボールさばきが上手いな」 「ボールは友達ッッッ!!!」 「じゃあそろそろフィニッシュに行くかな。あんたもえーきちゃん達のおかざりはずすの手伝って」 「まだ何かやるのかい……」 うぞうぞうぞ。おかざりをはずすと赤えーき達は我先に盤上から逃げだしはじめた。そこへ、 「だいびーんぐ・ぼでぃぷれぇ~す!」 友人が体を大の字に広げて飛び込んでいく。 「ゆべ」「くろぉ」「ぞっ」 「なんで全裸になってるんだ。というかいつの間に」 「餡子が付いたら服がよごれちゃうじゃない。それに全裸は淑女のだしなみでしょおおおお!?」 裸で赤えーき達をぐっちょんぐっちょんに潰していく友人の姿を僕はもうただ見ていることしかできない。 「あんたも一緒にやりなさいよ。裸になって」 「勘弁してくれよ」 「裸の女が二人でからみあってる姿もエロくていいでしょおお!?」 「僕は性的にはストレートなんだよ。レズっぽいのは遠慮しておく」 「レズじゃないよ?百合だよ?」 「君は百合というかウツボカズラじゃないのか。食虫植物というか」 「なんでウツボカズラやねん……あ、植物の『捕食種』と言いたいわけか!やったねたえちゃん、使うお題が一つふえるよ!」 まだ潰れていない赤えーきをつかむと、友人はお尻にねじ込む。 「くろくろぐ…ぐじゃいいいいい!?ぐりゃいいいいいいい!?」 形のよい友人のお尻からはみ出した赤えーきの尻がぶりんぶりんしている。 もう僕は何とコメントしていいのか。 「君それはもう痴女というかド変態じゃないか?」 「痴女でもド変態でも可愛いでしょ?♪みぎに ひだりに ゆーら♪ ゆーら♪」 「……」 「かっつやっくき~ん!フンハッ!!」 お尻の中の赤えーきの下半身がシュッポンと音を立てて飛び、僕の目の前に落ちる。 まあ確かに友人はド変態だが、そんな友人の姿を見ていると胸にほっこりとした感情が浮かんでこないこともない。 …これが「愛で」という感情だろうか? ----- (終) 一応お題は全部使った…はず。 「飼いゆと野良ゆ」「捕食種」は厳しいか?
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「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ・・・。ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛・・・。」 「ふぁぁ~・・・。何だもう朝か・・・。よいしょっと。」 とあるアパートの一室、朝8時に1人の男が目を覚ました。今日は誰もが昼まで寝ていたいと思う日曜日。 しかし、彼にとっての日曜日は自分の趣味をフル解放できる貴重な日・・・寝ている訳にはいかないのである。 特に、今回はある任務のために早起きする必要があった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ・・・。ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛・・・。ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ・・・ゆべぇ・・・っ。」 「さ~て・・・。早速森にでも出かけるかな・・・。」 ちなみにさっきから五月蝿い目覚まし時計の正体は、特製の『ゆっくり痙攣目覚まし(れいむバージョン)』だ。 時間になるとチューブが餡子を吸い出し強制的に痙攣させるのである。1つにつき約3日は使える仕様になっている。 目覚ましを止めると吸い出した餡子が戻るようできていたのだが・・・。 今使ってたれいむはどうやら力尽きてしまったらしい・・・。溜息を付きながら燃えるゴミに放り込んでおく。 「せっかくだし新しい時計用ゆっくりを調達するかな・・・。」 彼は人々からは『痙攣鬼異惨』と呼ばれていた。数少ないSランク所持者であり、政府からその腕を認められ 現在は『ゆ虐七連星』の1人となっている。呼び名の通りゆっくりの痙攣する姿が好きで好きで堪らないという、 ちょっと変わった趣向をを持つ人物だ。 「そうだ・・・。その前に生徒のレポートの評価しないと・・・。はぁ・・・。」 彼の仕事は某大学の教授である。最近出来たゆっくりについて調べる学部の教授であり、彼の講義にはいつも 溢れる程生徒が集まると言われている。 午前11時、ようやく解放された鬼異惨は近所にある森に足を運んでいた。基本ここに人は立ち入れず、 そのせいかゆっくり共がわんさか溢れている。 「ゆ!?にんげんさんだよ!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆ~?にんげんさんをみるのははじめてだよ!とってもおおきいね!」 「むきゅ!にんげんさんがここにくるなんておどろきね!」 森に入るとどこからかゆっくりたちの声が聞こえてくる。もう少し警戒心を持った方がいいと思いつつ、鬼異惨は足を進める。 この辺のゆっくりは特に天敵が存在しないため実にゆっくりしており、野生に生きる動物(?)にあるまじき生活を送っている。 そこらを見るとれいむとまりさの家族が子供を連れて散歩をしていたり、大勢で集まって歌を歌っていたり、 みょんが卑猥な単語を連発してありすをレイパー化させたり・・・。本当にやりたい放題やっている感じがする。 ゆっくりからすればここは最高のゆっくりプレイスなのだろう。だがその楽園を鬼異惨は崩さねばならない・・・。 1週間前・・・ 鬼異惨は森の管理人である政府の役人と対談していた。 「あの森はゆっくりの生態を調べるために手つかずの状態にしてあるのだが、最近調査員を派遣したところ・・・。」 「どうだったんですか?」 「ゆっくりの数が異常に膨れ上がっていたのだ。恐ろしい繁殖力でね・・・あのゆっくりとかいう奴らは謎だらけだ・・・。」 「・・・で、私にどうしろとおっしゃるんですか・・・?」 「うむ、もしこれ以上増え続ければ奴らは森の食料を食い尽くし、森の外に出てきてしまうかも知れん。奴らはあの森を ゆっくりプレイスとか言って滞在しているが、いつ外に出て人間に危害を加えるか分かったものではない。 そこで、君に森のゆっくりの駆除を頼みたい・・・。数を適正にして欲しいのだ。」 「・・・腑に落ちませんね。わざわざ私に頼まずとも、適当に役員を動員して駆除すればいいじゃないですか。何故私に・・・?」 「君は森の近くに住んでいるみたいだし、正直ゆっくりのことを我々はよく知らないのだ。ゆ虐七連星である君に頼むのが 一番賢明だと思ってね・・・。もちろん報酬は払う。引き受けてくれないかね・・・?」 そして現在に至るという訳だ。任務とは『適当に数を減らし、尚且つ人間が恐ろしい存在であることを認識させる』ことだったのだ。 「・・・まあ頼られることは良いことだ。それに大量のゆっくりを痙攣させて痙攣大合唱をさせてみるのも面白いかも・・・。」 「ゆ~・・・。にんげんしゃん!ゆっきゅちしちぇいっちぇね!!!」 「何だ赤ゆじゃないか・・・。赤ゆが昼間から外にいるとか・・・どんだけ警戒心無いんだ・・・。」 鬼異惨は呆れつつも切り株に座り、駆除の方法を考えた。何も全滅させる必要は無いのだ。それに歩き回って潰していくのも非合理的だ。 何か有効な作戦は・・・。ひたすら考えた・・・。とにかく考えた。考えたが、雑音のせいで気が散ってしまった。 「ぴゅきゅ~!にんげんしゃん!むしちにゃいじぇね!!!れいみゅとあちょんでね!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり・・・。」 鬼異惨は赤れいむを左手でそっと持ち上げ、そして潰れない程度に握り絞めた。赤れいむは苦しそうにもがいたが当然逃げられない。 「ゆぎゅぎゅ・・・。ぐりゅじいよぉぉぉ・・・。はにゃちてぇぇぇぇぇぇぇ~・・・!」 「心配いらないよ。今ゆっくりさせてあげるからね・・・。」 すると鬼異惨はポケットから小さい注射器のような物を取り出した。これはゆっくりの中身を吸い出す道具だ。すぐさま赤れいむの後頭部に突き刺す。 「ゆぎゅっ!!?いぢゃいっいぢゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!ゆぎゃびびびびびびび・・・!!!」 あっという間に注射器に餡子を吸い取られ、奇声を響かせる赤れいむ。中身を半分程抜き取ったと判断した鬼異惨はそっと注射器を引き抜き、 切り株に赤れいむをそっと置いた。 「ゆ゛っ゛!!ゆ゛っ゛!!!」 「やっぱり赤ゆじゃつまらないな・・・。でもどうだ?ゆっくりできただろう?ゆっくりは痙攣してる姿が一番美しいと思うんだ。」 「ゆ゛っ゛・・・!ゆ゛っ゛・・・!!」 「痙攣によってリズム良く震えながら呻いて、徐々に声と動きが小さくなって、最後は静かに動かなくなって静寂に包まれる・・・。 私はゆっくりの痙攣を一種の芸術だと思うんだ。周りはあまり理解してくれないけどね・・・。」 「ゆ゛っ゛・・・・・・。」 「はぁ・・・。もう動かなくなってしまった・・・。この儚さがまた心に響くんだけど・・・。さて、任務を実行しないと・・・。」 鬼異惨は平和ボケしたゆっくりたちを見て嘆いた。ゆっくりは進化こそしないが退化ならいくらでもする存在だ。 天敵もいないこの森のゆっくりは確かにゆっくりしているが、守るべき赤ゆを放置しておくなんて・・・親は何をやってるんだ・・・。 「私には関係無いか・・・。よし、設置完了だ・・・。」 鬼異惨は背中のバッグから大量のゆっくりフード(毒入り、ゆっくりにだけ効果有り)を取り出し、周辺にばら撒いたのである。 そしてわざとらしく叫んだ・・・。 「すぅ~・・・。・・・わぁ!!うっかり食べ物を落としてしまった!!!仕方ない、放っておこう!!!あ~あ、おいしいのに勿体無いなぁ~!!!!」 叫んだ後はすぐにそこから離れ、木の裏から様子を見た・・・。叫んでから5秒でゆっくりたちがめちゃくちゃ集まった・・・。 「ゆっ!おいしそうなにおいがするよ!!!にんげんさんがおとしたんだね!!!」 「もったいないからまりさたちでたべるんだぜ!!む~しゃむ~しゃ・・・しししししし・・・しあわせぇぇぇぇぇ!!!!」 「むきゅ~!!!こんなおいしいものたべたことないわ!!!」 「むぐむぐ・・・!なかなかとかいはなあじね!!!とくべつにたくさんたべてあげるわ!!!」 「さぁおちびちゃんたちもむ~しゃむ~しゃしようね!!・・・ゆ?ひとりたりないきがするよ?」 「きのしぇいだよ!まりしゃはやくむ~ちゃむ~ちゃちたいよ!!!」 「ゆゆ!!そうだね!!!みんなでいっぱいむ~しゃむ~しゃしようね!!!」 「わかるよ・・・わかるよー・・・おいしすぎてなみだがでるよー・・・。」 「ちーんぽ!まら!!!」 どうやら大盛況のようだ。にしてもあの親ゆひどいな・・・。多分さっきの赤ゆのことなんだろうけど・・・。すぐ近くにいるのに気付かないとは・・・。 そう、鬼異惨が虐待派なのはゆっくりが無知で愚かで見てるだけで気分が悪くなるからだ。理解できない行動や習性が鬼異惨をイライラさせているのだ。 だがそんな鬼異惨も痙攣してるゆっくりだけは大好きだ。あらゆる欲望や邪念を払拭し、一定のリズムで痙攣するゆっくりはとても規則正しく、 鬼異惨の心を癒した。痙攣してるゆっくりこそ、真にゆっくりしてるゆっくりなんだと信じて疑わなかった。そして数分後・・・。 「そろそろかな・・・。録音機セットして・・・。ワクワク・・・。」 「ゆふ~!おなかいっぱいだよ!!!おうちにかえろ・・・ゆぎ・・・?」 「ゆぐ?なんか・・・なんかおかしいよ・・・?ぐるじ・・・?いだい・・・?」 「ゆぐ・・・ゆげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!エレエレエレエレ・・・。」 「むぎゅぶべっ!!!!」 「おがーじゃ・・・ぐるじ・・・ゆぶふひぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」 「でいぶのあがぢゃんどうじで・・・ゆげへぇぇっ!!!」 「あんこさんでないで・・・ゆえぇぇぇぇぇぇ・・・!!!」 「わがらない・・・よ・・・にゃげげげげげげっっっ!!!」 「ちちちちちんぽぽぽぽぽぽぽぽぽ・・・!!!!」 効果が出てきた・・・。この毒はゆっくりの中身を吐き出させる効果がある。毒の量は調整してあり、中身を全て吐かないようにしていた。 もちろんその目的とは・・・。 「ゆ゛っ゛・・・!ゆぐ・・・ゆぐぐ・・・!!!」 「あ・・・ぎ・・・ゆぐ・・・っ!!!!」 「・・・おお、来るぞ来るぞ・・・!ドキドキ・・・!!!」 そして一瞬の間の後・・・ゆっくりたちは一斉に白目を剥き始め・・・ 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・。」 「ゆ゛っ゛っ!!!ゆ゛っ゛っ っ!!!!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛・・・!!」 痙攣を始めた。 「よっしゃ、キターーーーーー!!!!!!!!!急いで録音しなきゃ・・・!!!」 いつもの知性を捨て、子供のようにはしゃぎ、その後すぐに黙って痙攣音に耳を傾けた・・・。 ゆっくりが次から次へと痙攣していき、たちまち森の中はゆっくりたちの痙攣音で埋め尽くされた・・・。 鬼異惨は幸せのど真ん中にいる気分になった。 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・。」 「むぎゅっむぎゅっむぎゅっむぎゅ・・・っ!!!!」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・!!!!」 「みんなゆっぐりじで・・・ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・!」 「どぼじでこんな・・・ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・。」 「わぎゃりゃな・・・い・・・ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・!!」 次々と痙攣していくゆっくりたち。まさに痙攣音による合唱だ。 「・・・・・・(下手くそな歌よりこっちの方がよっぽど素敵じゃないか・・・)。」 録音中なのでしゃべらずじっとゆっくりの痙攣する姿を目に焼き付けた・・・。少なくとも50匹・・・ひょっとしたら100匹はいるかも・・・。 こんな光景滅多に見れないので、鬼異惨はかつて無い程興奮しry『ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛』 痙攣の大合唱は10分足らずで終了し、辺りにはただの餡子やらクリームやらが散乱していた・・・。 だが鬼異惨にとってこの10分は今までの人生の中で最も素晴らしく、充実した時間だった。鬼異惨はそっと近づいてみる・・・。 するとほんの一部、まだ生きているゆっくりがいた。鬼異惨に擦り寄り、弱った声で助けを求めてきた・・・。 「ゆ・・・にんげ・・・ん・・・さん・・・。れいむ・・・を・・・たす・・・。」 「悪いね。痙攣してないゆっくりには興味が無いんだ。じゃあね。」 鬼異惨はずりずりと寄って来るゆっくりを跳ねのけさっさと森の入口の所へ歩いて行ってしまった。もう満足したのでここに用は無いのだ。 「あの散らばった中身を食ったゆっくりも2次被害を受けるし・・・。だいぶ数を減らせるだろう・・・。任務完了・・・。」 鬼異惨の目論み通り、森のゆっくりの人口・・・もとい、ゆん口は7割近く減少した。吐いた中身を他のゆっくりが食べ、毒に侵され・・・ それを延々と続けた結果がこれという訳だ。警戒心どころか食品への疑念も失っていたらしい。まさに愚の骨頂である。 報告書にはこう記しておいた・・・。 『森の周辺にバリケードを設置し外と隔絶すべきです。奴らは人間を恐ろしい存在だと認識できる程の知能もありません。 あとれみりゃも数匹森に開放してみてはいかがでしょう?生態をより詳しく正確に調べられますし、 何より自然に数を適正に保てるようになるでしょう。』 鬼異惨は任務から解放された。これからは趣味の時間だ。イヤホンと装着し、さっき録音した痙攣大合唱を早速聞いた。 これがあれば目覚ましゆっくりなどいらない。朝起きたい時間にこれを流せばいいのだから。きっと気持ち良く目覚められるだろう。 それから一週間後、どうやら鬼異惨の指摘した通りバリケードで森を隔絶し、れみりゃを放ち、さらに監視カメラも設置したらしい。 ゆっくりたちの楽園・・・ゆっくりプレイス・・・。だがそう思っているのはわずかに生き残った運の良い、そして愚かなゆっくりだけだ。 そこはもう楽園でも何でも無く、ただ人間が研究・調査のために使う実験施設となったのだ。 どうせまたゆっくりは数を増やし、また森はゆっくりで溢れるだろう・・・。だがその頃になれば放たれたれみりゃたちも増えているはず・・・。 何の苦労も無く暮らしてきたゆっくりたちが、果たしてその時生き残れるだろうか?ゆっくりたちの運命は如何に・・・。 だが鬼異惨にとってはそんなことどうでも良かった。例の痙攣大合唱を知り合いの虐待鬼意山に聞かせたらすごく喜んでくれた。 何だか同じ趣味を共有できたみたいで鬼異惨の心は癒された。あのゆっくりたちの死は決して無駄では無かったのである。 「おはよう。早速講義を始めるぞ。今日の講義は・・・。」 今日も鬼異惨は多くの未来ある若者に教えを授けていく・・・。次の日曜日を楽しみに待ちながら・・・。 Fin・・・ 補足 Sランクとかって? 政府が定めたゆっくりに関する検定の称号のこと。ゆっくりを潰して遊ぶ人間が増えたことで暴力的な性格になることを危惧した政府が 定めた。D~Sまであり、漢検や英検のような試験を行い、合格すれば授与できる。 できること・・・ゆっくりの駆除、販売目的でのブリーダーとしての飼育など・・・持ってないのにゆっくりを殺すと罰金が科せられてしまう。 ランクが上がると手を出せるゆっくりの種類が増えていく。持ってない場合は殺さず捕らえ加工場に送れば良い。 Sランクは一部の超上級者しか合格できない程難しい。Sランクの者はゆっくりに関する商売を好きなだけ行える。 ゆ虐七連星って? Sランクの中で、特に政府にその力を認められた者だけで構成される特殊チーム。名前通り7人の猛者で構築されている。 彼らは政府から直接ゆっくりに関する問題や事件を任せられる程の存在であり、その権力は大物政治家に匹敵する。 過去に書いた作品 2517 ちぇんマー投げ 2526 ゆンペルダウン このSSに感想をつける
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書いた人 ヤリまむあき 書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 703 ゆー具 ふたば系ゆっくりいじめ 708 売ゆん婦 ふたば系ゆっくりいじめ 717 売ゆん婦2 ふたば系ゆっくりいじめ 723 売ゆん婦3 ふたば系ゆっくりいじめ 730 ゆー具 鬼畜眼鏡編 ふたば系ゆっくりいじめ 772 情けはゆっくりの為ならず ふたば系ゆっくりいじめ 798 売ゆん婦4 ふたば系ゆっくりいじめ 867 Can ゆー defend? 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 960 Can ゆー defend? 中編 ふたば系ゆっくりいじめ 962 他ゆん事 『Can ゆー defend? 後編』 一、 地面に染み付いた黒い餡子となった子れいむ。 生前の愛らしい姿は土と混ざり、何処がどの部位だったか、最早皮以外区別がつかない。 まりさの耳には、子れいむのゆっくりできたおうた、そして死ぬ寸前の濁った声が残っていた。 (なんで? おちびちゃんのおうたはとってもかんどうできたのに、なんでにんげんさんはおちびちゃんをあんなひどいめにあわせたの? どうしておちびちゃんがころされなきゃいけないの?) どうしてあのおうたが少年達の心を揺さぶらなかったのか。 まりさなりに考えた結果、結論を出した。 「わかったよ……」 「分かった? 何が?」 顔を上げたまりさの顔は、理不尽に心優しい我が子を奪われた憎しみに染まっていた。 憎しみで相手が殺せたら、と思っているであろう。 「……にんげんさんたちは、どうしようもないげすなんだね!!」 「ゲス?」 「にんげんさんは、あんなにゆっくりしてたかわいいおちびちゃんがうたったとってもじょうずなおうたをきいたのに、もうひとりのおちびちゃんをはなしてくれなかったよ!! ありすにあやまらなかったよ!! それどころかおちびちゃんのおくちをちぎって、おちびちゃんがおうたをうたえないようにして、こ、ころしちゃったんだよ!! これがげすじゃなかったらいったいなんなのぉおおおおお!? どうみたってげすでしょぉおおおおおお!!!」 興奮しているせいで大変聞き取りにくい話だったが、内容を整理するとこういうことだ。 良心の呵責があるならば、あんなに感動的な歌を聴いておいて悔い改めない筈が無い。 すぐさま子れいむの要求を呑み、これまで一家や群れの仲間達に対しての罪を謝罪するのが当然だ。 それなのに少年達は、寛大にも彼等を許そうとした子れいむを惨殺した。 これが鬼畜の所業でなかったら一体なんだと言うのか。 一応、話の筋が通っていないというわけではない。 「ふうん、そんなこと考えてたんだ」 「わかったらおちびちゃんをかえしてよぉおおおおお!! できないでしょ!? ゆっくりはね、しんじゃったらずっとゆっくりしたままなんだよ!? おちびちゃんでもそんなことしってるのに、にんげんさんはわからなかったのぉおおお!?」 「れいむがぽんぽんをいためてうんだのにぃいいいい!!」 「れいみゅのおうたはすごかったんだよ!! あのおうたがもうきけにゃいなんて、しぇかいのそんしつだよ!!」 「ゆぇえええええええええん! おにぇーちゃぁああああん!!」 まりさ一家が拙いながらも死んだ子れいむの命の尊さを少年達に訴えかける。 人間にとってまりさ達ゆっくりの命など、羽のように軽いということにまだ気がついていないのだろうか。 「いや、俺達だって知ってたけど」 「しってておちびちゃんをころしたの!? だったら、にんげんさんはくずだよ!! あくまだよ!! ゆっくりでなしだよ!!」 「当然だ、ゆっくりじゃないからな」 少年達は、命が一度失われたら二度と戻らないことを理解していた。 理解してやったというなら、彼等は救いようの無い極悪人だ。 許してはおけない、しかし、先程自分の攻撃がまったく少年達に通用しなかった事を考えると、どうしても彼等に制裁を加えることに対し二の足を踏んでしまう。 そうなっては無駄死にだ。 (ごめんね、おちびちゃん。まもるっていったのに……。おちびちゃんのかたきもとれないまりさは、だめなおとうさんだよ……) こうなっては、できるだけ下手に出て残りの家族だけでも守るしかない。 腹に据えかねても、まりさは彼等に勝てないのだから。 「に、にんげんさん。まりさたちのだいじなかわいいかわいいおちびちゃんをころしたことは、ゆるしたくないけどゆるしてあげるよ」 「まりさ!?」 れいむがまりさの言葉に驚き声を荒げる。 「れいむはだまっててね! ……まりさだって、ほんとはこんなげすゆるしたくないけど、みんなをまもるためなんだよ!!」 「ゆぅ……」 全身の震えからまりさの苦渋が見て取れる。 屈辱や憎悪を押さえ込み、奥歯を噛み締めていた。 「だから、だからもうまりさたちにかまわないでほしいよ!! まりさたちは、ここでゆっくりしてただけなんだよ!! むしさんやおはなさんをたべて、しずかにくらしてただけだったんだよ!! にんげんさんにめいわくなんてかけてなかったよ!!」 事実上の敗北宣言だった。 「おとーしゃん、こんなのってないよ……」 子まりさは少年の掌の中で悔し涙を流す。 その感触は握っていた少年を不快にさせ、ほんの少しまた力が込められた。 「ゆぎいいいいいい!!」 「おちびちゃん!! まりさは、まりさたちにひどいことしないでっていったよ!! ゆるしたくないけどゆるしてあげるっていったよ!! だからさっさとおちびちゃんをはなしてね!!」 まりさ達からすれば認め難い条件を呑んでやるというのに、なぜこの人間達はまだおちびちゃんを解放しないのだろう。 そういう肝心な所で上から目線な態度が更に状況を悪化させているのに、それを止めようとしない。 「クロボウシ、お前の話には間違いがある。一つは、あのチビ赤リボンのおうたとやらが騒音だということを理解していないことだ」 別の少年が赤ゆ達に近づき、傍にいたれいむが反応できないほどの速度で彼女達を奪い去る。 気がついた時には、赤ちゃん達は少年の手の中にいた。 「「おしょりゃをとんでりゅみちゃい!!」」 「「おしょりゃをとんでりゅみちゃい!! ……ここきょわいよぉおおお!! おろしちぇええええ!!」」 急に高所に持ち上げられて視線の高さ驚き、状況も理解できず暢気に喜んでいる赤れいむ二匹に怯える赤まりさ二匹、危機感は赤まりさの方が強いようだ。 「あかちゃぁああああん!!」 「れいむのあかちゃんかえせぇえええええ!!」 これで子供達全員がゆん質にされてしまった。 それより、子れいむのおうたが雑音だというのはどういうことか。 ゆっくりしていない人間は芸術に対する感覚すら狂ってしまっているのかもしれない。 「あんなものが歌なら、それこそ鳥の鳴き声の方がましだぜ」 「にんげんさんのおみみはくさってるの!?」 まりさは子れいむの名誉のために少年に反論する。 あれは、確かにゆっくりできたおうただったのだから。 「じゃあ、お前等が言う上手な歌の基準はなんだ?」 「かわいいおちびちゃんがうたったおうたがへたなはずないでしょ!! とりさんなんかといっしょにしないでね!!!」 それはまりさ達にとっての確定事項。 多少親馬鹿の贔屓目もあるが、ゆっくりにとって自分達がゆっくりした生活をしているということは存在意義にも関わることで、おうたはいわば“文化”なのだから。 時々聞こえる鳥さんのおうたは、五月蝿いだけでちっともゆっくりできない。 「おもいっきり身内贔屓じゃん。それを言うなら、お前等ナマクビマンジュウごときが出す雑音と歌を混同するなよ」 少年は赤れいむの一匹の左右のもみあげをつまみ、振り子のように揺らし始める。 前後への運動を加えらることで赤れいむのもみあげには自身の全体重が掛かるが、双方のもみあげを掴んでいるので負荷は分散されすぐに千切れるほどではなく、長く悲鳴と痛みに耐える表情を楽しめる。 主にれいむ種とぱちゅりー種に使われる緩めの虐待方法だ。 「いぢゃいいいいいいっ!! れーみ゛ゅのもみあげしゃんちぎれちゃぅううううう!!! おにぇがいだからはにゃしちぇえええええ!!!」 「手、離してやってもいいけどさ。そしたらお前落ちるぞ? 痛いぞ? それでもいいって言うんなら離してやるけど」 赤れいむは尻をぷりんぷりんと振って痛がる。 自慢のゆっくりしたもみあげは、今や己を苦しめる枷となっているのだ。 そして、言われたように少年の手から落ちたらどうなるだろうか? (ちにちゃくにゃい!! れーみゅはおにぇーちゃんみちゃいにちにちゃくにゃいよ!!) 姉のように、ぐしゃぐしゃに潰れてしまうのだろう。 赤れいむも己の危機に気がつき、少年に命乞いをする。 「はにゃさにゃいでぇえええええ!! おちたりゃれーみゅちんじゃうよぉおおお!!」 「ほほう、ならばもっと強く、落ちないように引っ張ってやろう」 ぐいっ、とさらにもみあげが引っ張られる。 髪の根元が何本か抜ける感触がした。 「ゆびぃいいいいい!!」 「おお、いい声だ。お前、お姉ちゃんなんかよりよっぽど歌上手いんじゃね? 俺等はこっちの方が好みだぞ」 赤れいむの悲鳴は、少年達にとっての音楽。 少なくともおうたのような雑音より楽しめることは間違いない。 「いたがってるよ!! やめてあげてね!!!」 「あかちゃんがないてるでしょぉおおおおお!! それのどこがおうたなのぉおおおおお!?」 まりさとれいむの訴えは通じない。 やがて、耐久力の限界に達したもみあげが遂に音を立てて両方とも千切れた。 「ゆ゛ぅううっ!!!」 赤れいむは宙を舞う感覚を一瞬味わい、柔らかい背中から地面に落ちた。 ぺしゃっ、という軽い音だが、赤れいむにとっては体内の餡子が全て吐き出されそうなほどの衝撃である。 その口の端からは黒い餡子が流れ始めた。 子れいむのもみあげを持った少年は、まるでゴミのようにそれらを放り捨てる。 「あかちゃぁああああんっ!!! なおってね!! ゆっくりしないでなおってね!!」 まだ赤れいむには息がある、手遅れではない。 今度こそ可愛い子供を死なせるものか。 「れいむはあかちゃんをぺーろぺーろしてなおしてあげてね!! まりさはそっとあかちゃんをひっくりかえすよ!!」 「わかったよ!!」 少年達はまりさ達の行動を阻みはしない。 無力なゆっくりがどこまで希望を捨てずにいられるか楽しんでいるのだ。 それゆえまりさとれいむだけはあえて捕獲しておらず、自由に動けるようにしている。 一応ゆん質がいるのだから無謀な行動はしないだろうし、逃げたら逃げたで楽しめるのだ。 「まりさのあかちゃん!!! まりさがたすけてあげるからね!!!」 まりさ達には家族愛という概念があるのか、子供を見捨てるようなことはせずひたすら傷ついた赤ちゃんを助けようとしている。 親としてはそれでいいのかもしれないが、さっさと見捨てて逃げ出して、また新しい子供を作った方が生存率が高い。 どうしようもなく貧弱なナマモノとしては、自分達の能力を弁えていない間違った生き方だ。 「おちょー、しゃ、れーみゅ、いちゃい……」 「あかちゃん!! いたいのいたいのとんでけー、だよ!!!」 「ぺーろぺーろ!!! あかちゃんのせなかさんはゆっくりしてね!!!」 もみあげを失い、すっかりゆっくりできない風貌になった赤れいむ。 そんな子にも変わらぬ愛情を示すまりさ達。 「間違い二つ目。お前等ちっとも可愛くないから」 「ふざけたこといわないでね!! まりさとれいむのおちびちゃんたちはみんなかわいいんだよ!!!」 「ふーん。なら、今そこに転がってる汚いのは本当に可愛いのか?」 「「ゆっ!?」」 少年の問いに即答できなかったまりさとれいむ。 確かに、今の赤れいむはぼろぼろでとても可愛いとは言えない。 もみあげはなく、飾りも汚れてしまっている。 だがここで即座に否定しないということは、少年の言葉を認めてしまっているのと同義。 「……れーみゅ、きゃわいくにゃいにょ? ……れーみゅ、いらにゃいこにゃにょ?」 赤れいむは何も言わない両親に縋るような瞳を向ける。 ここで自分の存在を認められなかったらどうしようと、その瞳は不安で涙に濡れていた。 「そ、そんなことないよ!! ま、まりさのあかちゃんがかわいくないなんてことないよ!!」 「も、もみあげさんがなくてゆっくりできなくなっちゃったけど、それでもれいむのあかちゃんなんだよ!!」 「俺は、こいつが可愛いかどうかを聞いたんだ。もう一回聞くぞ、本当に可愛いのか?」 両親は必死に少ない語彙の中から言葉を捜し、場を取り繕おうとする。 だが、少年は灰色の回答を許さなかった。 あくまでも今の赤れいむが可愛いかそうでないかということだけを尋ねる。 「ゆぅ……」 「可愛くないとは言いたくない、けど、どう見ても可愛いとは言えないんだな。 よかったな、ちび赤リボン。お前が可愛くないことはお前のお父さん達のお墨付きだぞ。自分が可愛くない事が分かっただろ? そんなお前は、生きる価値が無いんだよ。りきゃいできりゅ?」 ストレートな悪意はそのまま赤れいむへの害となり、未熟な精神を傷つけた。 大好きな両親に自分の存在を肯定してもらえず、瞳からは生気が失われる。 生きようとする意志が感じられなくなり、 「あかちゃぁあああん!! おねんねしちゃだめだよ!! いまおねんねすると、ずっとゆっくりしちゃうんだよぉおおお!?」 赤れいむはゆっくりと瞼を閉じていく。 眠くてしょうがないのだ。 それに、さっきから背中から熱い何かが漏れ出していた。 「まりさ!!! おちびちゃんのあんこさんがとまってくれないよおおお!!!」 たたでさえ薄い赤ゆの皮は、衝撃ですっかり脆くなっていた。 そんな部分を懸命に舐めたらどうなるか、れいむは我が子を救おうと必死だったのだろうが、それは赤れいむの命を縮めるだけだった。 唾液が皮をふやけさせ、舌は皮を破ってしまったのである。 「れーみゅ、おねんね、しゅるにぇ……」 少しの間寝息を立てた後、赤れいむは静かに逝った。 その死に顔は、本来自分を優しく包み込んでくれる筈の両親から否定されたことによる諦観がはっきりと現れていた。 二、 赤れいむが死んだことを認められないまりさとれいむは、その亡骸の前で呆然としていた。 「こいつ等自分で子供に止め刺してやんの!」 「可哀想だねー」 何を言う、赤ちゃんに大怪我をさせたのはお前達じゃないか。 あんなに痛そうに泣いて、もみあげだってお前達が奪ったんじゃないか。 「ゆがぁあああああああああっ!! あかちゃんがしんだのはにんげんさんたちのせいでしょぉおおお!? まりさとれいむは、あかちゃんをたすけようとしただけだったのに!!」 肉体的な死因は主に少年達によるものだが、赤れいむが真に絶望したのは両親からの否定だったことをあくまでも理解しようとしない。 もう少し思い知らせてやる前に希望を与えてやろうと、少年達は子まりさを解放することにした。 「ほれ」 「ゆ? おとーしゃぁああああん! おかあしゃぁああああん! まりしゃこわかったよぉおおお!!」 そっと地面に降ろされた子まりさは、振り返ると両親の元に跳ねていった。 よほど怖かったのだろう。 「おちびちゃん! よしよし、よくがまんしたね!」 「おとーしゃん、れいみゅが、まりしゃのいもうとがぁああああ!!」 子れいむと赤れいむの死を悼む子まりさは、れいむのもみあげに撫でられながら嗚咽を漏らす。 自慢の俊足が敗れ、二人の妹達は殺されてしまった。 でも、絶対に人間には敵わないのだ。 純粋なスピードだけなら負けないのに。 「おい、小さいクロボウシ。ゲームをしよう」 「ま、まりしゃになんのようなにょ?」 「お前、俊足が自慢なんだってなぁ? だったらご自慢のスピードでこいつを助けてみろよ」 少年達の一人が子まりさを指名する。 その指先には、一緒に追いかけっこをして遊んだ妹の赤まりさが握られていた。 「おにぇーちゃぁあああん!! まりちゃをたちゅけちぇにぇえええええええ!!!」 「いもうとをいじめないでにぇ!! まりしゃにできることならするから、はやくたすけてあげてにぇ!!」 「まあまあ、話を聞けよ。ルールは簡単だ、こいつを落とす。それをお前が受け止めればこいつは返してやる。 でも、落ちる前にお前が受け止められなかったらそのまま地面に激突。単純だろ?」 子まりさは今度こそ自分の土俵で勝負できると思った。 なるほど、これなら勝敗を決めるのは純粋にスピードのみでそこに何らかの不正が介入する余地は無い。 人間の恐ろしいほどの力だって関係ないのだ、勝つ可能性は充分にある。 でも、もし間に合わなかったら妹は死んでしまうのではないか? 「ちなみに、勝負から逃げたらこいつはすぐ潰す。ゆっくりと、じわじわ苦しめて潰す」 「ゆぴぃ!?」 子まりさの逡巡を見抜いたかのようなタイミングで少年が話を続ける。 赤まりさは明確な処刑宣告に悲鳴を上げ、それが子まりさに決断をさせた。 「わかったよ! まりしゃ、やるよ!! にんげんしゃんにかっていもうとをとりもどすよ!!」 「そうこなっくっちゃ」 「おちびちゃん! まりさがかわるよ!!」 「駄目駄目、親の介入は禁止」 見かねたまりさが代わりに勝負を受けようとするが、それは不可能である。 これは、子まりさ自身が持つ“俊足”に対する自信をぶち壊すための遊び(ゲーム)なのだから。 「いいか、この線の後ろからスタートしろ」 「わかったよ!」 少年は地面にバットで一本の線を引き、スタートラインを作る。 そこと赤まりさの落下点と思われる場所はそう距離があるわけではなく、そんなに無茶な条件ではないと感じられた。 「俺が腕を振り上げたらスタートしていいぞ」 「かんたんだにぇ! にんげんしゃんに、こんどこそまりしゃのしゅんそくのしんかをみせてあげるよ!!」 子まりさは自信満々で、赤まりさにも笑顔を振り撒く。 「もうちょっとまっててにぇ! おねーちゃんのおぼうしさんでやさしくうけとめてあげりゅよ!!」 「ゆゆーん! おにぇーちゃんありがちょー!!」 赤まりさは大好きな姉に全幅の信頼を向け、自分が助かると疑ってすらいない。 「おちびちゃんならできるよ!」 「がんばってね! れいむたちがついてるよ!!」 まりさとれいむも、ゲームの条件が酷い物ではないと思ったのか、子まりさに全て任せる事にしたらしい。 自分達がしゃしゃり出て人間の機嫌を損ねたらいけないと判断したようだ。 「それじゃ、いくぞ」 少年が腕をゆっくりと振り被って赤まりさを自分の頭上まで持ち上げようとする。 赤まりさは先程よりさらに高くなった視界から見える世界に驚くが、これも姉が自分を助けてくれるまでの辛抱だと思って楽しむことにしたようだ。 (しゅっごくたかいにぇ!!) またスタートでの加速のために身体を曲げていた子まりさも、妹達をこ全ての方法で助け出してみせる、と考えていた。 自分が勝ったら人間さんは悔しがる筈、その後に挑発すれば、自分に有利なこのゲームを継続させる事ができる、と。 「ゆぅっ……!」 遂に少年の腕が頂上に達する。 それがスタートの合図となり、ほぼ同時に子まりさは走り出した。 フライングではなく、ほぼ完璧なスタート。 このまま順調に行けば、赤まりさが落ちてくる前に落下予測地点へと先回りできて悠々と妹を受け止められる。 だが、 「大地にっ、還れぇえええええええっ!!!」 「おしょりゃびゅっ!?」 少年は全力で赤まりさを握った腕を振り下ろし、彼女を落下予測地点へと寸分の狂いもなく投げた。 それは、もう投げるどころか叩きつけると言った方が正しかっただろう。 ゆっくり程度の反応速度では追いつくことすら許されず、赤まりさは地面に餡子色の花を咲かせ、数テンポ遅れてそこに到達した姉の顔にべったりと中身を付着させた。 風圧で、赤まりさのものだった帽子がやや離れた場所に落ちる。 「綺麗に弾けたな」 「ゆ? ま、まりしゃのいもうとは……?」 確かに妹は少年の手から離れた、それは分かっている。 なら、ここにいなくてはいけない赤まりさは一体何処に消えてしまったのか。 子まりさはきょろきょろと前後左右にせわしなく顔を向ける。 それは、赤まりさが潰れた瞬間を視認してしまったことを誤魔化す為の虚しい行為であった。 「あ、あかぢゃんがぁあああああ!?」 「ひどいぃいいいいい!! またしんじゃったよぉおおおおお!!!」 後ろから見守っていたまりさとれいむは、三匹めの我が子が殺されたことを嘆く。 両親の言葉を聞いた子まりさも、赤まりさが死んだことをようやく認めた。 「まりしゃは、しゅんそくで……。はやくて……。いもうともたすけて……」 自分の俊足は、肝心な時に何の役にも立たなかった。 なら、こんなあんよに何の意味があるのだろう。 妹一人すら救えない、こんなあんよに。 「何が俊足だよ。全然駄目じゃん」 「……ゆぐっ」 「そんなスピードでよく助けるだとか守るとか言えたもんだ、笑わせる」 「ゆぇええええええん!!!」 恥も外聞もなく、子まりさは泣き叫んだ。 信じていたものが、誇りが、思い上がりが打ち砕かれ、後には何も残らない。 「そんな役立たずな足は……」 「ゆえっ?」 少年の一人が子まりさを摘み上げると、そのあんよと顔の境目にハサミの刃を滑らせる。 「ゆひぃっ!!」 冷たい金属の感触は無機質な恐怖感を与えるものだった。 その刃にはクリームがついていてべとべとしており、子まりさの前にも誰かゆっくりがゆっくりできない目に遭わされたのだろうと分かってしまった。 そして、勢い良く刃は子まりさのあんよを切断する。 「ゆ゛ぎゃぁああああああっ!!!」 ざくっ、と小気味良い音がした後には、子まりさのあんよは体から離れていた。 「まりじゃの、まりじゃのがもじかのようなびぎゃぐがぁあああああ!!!」 己の命とお飾りと、同じくらい大切なあんよ。 それは永遠に子まりさから奪われた。 「いらないよなぁ?」 あんよは地面に投げ捨てられると、少年に踏まれ執拗なまでに磨り潰される。 よほどゆっくり風情に速さが足りないと侮辱されたことが頭にきたのだろう。 「まりざゆずりではんざむなおちびぢゃんの、ずまーどなあんよぐぅぁあああああ!!!」 「どぼじでごんなごどずるのぉおおおおお!?」 「勝負に負けたから罰ゲーム」 「そんなごどぎいでないよぉおおお!?」 「そりゃそうだ、今初めて言ったんだから」 両親の相手はほどほどに切り上げ、子まりさの餡子が零れ落ちないように地面に降ろす。 その際に、中身が直に地面と接触するような置き方をし、子まりさに苦痛を与える。 「い゛っ! い゛っ!!」 人間で言うなら、腰から下を切り落とされて臓器が露出したものを何の手当ても受けず、雑菌だらけの地面に置かれると言った方がその痛みの程度が伝わりやすいだろうか。 気が狂いそうな痛みが断続的に続き、今にも体を揺すって暴れたくなる衝動を必死に抑える子まりさ。 中身が失われたら、それは己の死に繋がることを本能的に分かっているのだろうか。 「でかいのに忠告するぞ。そいつ、下手に動かすと死ぬから」 「「ゆ゛うっ!?」」 まさに子まりさへと駆け出す寸前だった両親は、少年の忠告を聞いて思い止まる。 さっき赤れいむを過失によって死なせてしまったばかりなのだ。 「じゃあどうすれば……」 「放っておけば?」 自分がしておいて実に無責任なことを言う。 しかし、子まりさを少しでも長く現世に留めておきたいならば放っておく事が一番だった。 ゆっくりの治療などではかえってずっとゆっくりさせてしまうことになりかねないからだ。 ただ、それが本当に子まりさへの愛情になるかは疑問が残る。 一刻も早く楽にしてあげたほうが良いのかもしれない。 「そうそう、間違い三つ目。お前等、俺達に迷惑掛けてないって言ったな?」 「そ、そうだよ!! なのにどうしてこんな」 「生きてるだけで迷惑なんだよ。俺達だけじゃなくて、この地球上の生き物皆にとって」 「「ゆゆゆっ!?」」 それを言うなら人間もある意味ゆっくりと同じ部類に分類されるかもしれない。 だが幼い少年達は、まるで何処かの国のように彼等だけの理屈を強引にまりさ達へと押し付ける。 「そうだ、今俺達地球防衛軍ごっこやってるんだよな」 「うん。やっぱりこいつ等駆除するのって、地球の為になるんだね」 「善は急げだ、他のも手っ取り早く始末しよう」 のた打ち回って苦しむ子まりさを尻目に、少年達は淡々と“遊び”の続きの為の準備を始めた。 三、 五体満足な子供達は、赤れいむと赤まりさが一匹ずつ。 少年達は二匹を見比べると、赤れいむをチョイスした。 「赤リボンにしよう。さっきの奴の雑音がまだ耳に残っててすっげーむかつくから」 「どうちてぇえええええ!?」 子れいむの渾身のおうたは、赤れいむに八つ当たりの矛先を向けさせてしまった。 とんでもないとばっちりである。 「きゃわいいれーみゅがこまってりゅんだよぉおおお!!! おちょーしゃんもおかーしゃんもどーちてたちゅけてくれにゃいにょぉおおお!?」 他力本願だが、無力な赤ゆにとって両親はこの場で唯一頼れる存在なのだ。 姉達の内一人は死に、もう一人はかろうじて生きてはいるが動けない状態とどうしようもない。 「おねがいです!! れいむににたおちびちゃんはもう、そのあかちゃんしかいないんですぅううう!!! だからころさないでくださいぃいいい!!!」 自分に似た可愛い娘はもう赤れいむしかいない。 必死で何度も土下座をするれいむ。 上から目線だった言葉遣いも敬語になり、今までとは違う。 「分かったよ。殺さなきゃいいんだな?」 「はい! ありがどうございまずぅううう!!!」 「何勘違いしてやがる」 「ゆ?」 少年は正義の味方というより悪人らしい笑顔を浮かべると、赤れいむを持って近くに生えている木まで近付く。 「にゃにしゅるにょ!?」 「お前のお母さんが泣いて頼むもんだから、死刑だけは勘弁してやるよ」 丁度良い細さの枝を探し当てると、 「奥義、百舌鳥の早贄!!!」 「えげぇえええええっ!!!」 赤れいむの口を枝が貫く。 少年が強引に赤れいむを枝に突き通したのだ。 傷ついたのは口と、貫通した背中の傷だけなので餡子は漏れず、すぐに死に至ることはない。 モズは獲物を食べもせず木の枝に突き刺したままにすることがあるという。 この光景はまさしくそれに近いものがあるだろう。 もっとも、残酷さはそれを軽く上回っているが。 「一瞬で殺してやることもできたんだけどな、お前のお母さんが余計なこと言うから」 「れ、れいむのせいなの!?」 「ああ、可哀想に」 棒読みで少年がれいむを非難する。 「れ、れいむはあかちゃんを……」 「次はクロボウシな」 悲嘆に暮れるれいむを無視し、最後の赤ちゃんが標的にされた。 「もう、やめでぇえええ!!!」 「嫌だね」 もう何度懇願しただろう、まりさの願いはまたも黙殺される。 赤まりさは、夫婦にとっての最後の希望なのだ。 唯一五体満足で、少年達が思い止まればこれからもゆっくりできる可能性がある。 子まりさはあんよをうしなってもう動けないし、木の枝に縫いとめられて奇妙なオブジェと化した赤れいむはもう助からない。 だから、この赤ちゃんだけは……! 「痛いことはしない、でも、じわじわ苦しめてやる」 「ひゃみぇひぇひぇ! ひゃいひゃひょおひゅひ!!」 (やめちぇにぇ! まりちゃのおくち!!) チューブのようなものを咥えさせられ喚く赤まりさ。 抵抗していると、チューブの中から苦い液体が放出された。 形容し難い味が口内いっぱいに広がっていく。 (にぎゃいぃいいい!!! まじゅいぃいいい!!! こりぇどくはいっちぇりゅ!!!) 甘味を好むゆっくりの味覚にとって絶対に受け付けない味。 いや、およそ生きとし生けるものにとって、その味を好む物は存在しないだろう。 (こんにゃまじゅいもにょまりちゃにのましゃりゅなんちぇ!!) 文句を言ってやろうと口を開けようとすると、違和感を感じる。 (ゆ!? ゆゆ? ゆゆゆ!?) どうやっても口が開かないのだ。 「成功したか」 赤まりさが口に入れられたもの、それは瞬間接着剤。 口が小さい赤ゆに対してならそんなに多くの量を消費せず、容易に口腔を接着できるのだ。 これで、赤まりさは一生口を開く事ができなくなった。 それは、食事もできないということであり、死を意味する。 「ほれ」 「あかちゃん!!」 まりさの目の前に赤まりさが返還されるがうんともすんとも言わず、ただ涙を流し続けるだけだった。 「あかちゃん! しゃべれないの!?」 こくり、と体を前に倒す赤まりさ。 我が子達に待ち受ける暗い運命に、まりさは呻いた。 四、 これで、今生きているまりさの子供達の中で無事な者は誰一人いなくなった。 「よくも……」 落ち込んでいるまりさの耳に、これまでに一度も聞いた事が無い程低いれいむの声が聞こえた。 「よくも、れいむのかわいいかわいいおちびちゃんたちをぉおおおおおおっ!!!」 れいむが少年達に向けて特攻していたのだ。 人間に勝てないことはこれまでのことで分かっている、しかし理性を感情が上回ったのだ。 憎しみが導くままに、歯を剥き出しにして少しでも彼等に手傷を負わせてやろうとしたのだ。 おちびちゃん達の苦しみを、少しでも! こんなゲスにおちびちゃん達は理不尽に殺されて、傷つけられたんだ! 「だめだよ……」 まりさは、この次に起こる事を半ば予想していた。 「まって……」 少年がバットを流れるような動作で構えて、れいむが地面を蹴って飛び上がった。 「おねがいだから……」 少年の上半身が捻られ、バットがれいむ目掛けて襲い掛かる。 「やめてぇえええっ!!!」 それは、どちらに向かっての言葉だったのだろうか。 愛するれいむか、はたまた憎き少年か。 いずれにせよ手遅れだった。 「げべぇええええええっ!!!」 吸い込まれるように、れいむの体に少年のバットが直撃した。 上顎から上は衝撃で吹き飛び、後方にいたまりさと赤まりさに餡子や皮がまるでシャワーのように降りかかる。 勢いを失って落ちた下顎はしばらく舌をびくびくと痙攣させていたが、やがてその動きも止まった。 「れいむぅうううううううううううっ!!!」 たった今れいむを撲殺した少年は額を拭う仕草をして、 「正当防衛だからな」 と言った。 まりさは、結局家族を誰一人守れなかったのだ。 「あ……。ゆぁあっ……!」 呆然としている間に帽子が奪われ、ハサミで切り刻まれる。 「これで、お前はもうゆっくりできない」 「……して」 「え?」 「まりさを、まりさたちをころしてください……」 家族を誰一人守れない父親は、存在価値が無いのだ。 子まりさ、赤まりさ、赤れいむも長くはあるまい。 寧ろ、もう生きていたくないのだ。 早くあの世に行ってまた家族で皆仲良く暮らしたい。 今のまりさの願いはそれだけだった。 「どうする?」 「ん~」 少年達は考えながら時計を見て、 「却下」 それだけを告げた。 「……なんで? にんげんさんなら、まりさたちをころすなんてかんたんでしょ!?」 頼みもしないのに散々まりさ達を傷つけて殺したくせに! 「もう疲れた」 「それに、自分から殺してって言われたから萎えた」 「ていうか、飽きた」 「腹減ったし」 子供は飽きっぽいのだ。 勝手な理由で行動し、勝手な理由でそれを止める、自由気儘な存在。 その行動の対象が、今回偶々まりさ達一家やその所属していた群れだっただけの話。 ゆっくりにはどうしようもない、天災みたいなものだ。 「じゃーな」 「生きてたらまた会おうぜ」 「元気でなー」 「楽しかったぜ」 遊ぶだけ遊ぶと、少年達は足早に立ち去って行った。 彼らは家に戻り、暖かい夕食を食べて心地良い疲れと共に熟睡することだろう。 「……ゆ、ゆがぁああああああああああああああああああああああああっ!!!」 後には、ほんの少し前までとてもゆっくりしていたまりさ一家の成れの果てが残された。 五、 緩慢な動作でまりさは動き始めた。 「おちびちゃん……」 子まりさは、蟻に群がられていた。 自慢の俊足もあんよが失われていては逃げられず、餡子が漏れないように体を僅かに揺らすしか抵抗手段はない。 それなのに、蟻は小さい体を生かして地表から直接子まりさの体内に潜り込んで餡子を奪っていくのだ。 「ありざんやめでぇえええ!! まりじゃのあんごもっでがないでぇえええっ!!」 普段は遊び感覚で獲物としていた蟻、そんな矮小な存在に、今自分が捕食されようとしている。 「もうありざんたべまぜん!! だからやめでぇええええ!!!」 内側から侵食される恐怖を味わう子まりさを、まりさは救う事ができない。 子まりさ目当ての夥しい数の蟻から、赤まりさを守ることで手一杯だったのだ。 「おとーじゃんだじゅけでぇえええ!! なんでたじゅげでぐれないのぉおおお!! おがーじゃあああん!! れいみゅぅううう!!」 もう意識が混濁して喚き散らすことしかできず、子まりさは蟻達の栄養となるしかなかった。 真っ黒な塊と化し、声さえ出せなくなりながらも死ぬまでには翌日までかかり、貪られ続けたのである。 「ごめんね……」 赤れいむは、夕暮れ近くになってやってきたカラスにその身を啄ばまれていた。 何でも食べるカラスにとって赤ゆっくりはご馳走である。 「からすさんはおちびちゃんをたべないでね!! ぷくぅううううううっ!!!」 痛む体に鞭打って威嚇をするが、地面から見上げるだけでは当然カラスに太刀打ちできず、赤れいむがカラスの胃に収まるのを黙って見ているだけだった。 「……」 赤まりさを口に入れて巣の中に帰り、眠りにつく。 ご飯を食べる気分ではなかったし、食事ができない赤まりさの前で一人だけ夕食をとるのは憚られたからだ。 そうすれば、今日の事は悪夢で、目が覚めればまたゆっくりした家族の顔があるのだと儚い希望を抱きながら。 六、 目が覚めたまりさはおうちの中を見渡すと、そこには赤まりさしかいなかった。 現実は厳しく、夢ならばどんなによかったか。 「おはようあかちゃん……」 「……」 赤まりさは返事ができなかったが、目線を返す。 やはり食事をしていないから弱っているようだ。 「おとうさんは、だれかいきてるゆっくりがいないかみてくるよ。いいこにしててね」 「……」 外に出ると、昨日の惨劇の爪痕が色濃く残っていた。 れいむと子供達の死体は捕食されて幾らか減ってはいたが、それでも凄惨な光景だった。 「ゆ、ゆげぇえええっ!!!」 まりさはあまりの気分の悪さに餡子を吐き出し、荒い呼吸をする。 ありすの死体も、虫が集って直視できない状態になっていた。 その場から逃げ出すように急いで広場へと向かう。 「みんな、いない……」 そこも似たような有様で、息をしているゆっくりは一匹もいなかった。 比較的まともな形で死んでいるものはまだ良い方だったぐらいだ。 「……」 ありすのおうちだったところにも足を運んでみたが、やはりそこにも絶望しか残っていなかった。 ぱちゅりーは死んでいて、その付近には、彼女とありすの一粒種になる予定だった筈の赤ちゃんらしき死体が転がっているだけ。 これで、まりさの知り合いは皆死んでしまった事になる。 「ただいま……」 とぼとぼとおうちに帰ると、赤まりさは目を閉じていた。 「あかちゃん、おねむなの?」 舌で舐めると、こてん、と転がったまま微動だにしない。 「あかちゃん? おとうさんだよ?」 呼びかけても一向に起きない。 赤まりさは、餓死したのだ。 「みんな、しんじゃったよ……」 おうちは、相変わらず立派だった。 でも、大切な物は。 「れいむも、おちびちゃんたちも、ゆっくりぷれいすもなくなっちゃったよ」 家族や群れのゆっくりした仲間がいてこそのゆっくりプレイス。 「まりさは、なにもまもれなかったよ。やくそくしたのに、まもれなかったよ……。まりさは、まりさは……」 広くなったおうちの中で、まりさの呟きだけが何時までも聞こえていた。 七、 一方、まりさ一家を悲しみが襲った日、家に帰った少年の一人は用意されていた夕食を母親と食べていた。 「今日お父さん遅くなんの?」 「そうみたいね」 「今日はな、俺、地球を守ってたんだぜ」 「この子は訳分からないこと言って……」 溜め息をつく母親に、誤解されないよう分かりやすく説明する。 「えーと、地球防衛軍ごっこだよ。森入ってゆっくり殺して遊んでたんだ」 「何だ、いつもと似たようなことしてただけじゃないの。また大袈裟な」 人間にとって、このようなことは日常茶飯事なのであった。 餡庫始まってもう一年になるんですね。 この道に興味持って半年未満の自分ですが、おめでとう、とだけ言わせて貰います。 ふたば系ゆっくりいじめ保管庫見たら売春婦4に新しい挿絵が! 儚いあき様、有難うございます!! Can ゆー defend? 中編の子れいむのマクロスの奴パクったおうた、あれ自分で口ずさみながらチェックして書いてたんですが、親に聞かれて恥かいたのは黒歴史。 ヤリまむあきでした。
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・「町れいむ」シリーズの方が、間を開けすぎて頭の中で整理つかないんでリハビリ中。 ・本作ではれいむが多少酷い目に会います。 かつて大規模なゆっくり被害にあったことで、かえってゆっくりとの距離を縮めることに成功した都市、虹浦市。 中でも虹浦町は、市内の実験森や実験農場同様、町全体を使った大規模なゆっくり生態研究地域として有名だが、 隣町の湯栗町の方は、ゆっくり産業の盛んな地域として、これまた有名であったりする。 まあ、愛で=熱心な保護、というわけでもなく(それではゆっクリンピースになるので)、 ゆっくりに対する理解が深く、ペットにしろ食用にしろ、抵抗なく受け入れるという意味なのだからしょうがない。 そんな湯栗町では当然、ペットだけではなく、ゆっくりを原材料とした多様な製品が開発されている。 熱心な愛好家の中には、衣類や家具はもちろん、家自体が大型ドスまりさやリオれいむを加工したモノという本格派もいるくらいだ。 とはいえ、さすがにそれはやり過ぎの感が否めず、量産化されるわけもない。 では、もっとも発展している分野は何かといえば、やはり飲食料品系であろう。 何と言ってもこれなくしては、ゆっくり産業を語ることはできない。 少年チャン○オンにおける弱虫○ダル、ヤングア○マルにおけるセス○スみたいなものだ。 と、いうわけで今回は、そんな湯栗町でも特に人気の高い商品を紹介してみたいと思う。 『銘菓湯栗饅頭』 D.O 箱を開けると中には今にも語りかけてきそうな生き生きとした表情の赤れいむ達が並んでいる。 赤れいむの表情は、いずれも満面の笑顔であり、これから購入者に食べてもらえることが心底嬉しそうだ。 3個入りで150円、9個入りのファミリーパックはちょっとお得な400円。 『銘菓湯栗饅頭』は、湯栗町の名物中の名物として有名な商品である。 しかし、この一見単純な商品の開発には、同市がゆっくり研究に携わり培ってきた、技術の粋が込められているのだ。 それではこれから、その生産工程を追ってみよう。 長さ100m以上はあるであろう真っ白な廊下。そこにはほこり一つ舞っていない。 幅2m以上の廊下の両脇の壁には、無数のコインロッカーのような扉が並んでいる。 ウィーン・・・ 自動ドアが開き、エアシャワー室からこの廊下へと入ってきたのは、加工所職員である。 白い衣服で全身を包んだ職員は、当然マスクに帽子、長靴から手袋まで真っ白だ。 パカッ。チョキッ×5。パタン。コロコロコロ・・・・パカッ。チョキッ×5。パタン。コロコロコロ・・・・ ロッカーの扉を開き、ハサミで何かを切り離し、卵パックを並べたようなトレイに入れていく。 いくつものトレイを積んでいるコンテナカートは、あっという間に一杯になり、カートは別の部屋へと運ばれていく。 その職員は、ロッカー扉の開閉音と、カートの車輪音の他に、何の音もしないこの部屋で、ひたすら『収穫作業』を続けていた。 縦横40cm、奥行き60cm程のロッカーの中には、 あんよを太さ3mmほどの、返しが付いた針を剣山状に並べた固定器具に貫かれ、数本のチューブにつながれながら 「ゆぅ・・・ゆぎぃぃ・・・」 と歯を食いしばって痛みに耐えているれいむが1個づつ入っていた。 頭にはツタが生え、赤れいむがぴったり5個づつ成っている。 職員は、そのツタを等間隔にハサミで切り取り、実ゆに直接触れることのないようにそっと1個づつ切り離していく。 切り離した実ゆは、もうすぐ産まれようとしているサイズであり、ここで切り離しても死にはしない。 正確には、今収穫している赤れいむ達は、今から25分後の、6時12分00秒に産まれ落ちるよう設定されている。 「ゆ・・・ゆぎぃ。おぢびぢゃ・・・がえぜぇ。」 誰も答える者のいない抗議を続けるれいむ。 一方収穫の終わった職員は、そのロッカーに設置されている赤いボタンを押し、 扉をパタンと閉じて次のロッカーに作業を移していた。 赤いボタンの押されたロッカーは、収穫済みということであり、 扉を閉じられてから間もなく、これで数10回目になる強制すっきりーが開始される。 まむまむに接続された、れいぱーありすを模した繁殖用器具から 「むほぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」 という作動音とともにれいむ種から抽出した精子餡を注入されるわけだ。 必要とされるのはれいむ種だけなので、当然本物のれいぱーありすを使うわけにはいかない。 「ありずぅ・・・もぉ、ゆっぐりざぜでぇぇぇぇ・・・」 こうして、「生産室」では日夜無数の赤れいむが生産され続けている。 所変わって収穫された赤れいむを満載したカートは、その隣の部屋に運び込まれている。 ゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥン・・・・・・・・・ 広大な部屋一面には15cm間隔で低い壁板に仕切られた、何本ものベルトコンベアーが配置されている。 2枚の壁板に仕切られた空間の中央には、赤れいむのツタを引っかけておくフックが設置されており、 赤れいむ達がこのベルトコンベアー上で産声を上げるように設定されていることが分かる カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・ 「ゆぅ・・・?・・・ゆぅ・・ゆぅ・・」 赤れいむたちは、全員がベルトコンベアーの進路側面、同じ方向を向くようにフックに取り付けられる。 その方向にあるのは、大画面のスクリーンとスピーカー。 これが、これから産まれ落ちようとしている赤れいむ達の、味と表情を決定する装置となるのだ。 次にベルトコンベアーの床面を見てみよう。 見た目ではリノリウム床のような質感を感じさせるシートの中央には、 ちょうど赤ゆのあんよの大きさの赤い丸が描かれている。着地点を示しているのだ。 手で触るとぺたぺたと微妙に吸いつき、低反発枕を柔らかくしたような感触を感じさせる。 もともとは飼いゆっくりを傷つけずにスパンキングする目的でつくられた新素材なのだが、 わざわざ加工所で採用されたのには理由がある。 ああ、そろそろフックに固定された赤れいむたちが産まれ落ちる時間のようだ。 「ゆ・・・ゆぅ・・・」 ぷる、ぷるぷる・・・ぷちり! べちょり! 「ゆ・・・ゆぅ、ゆっくち、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!!」 返事は無い・・・ 「ゆ?ゆっくちっ、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!ゆっくち・・・」 キョロキョロと全身を捻ってあたりを見回すが、返事どころか母れいむらしき姿自体どこにも見当たらない。 「ゆ、ゆぅん。ゆっくちおきゃーしゃんさがしゅよ。ゆ・・・ゆぅ?あんよしゃんうごいちぇにぇ?」 そして、ゆっくりした母が姿を一向に見せようとはしないことを不審に感じて探し回ろうとするが、 赤れいむのあんよはなぜか動いてくれない。ずぶずぶと床に沈みこむ様な嫌な感触が返ってくるだけである。 「ゆあーん。ゆっくちできにゃいー。」 * o + 実は、これこそがベルトコンベアーの床面の、新素材の効果だ。 以前はあんよを焼いたり、削り取ったり、接着テープや針等で固定したりしなければ動きを止めることができないと考えられていたが、 歩行能力の低い赤ゆに関しては、低粘着・低反発素材の上では身動きが取れなくなるということが、偶然発見された。 あんよと呼ばれる饅頭底部全体をダイナミックに動かすことで這い、跳ね回るゆっくりならではの弱点なのだろう。 おそらくゆっくりにとってこの床面は、砂漠の流砂に沈み込むような感覚であるに違いない。 ともあれ、この床のおかげで、湯栗饅頭はゆっくり本来の食感、見た目の美しさを残したまま加工できるようになったのだ。 「ゆ・・・ゆぅぅぅ・・・あんよしゃん、うごいちぇにぇ。ゆっくちしちゃいー。」 この間にも周囲では500個以上の赤れいむが産まれ落ち、最初の1個と一言一句まったく同じ言動を行い、メソメソと泣き始めた。 そうして十分に赤れいむ達が自分の現状を認識した頃、ブゥゥン、という音とともに、プロジェクターとスピーカーが作動する。 「・・・ぃびちゃん、おかーさんはこっちだよ。おちびちゃん、こっちむいてね。」 それは、赤れいむ達が産まれ落ちる前のまどろみの中、ずっと聞き続けた声だった。 「おきゃぁしゃん!ゆっくちー!」 赤れいむ達は、産まれる前のおぼろげな意識の中で、ずっと自分に語りかけてきてくれた母れいむの声を聞いて生気を吹き返す。 無論、実際は疲労と苦痛にもだえ苦しむ母れいむ達が語りかけてくれていたはずも無く、 実は繁殖ロッカー内にスピーカーで流され続けていた、「理想の母れいむ」の声を聞いていたに過ぎないのだが・・・。 そして、スクリーンにはそのゆっくりした声の主、母れいむの姿が映し出されている。 その姿は、美しいおリボンとふくよかな下膨れの、まさに赤れいむ達が理想とした、ゆっくりした美れいむであった。 「おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」 「ゆーん、おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇるにぇー。」 「ゆっくち!ゆっくち!」 しかし、赤れいむ達が望んだ反応、 「ゆっくりしていってね、おちびちゃん。」 という初めての挨拶も、 「れいむのおちびちゃんはかわいいね!すーり、すーり、しあわせー。」 という、スキンシップも帰ってくることは無かった。 「・・・なに、このゆっくりしてないおちびちゃん。ちかづかないでね・・・」 「・・・きたないおりぼんだね。ゆっくりできないよ・・・」 「・・・うんうんくさいよ。ゆっくりしないでむこうにいってね・・・」 「・・・こんなゆっくりできないゆっくりは、れいむのおちびちゃんじゃないね・・・」 一瞬前までとてもゆっくりしていた母れいむ。 しかし、赤れいむ達が語りかけた瞬間、その表情は180度反転した。 その瞳は、まるでお飾りが無いゆっくりを見るかのように侮蔑する気持ちを一切隠さず、 その声は、山盛りのうんうんに対してよりも容赦なく吐き捨てるような、嫌悪の感情そのものであった。 「ゆ・・・・ゆぁぁぁぁああああ!!!おきゃあしゃん、どぼじで、どぼじでしょんなこというにょぉぉぉおお!!」 「ゆっくちしちぇ、ゆっくちしちぇよぉ!」 赤れいむ達が泣き叫ぼうと、母れいむの冷酷な反応はまったく変化しない。 「・・・なに、このゆっくりしてないおちびちゃん。ちかづかないでね・・・」 「・・・きたないおりぼんだね。ゆっくりできないよ・・・」 「・・・うんうんくさいよ。ゆっくりしないでむこうにいってね・・・」 「・・・こんなゆっくりできないゆっくりは、れいむのおちびちゃんじゃないね・・・」 「ゆぴぃぃぃぃぃ!!!ゆっぐぢぃぃぃい!!」 よく聞けば、まったく同じ台詞、映像を30秒毎にリピートしているだけなのだが、 所詮は食用の赤れいむ達が、そのことに気づくことは無い。 ちなみにこの撮影の際に母れいむ(仮)の前に置かれたのは、 おリボンともみあげにハサミを入れてズタボロにした挙句、うんうんを全身に塗りたくった実の娘れいむであった。 この母れいむも、餡子は美味だったらしいが、なかなかのクズ饅頭っぷりである。 「ゆ、ゆぁ、おきゃしゃ・・・」 「ゆぴぅ・・・ゆっくち・・・」 それを続けること約3分、すっかり憔悴しきった赤れいむ達が、 あまりのゆっくり出来なさに、もはや世界の終わりのような表情でうなだれてくれば下ごしらえの完了である。 しかし当然、このままでは、ゆっくりした表情が売りの湯栗饅頭には向かない。 そこで、次の工程が必要になる。 「ゆ・・・ゆっくちしちゃいよ・・・」 「・・・おきゃーしゃ・・っくちぃ・・・」 500個以上の赤れいむ達が産まれ落ちてから4分15秒後、 そのお通夜のような空間に、再びゆっくりした優しい声が響く。 「・・・ぉちびちゃんたち、ゆっくりしてね。すーりすーりしようね。」 「ゆゆっ!!ゆっくち!?」 赤れいむ達が顔を上げると、そこには、先ほどまでとはまるで別のゆっくりのような、優しい笑顔の母れいむ。 「かわいいれいむのおちびちゃん、ゆっくりしていってね!」 母のやさしい笑顔とゆっくりと語りかけてくる声、 それは、赤れいむ達の乾ききった心に、砂漠に滝が突然生まれたかのごとく、ゆっくりを注ぎ込む。 打ちひしがれていた赤れいむ達は、もはや母れいむの変貌振りに不審を抱く隙間すら生まれず、 周囲3方向から自分に照準を定めるアームの存在にすら気づかずに、その喜びを全身で爆発させる。 「ゆっくち!!ゆっくちしちぇっちぇにぇっ!!!」×513 ブゥン・・・・・・ それが、赤れいむ達が最後に発した言葉らしい言葉だった。 このアーム、最近ゆっくりの遠隔発情用に開発された、超指向性の振動波発生装置である。 本来の用途は、100m以上離れた場所からゆっくりの餡子を揺らして、 瞬時に発情させて繁殖させるという、無駄にテクノロジーを使った、おそらくは虐待用途以外のための製品だ。 しかしこの工場のように、1個のゆっくりに対して複数方向から囲むように放射した場合、 うまく入射方向を調整することで、中央に立つゆっくりの中枢餡を瞬時にかき回し、 食品として不必要な生態機能を止めることも出来る。 この工程で、赤れいむ達は中枢餡の実に7割近くをかき回され、 言語を自由に発することも、表情を変えることも永遠に出来なくされるわけである。 この処置を終えた赤れいむ達は、言葉を聞き取ることはできても、自分から話すことはできない。 餡子をかき回された激痛と吐き気の中で、その本能にまで刻まれた唯一つの言葉しか発することが出来なくなるのだ。 すなわち、 「ゆ゛・・・ゆっくりしちぇっちぇにぇ・・・」 そして、その目の前では、動画の続きとして次のようなやり取りが延々15分ほど流れ続ける。 「ゆーん、れいむのおちびちゃんはゆっくりしてるね。」 画面端からぴょんぴょんと跳ねてくる、一匹の赤れいむ。 「おきゃーしゃん、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!!」 「おちびちゃん。ゆっくりしていってね。」 「ゆーん。ゆっくちちちぇっちぇにぇ!ゆっくちちちぇっちぇにぇ!」 「ゆふふ。おちびちゃん。ゆっくりしていってね。」 「ゆわーい。ごあいしゃつはゆっくちできるにぇ!」 「むーちゃ、むーちゃ。ちあわちぇー。」 「ゆゆーん、おくちのまわりがよごれてるよ。ぺーろ、ぺーろ。」 「ゆぅーん!しゅっきりー。」 「おきゃーしゃん。しゅーり、しゅーり。」 「ゆふふ、おちびちゃん。すーり、すーり。」 「しゅーり、しゅーり。ちあわちぇー。おきゃーしゃん、きもちいーにぇ。」 「それじゃあ、そろそろすーやすーやしようね。おちびちゃん。」 「ゆっくちー。れいみゅ、ひちょりでおふとんしゃんしけりゅよ。みちぇちぇにぇ。」 * o + # * o + # * o 。 こうして、赤れいむ達が笑顔のままボトリボトリと涙を流し続け、その涙が枯れ果てたころに動画は終わり、 コンベアーは再び動き始めるのである。 こうして、「調整室」における全工程が終わった赤れいむ達は、コンベアーの流れに沿って、 最終工程、「蒸ゆ室」で、加熱調理・殺菌が行なわれる。 「ゆぇぇぇぇ・・・ゆっくちしちぇいっちぇぇぇぇ・・・」 「ゆっぐぢぃ・・ゆっぐぢぢぢぇいちぇにぇぇ・・・・・」 「ゆぇぁぁぁぇぇぇ・・・ゆぇぇぇぇぇぇ・・・」 無論、永遠にゆっくりして鮮度が落ちてしまっては、せっかくの新鮮な赤れいむが台無しとなってしまう。 温度、湿度から調理時間にいたるまで、生かさず殺さずの、綿密な計算の上で設定がなされているのだ。 笑顔のまま室内全体に断末魔の悲鳴を響かせ続ける赤れいむ達は、 この最終工程で、その甘さとふっくらとした柔らかさをさらに増していくのである。 こうして「蒸ゆ室」でじっくりと調理された赤れいむ達は、ぷりぷりとした肌、 赤白の鮮やかなおリボン、そして、ゆっくりとした満面の笑みをたたえた表情の、すばらしい饅頭となる。 銘菓・湯栗饅頭の完成だ。賞味期限は赤れいむが永遠にゆっくりするまで。 あとは、それぞれ3個、もしくは9個毎にパッケージされて、店頭に並ぶ。 湯栗饅頭は今日も母親と一緒に買い物に来ている子供達や、部活帰りの中高生に大人気だ。 「いつみてもゆっくりしてるわねー。この赤れいむ。」 「やっぱり食用のゆっくりは、食べられるのがゆっくりー!なのよ。」 「ゆ゛・・・ゆっくちしちぇっちぇにぇ・・・」 「きゃー!カワイイー!」パクリッ 「ゆぐぢぃぃぃ・・・」 「おかーさーん!おまんじゅうかってよー!」 「もー。しょうがないわねぇ。それじゃあ、3匹入りくださーい。」 「へいへーい。今日のれいむ達も、ゆっくりしてますよー!」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇ・・・」 「いっただきー!」ムシャムシャ・・・ 「ゆ゛・・・ゆっぐぢぃぃ・・・ゆぐぢっ!・・・・・・」 「お行儀悪いわよ。お家に帰ってからにしなさい。」 * o + 加工所の目玉商品である湯栗饅頭、その生産工程は厳重に隠され、これからも明かされることはないであろう。 その甘さに、明らかな虐待の匂いを感じ取っているのは、現在のところ、ごく一部の愛好家のみである。 先日ペッパーあきさんからもお話しあったのですが、 私の適当に使っている「虹浦町」「虹浦市」「湯栗町」などの固有名詞や、 その他シリーズもので使っている各種舞台設定等については、ご自由に流用していただいて結構です。 むしろありがた過ぎます。 別に専売特許というわけでもないし、倉塚校長とか、湯宇川教授とか、儚井さんとか、M枝・わん五郎夫妻とか、 こちらこそ無断で遊びすぎてるくらいですからねぇ。 ていうか大丈夫なのだろうか。倉塚校長は変態街道ばく進中、M1さんに至っては老夫婦になってるし。 餡小話掲載作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 プラス本作品 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけについては何とも言えないけど) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけのおまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけのおまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけのおまけのおまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 翌年 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(おまけ)
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俺とゲスと自業自得な餡子脳 22KB ・二作目だよ! ・前作のコメントで指摘を受けて、色々試してみたよ! もし悪化して読み辛くなってたりしたらごめんね! ・一応現代設定だよ! ・俺設定満載だよ!嫌いな人は気を付けてね! ・感想やご指摘があれば、とってもうれしいよ! むしろもっといじめてね!!! ・最後に、相変わらず自己満足からできた物ではありますが、 お一人でも楽しんでいただければこの上なく幸いです。 それでは、どうぞごゆっくり… れいむは困っていた。 望まぬ出産でごはんが足りなくなってしまったのだ。 とは言っても別にレイパーによる強制にんっしんっなどではない。 ちゃんとした番である、まりさとの子だ。 れいむと番のまりさは町に巣食う、いわゆる野良である。 野良ゆっくりが害獣指定されて野良に対して厳しい環境の中、 親姉妹がいないもの同士でそれなりに上手くやってきた。 が、ここ最近の寒さのせいで震えながら互いに寄り添って寝ていたことで、 つい振動がもたらす快楽に我慢できず、すっきりしてしまったのだ。 どこぞの路地裏で生まれ、路地裏で育った生粋の野良であるれいむ達。 町での生き方は他のどのゆっくりよりも熟知しているつもりだ。 なので、うかつに狩りという名のゴミ漁りもできないこの世の中、 食欲旺盛な食い扶持が増えてもそれを賄えなどしないことぐらいわかっていた。 それでも解決策までは思いつかない。 いっそ死産してしまえば、とも思った。 だが比較的安全な胎生にんっしんっだった事も手伝ってか、全部で3匹の赤ゆは全て無事に生まれてしまった。 生まれてしまった赤ゆ達を前にして、一時的には空腹も忘れて幸せな気分に浸れた。 しかし、もちろんそれだけで本当に腹が膨れなどしない。 子供が生まれてから数日後、赤ゆたちが寝静まったある夜。 かつて必死で蓄えたごはんも底を尽きかけているという現実を目の前にして、 二匹はようやく慌てて、対策を練ろうとした。 番のまりさは、辛いがもうおちびちゃんを捨ててしまおうと提案したが、れいむはそれを有無を言わさず一蹴した。 ゲスとでいぶというどうしようもない組み合わせの二匹ではあるものの、 実際に我が子を目にして、れいむの中に生まれたなけなしのぼせい(笑)がそれを拒んだのだ。 だが他に妙案も浮かばず時間だけが過ぎ、貴重な食料は減っていく。 そして現在に至る。 「れいむ、どうするんだぜ?おちびちゃんたちもおなかをすかせはじめてるし このままじゃぜんいん、えいえんにゆっくりしちゃうんだぜ…」 自分が必死に考えているというのに、まるで他人事のように話すまりさ。 先程の無慈悲な提案も相まって、イライラしていたれいむはまりさに対してきつく当たった。 「うるさいよ!いわれなくたってわかってるよ! いちいちわかりきったこといわないでね!!まりさばかなの?」 「いらいらしてるからってまりさにあたるのはやめるんだぜ! まりさががんばってだしたていあんをいやだっていったのはれいむなんだから れいむがかわりをかんがえるのはとうぜんなんだぜ!! どっちがばかなのかゆっくりりかいしてね、ばか!!!」 だが、同じくイライラしていたまりさに言い返されてしまった。 確かにまりさの言い分を一方的に蹴ったのは自分である。返す言葉も無い。 れいむは再び口を閉ざし考え込んでしまった。 「ゆぅ…どうしよう…… いいかんがえなんてまったくでてこないよ。 やっぱりまりさのいうとおり、このこたちをすてるしか… こんなにゆっくりできるこたちなのにぃ…… ……ゆっ?」 眠っている赤ゆ達を見つめながらうちひしがれるれいむだったが、 急に何かに気がついたように、顔を上げた。 「どうしたんだぜ?れいむ?」 「まりさ!れいむいいことおもいついたよ!! これならにんげんのたべてるおいしいあまあまもいっぱいもらえるよ!!!」 「ゆっ!?それはほんとうなのかぜ!? まりさにもはやくおしえるんだぜ!!!」 「あのね………」 夜は更けていく――― ―――――――――― 朝。 早朝独特の爽やかな空気を吸い込んで最高だった俺の気分は、 路地裏から這い出て来た、奴らを視界に入れた事で直下降した。 「「にんげんさん。ゆっくりしていってね!!!」」 「「「ゆっきゅりちていっちぇね!!!」」」 少し視線を下げると、そこには薄汚れてところどころゴミの付着した汚饅頭が2匹と、 何か癇に障る声で舌足らずに話すチビ饅頭が3匹。 ―――出たな、ゴミ饅頭め。 ふてぶてしい顔でお決まりの挨拶を吐く饅頭どもを見て、俺は陰鬱な気分になった。 つい十数秒前まではあんなに晴れやかな気分だったのに一瞬でこれだ。 それもそうだ。こいつ等と関わって喜ぶような人間はいないし、 一々潰すのも面倒臭い。後片付けだって楽じゃないしな。 が、いくら面倒臭くとも、野良を見つけた場合は確実に駆除。 そういう決まりがあるのだから、放っては置けない。 そのために、市が設置した公共の野良ゆっくり専用ゴミ箱なんかがある。 (えっと野良専用のゴミ箱はっと…) さっさと潰してしまおうと、近くに野良専用ゴミ箱があるか探す俺に不穏な空気を感じたのか、 慌てた様子で親ゆっくり達が話しかけてきた。 「ま、まってね、にんげんさん!!まりさたちのはなしをきいてね!!!」 「れいみゅたちなんにもちてないよ!!!」 うるっせえなぁ… 何もしてないもクソもお前らは存在してるだけで害悪だろうがよ。 ただでさえこっちは朝っぱらから汚いもん見せられて気が立ってるのに、 甲高い声で喚くなっつーの。俺のストレスがマッハだわ。 20メートルほど先に野良専用ゴミ箱を見つけた俺は早く済ませようと足を上げる。 「にんげんさん! れいむたちはおたがいがゆっくりできる“とりひき”がしたいんだよ!!! ゆっくりしないでりかいしてね!!!」 「「りきゃいしちぇね!!!」」 あん?取引だ? 妙な事を言い出した親れいむの話に、思わず足を止めてしまった。 それを好機とみたのか、親ゆっくり達は次々とまくし立てる。 「かわいいれいむたちはおなかがすいてるよ!! にんげんさんをゆっくりさせてあげるから れいむたちにあまあまよこしてね!!」 「そうなんだぜ!! ちゃんとゆっくりしたらさっさとあまあまよこすんだぜ!!!」 言いたい事はなんとなく伝わったけど、話を勝手に進めすぎて大雑把にしかわからん。 興奮しすぎてゲスの本性を出し始めた親ゆっくりに一応確認してみる。 「あー、つまり俺をゆっくりさせてやる代わりに 食い物よこせって事でいいんだな?」 「ゆっ!そうだぜ! りかいがはやいとたすかるんだぜ!!!」 うるせーよ、餡子脳。舌引っこ抜くぞ。 なんでいつ見ても常に上から目線で偉そうなんだ、こいつら。 「まあそれはいいんだけど、どうやって俺をゆっくりさせる気だ? まさか『かわいいれいむのうつくしいこえがきけたんだから、ゆっくりできたでしょ?』 とか言わんだろうな。 もしそうなら問答無用でゴミ箱へ直行してもらうが」 「ゆっ!?ちがうよ! そんなこというわけないでしょ?なにいってるの?」 「ばかなの?しぬの?ってか。 それはともかく、それならどうすんだよ。 やるなら早くやってみせろ。時間がもったいない」 「とりひきせーりつだね!わかったよ!! じゃあゆっくりさせてあげるね!! おちびちゃんたち!!!」 親れいむの号令で赤ゆたちがそろって俺の前で得意げに胸(?)を張る。 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」」」 そのまま数秒間静寂が場に流れる。 ここからどうするのかと思っていると 一仕事終わったとでもいうような顔で親れいむが言った。 「はい!ゆっくりできたでしょ? さっさとれいむたちにあまあまよこしてね!!!」 「よこしぇ~!!」 「あみゃあみゃ~♪」 「あみゅあみゃはゆっくちできりゅんだじぇ!!」 ……はい? どういうことか理解できないので、改めて聞いてみる。 「で、俺をどうゆっくりさせてくれるんだ?」 「ゆ?なにいってるの? れいむのかわいいおちびちゃんたちをみてゆっくりできたでしょ?」 「ゆゆ~ん♪まりささまのあかちゃんはとってもゆっくりできるんだぜ~♪」 「「「かわいくっちぇごめんにぇ!!!」」」 ―――ああ、そういうことかよ。要するに、いつもやってる事と変わんねえじゃねーか。 こいつらの言わんとした所を理解した俺は、あまりの野良饅頭共の馬鹿さ加減に思わず頭を抱えたくなった。 ―――――時は戻って深夜――――― 「だから、かわいいあかちゃんをみせて ゆっくりしてないにんげんたちをゆっくりさせてかわりにあまあまもらえばいいんだよ!!!」 「ゆ!?でもれいむ、まりさたちがなにをいっても にんげんたちはきかずにころそうとしてくるんだぜ!! そんなにんげんにおねがいしようだなんてきけんなんだぜ!!!」 そう。伊達にまりさやれいむとて長年野良をやってはいない。 人間にはどう足掻いても敵わないことは身にしみてわかっていたし、 自分達を目の敵にしていることも知っていた。 まりさ達だってこれまで人間に見つからないように、必死になってきた筈だ。 そんな恐ろしい人間に自ら近づこうなんてれいむは何を言っているのだろうか。 なんとかれいむのやる気を失くさせようするまりさをれいむは鼻で笑うように言った。 「だからおねがいじゃないよ!!これは“とりひき”だよ!! にんげんとは“いーぶん”なかんけいなんだからもんだいないよ! 『そうごのりえき』をついきゅーしたけっかがこれだよ!!! まりさもゆっくりりかいしてね!!!」 普通に考えれば問題だらけ、穴だらけなプランだ。 と言うよりも、いつもゆっくりがやっているやり口の見方を変えただけである。 しかし、まりさはれいむのゆっくりにしては小難しい言葉と 持ち前の餡子脳に惑わされて、至極あっさりと話に乗った。 「ゆぅ~!すごいんだぜ、れいむ!!! まりさだってそんなことかんがえもつかなかったんだぜ!!! こんなかしこいれいむをおよめさんにもらってまりさはしあわせものなんだぜ!!!」 「ゆぅ~♪ほめすぎだよ、まりさ!!」 番にほめられてグネグネ蠢く汚饅頭。 気色の悪いことこの上ないが、そこまで調子付くのも無理からぬ事。 この汚饅頭たちにとっては、今が間違いなくゆん生最高の時だったのだから。 結局その日の夜は有頂天になったまま寝てしまい、次の日の朝早く親ゆっくり達は赤ゆ達に考えを簡単に説明した。 「…というわけで かわいいおちびちゃんたちならぜったいににんげんなんかいちころだよ!!!」 「わーい!にんげんしゃんのあみゃあみゃがちゃべれりゅんだじぇ!!!」 「ゆっくちれいみゅたちのきゃわいいところみしぇてあげようにぇ!!!」 「きゃわいくちぇごめーんにぇ!!!」 「さあ!じゃあだれでもいいからにんげんをみつけて“とりひき”しにいこうね!!!」 「「「「「ゆっゆっおー!!!」」」」」 意気揚々と、巣である汚いダンボールからずーりずーりと這い出てくる野良一家。 その威勢の良い様子とは裏腹に、これから先ろくでもない運命しか待ち受けていないのは明白なのだが。 ―――――――――― そんなこんなで、自慢げに食料を要求してくる饅頭達を見ながら、俺はどうしようかと思っていた。 無論食料をやろうかやるまいかではない。このままさっさと潰そうかどうしようかだ。 普通ならこのまま言っていることを無視して潰すのだが、 貴重な休日の朝一の散歩を邪魔された腹いせもあるし、少し暇潰しでもしてみるか。 ま、どの道最後に潰すのは変わらないけどな。饅頭潰すか、暇潰すかの違いだ。 「どうしたの?さっさとかわいいれいむたちにあまあまよこしてね!!!」 「じぶんだけゆっくりしようなんてげすのかんがえることなんだぜ!!」 「しょーだしょーだ!!」 「ゆっくちしゃしぇろー!」 「ゆっくち♪ゆっくち♪」 どんどん調子に乗り出すクソ饅頭達。 ならば、俺はこう返すしかないだろう。 「あ?嫌だよ。何で俺がお前らにメシなんぞやらなきゃいけないわけ?」 「「「「「ゆ゛!?」」」」」 俺の言っていることが理解できないとばかりに一斉に固まる野良達。 「あん?言ってることわかんねーのか?お前らなんかにやるものなんぞ何もねーっつってんだよ」 もう一度言ってやると、一拍置いて饅頭共が騒ぎだす。 「どおじでぞんなごどいうの゛ぉぉ゛ぉ゛ぉ!!!」 「うぞづぎはゆっぐりでぎないぃぃぃぃぃぃ!!!」 「うしょちゅきはゆっくちちね!!!」 「ゆあぁぁぁん!あみゃあみゃちゃべちゃいよぉぉぉ!!!」 「どうちてあみゃあみゃくれにゃいにょぉぉぉぉ!!?」 「嘘つきも何も嘘なんぞついとらんがな。」 「じゃあざっざどあ゛まあ゛まよごぜぇぇぇぇ!!!」 「だから何でやんなきゃいけないんだっつってんの。人の話聞けよ。 そもそもそんなブッサイクなガキ見たってゆっくりできないっつーの。」 「「「「「ゆ゛っ!?」」」」」 またもや固まる饅頭達。 また騒がれる前に、言いたいことは言っておきたい。 「あのなぁ、お前ら『赤ちゃんはゆっくりできる』とか言ってるけど そりゃお前らの中での話だろ。何で俺までそうなると思えるんだ?」 「どおじでもなにもあがじゃんがゆっぐりでぎるのはどおぜんでじょおぉぉぉ!!!」 「じゃあ自分の子供だけ見てゆっくりしてればいいだろうが。 別にメシなんぞ無くともお前らにとっては『ゆっくりすること』が一番大事なんだろ?」 「なに゛いっでるの゛ぉぉぉ!!おながへっでじゃゆっぐりでぎない゛でじょぉぉ!!!」 「へぇ、じゃあお前らにとって子供はメシにも劣る存在なのな。 おい、聞いたかチビども!お前らの親はお前らよりもメシの方が大事なんだってよ!」 俺と親の会話を聴いて、さっきまで固まっていた赤ゆ達が急に騒ぎ始めた。 「ゆ゛っ!?どういうこちょ!?」 「おかーしゃんちゃち、れいみゅがだいじじゃにゃいにょ…?」 「ち、ちがうよ、おちびちゃんたち!おかーさんそんなことおもってないよ!!」 「そうなんだぜ!おい、にんげん!へんなこというんじゃないんだぜ!!!」 つっかかってくる親まりさを気にもせず、更に続ける。 「変なことも何もお前らが言ったんだろうが。 『赤ちゃん見てるよりも、メシ食ってたほうがゆっくりできる』ってな。 可愛いおちびちゃんはゆっくりできるなんて人には言いながら その実メシの方が大事ってわけだ。大した役者だよ、お前ら。」 それを聞いたチビたちは、更に大声で泣き喚く。 親れいむは子をあやすのに必死だったが、親まりさは違った様だ。 簡単にこっちの挑発に乗ってきた。 「ゆぐぐぐぐ……だまるんだぜ!! おとなしくしてやってれば…もうゆるさないんだぜぇ。 おちびちゃんやまりささまをばかにするげすにんげんはまりささまがせーさいしてやるのぜ!!!」 俺が鼻で笑うと、堪忍袋(笑)の緒が切れたまりさがこちらに飛び掛ってきた。 たかが饅頭とはいえ親サイズともなればそれなりの重量はある。 ゆっくりにしては中々に早い動きで急に飛び掛って来たまりさに、 油断していた俺は膝を横から殴られるような形で突撃され、思いっきり吹っ飛ばされた。 ―――などという事は無く、普通に向かって来た所をカウンターの要領で蹴り飛ばした。 「ゆ゛びゃあぁぁぁぁ!!! ぶびゅっ!!!」 「……ば…ばりざぁぁぁぁ!!!」 「「「おとーしゃぁぁぁん!!!」」」 反動付きで蹴り飛ばされた親まりさは、壁に激突してボテンと落ちた。 歯は抜け落ちてボロボロになっていて、帽子も壁に激突した拍子に破れたようだ。 微かに動いてるところからしてまだ生きてるらしい。しぶとい饅頭め… 俺は親まりさに近づき、踏みつけてから更に足で壁に押し付けるようにして力を込める。 「何だ、制裁って?俺はお前らが言った事解り易くしただけだろうが? 言った内容まで人のせいかよ。そんだけでゲスになんのか、あぁ? なら、自分の言った事に責任持たずに人に擦り付けるお前らもゲスだよなぁ。 じゃあお前の言う通りゲスは制裁しないとな!」 更に足に力を込めると、今度は親まりさの尻から餡子が漏れ出した。 「あ゛あ゛あ゛あ゛!!ごべんなざい゛い゛い゛!!! ばでぃざがわるがっだでずぅぅ゛!!! いだい゛!じんじゃう!!! おでがいじばずがらぜいざい゛じないでぇぇ゛!!!」 「簡単に謝るくらいなら最初からでかい口叩くんじゃねーよ。 自分の発言に責任も持てないなら言うんじゃねえ、ボケ!」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 まりさは餡子を吐いて呻くだけで、何の反応もしなくなった。 他の奴らはさっきまでの勢いはどこへ行ったのか、 未だかつて見た事の無い光景にしーしーを漏らしながらガタガタと震えている。 その様子に少しスカッとした俺は足を親まりさからどけて、他の饅頭達に話し掛けた。 「よう、クソ饅頭共。ありがとよ、その不細工なチビよりはゆっくりできたぜ」 「なに゛いっでるのおぉぉ!ごんなのゆっぐりでぎるわげないでじょぉぉ!!!」 「そりゃお前らはな。でも俺はゆっくりできるんだよ、わかるか?」 「にゃんでぇぇ゛!?わがらな゛いよぉぉぉぉ!!!」 なにか違う種類のゆっくりになりかけてるれいむに対して、俺は続ける。 「あー、ったくめんどくせぇなぁ。まあおとなしく聞けや、汚饅頭。 例えばだ、ありす…レイパーっているだろ」 「ゆ!?れいぱーはゆっくりできないよ!!」 「お前達にとってはな。 でも無理矢理他のゆっくりにすっきり仕掛けてる時が、 あいつらにとっちゃ一番ゆっくりできる時なんだよ。 なんでかわかるか?」 「そんなのわからないよ! れいぱーみたいなゆっくりしてないゆっくりのきもちなんてわかんないよ!!!」 「ああそうだろうな。じゃあ聞くけどよ、 レイパーの気持ちはわかんないのに、何で人間の気持ちはこうだって言えるんだ?」 「ゆ?」 「ゆ?じゃねーよ。バカか、お前。 何でお前らは、人間がお前らのクソチビ見てゆっくりできるって考えれんだっつってんの。 お前らの不細工なガキ見てゆっくりできる奴なんぞお前らぐらいしかいねぇよ。 少なくとも人間にはそんなもん当てはまらねーっつーの」 親れいむはボケーッと馬鹿面下げて聞いている。うん、これはわかってないな。 「つまり、個人や種族によって『ゆっくり』の形はいくらでも変わるんだよって事だ。 お前らとは別に、レイパーにはレイパーの、俺には俺の『ゆっくり』があるんだよ」 「だ、だってれいむたちはかわいいおちびちゃんたちみてゆっくりできるんだよ? れいむたちがゆっくりできるならほかのみんなもゆっくりできるって……あれ?」 混乱している親れいむが言っている事に心底呆れた俺は、更に続けた。 「はぁ…ホンットどうしようもないな、お前。 そもそもゆっくりってやつは、誰かをゆっくりさせようとするものなんじゃねーの? なのにお前ら見てると、自分達がゆっくりするために他の奴らを都合よく使ってやろうって魂胆しか見えないんだよ」 「ゆっ、そんなこと…」 「無いって言えるのか? ありとあらゆる価値観を自分が中心になるように都合よく当てはめて、 それを他の者に押し付けて好き放題しようとするお前らが?」 「ゆぐっ…ぐぐ…ぐぐぐ……」 「おかーしゃぁん…」 「にゃんだかゆっくちできにゃいよぉ……」 「今回だってどうせ自分の事だけしか考えてないんだろうが。 『お前をゆっくりさせてやるから、こっちもゆっくりさせろ』だ?何様だ、お前。 そういうのはまず相手の気持ちを汲んでやれて初めて成立するものなんだよ。 自分の『ゆっくり』=他者の『ゆっくり』だと思ってるお前らにはできねえよ。 お前らのやってる事は取引じゃない。ただのこじ付け、屁理屈の類だ。」 親れいむの顔は、とどまる事を知らずに醜く歪んでいく。 「自分の価値観のみで作った、自分に都合のいい恩を押し売って、 その代わりに自分が欲しいものを自分が望むだけお前から貰いますってか? ゆっくり理解しときな。 そういう、お前らの様に相手の『ゆっくり』を無視して、自分の事しか考えないような奴をゲスって言うんだよ」 「ゆっぐり…だばれ……」 「ハッ!何で黙らなきゃいけないんだよ。 お前ら言い返せなくなったらそれしか言うことないのな。 なあ、実際の話お前らほど『ゆっくりしていってね』って台詞が相応しくない奴はいねーよなぁ。 挨拶も『ゆっくりさせていってね』に変えた方がいいんじゃねーの? あ、もう態度からして言ってるようなもんか。 さすがゲスは一味も二味も違うな!俺の頭では理解しきれんわ」 「ゆがぁぁぁぁ!!だま゛れえぇぇ!!! ぞれいじょうでいぶをばがにずるどゆっぐりでぎなぐじでやるぅぅ゛!!!」 「うるせーよ、黙んのはテメーだゲス饅頭!」 ブヂッ!! 「エ゛ン゛ッ゛!!!」 「「「おがーじゃぁぁん゛!!!」」」 先程のまりさと同じように、こちらの言う事に耐え切れなくなって 飛び掛ってきた親れいむを、迎え撃つようにしてリボンごと上から踏んづける。 「ゆ゛あ゛ぁぁ゛ぁ゛!やべでぇぇぇ゛!! あんごでじゃう!でいぶじんじゃうぅぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 こちらもいい加減我慢の限界が近い。 踏みつける足にも、つい力が入ってしまう。 「別にいいじゃねえか、死んじまっても。 で、何だ、ゆっくりできなくしてやるだ? ああそうかよ。でも生憎とお前らが何もしなくても、 お前らがいるだけでゆっくりできねーんだよ、こっちは! …どんだけ言っても無駄かよ。クソっ、やっぱ変な事考えなきゃよかったぜ。 とんだ暇潰しになっちまった。さっさと潰すか、気分悪い。」 そう言った途端に全員、さっき蹴り飛ばして息も絶え絶えだった親まりさまでもが、 潰すという単語に反応したのか、命乞いを始めた。 やはり自分の命には相当執着するものらしいが…… 「だ、だずげでぐだざい…ばでぃざだげでも!ばでぃざだげでぼぉぉぉ!!!」 「でいぶはおにーざんをゆっぐりざぜれるように゛がんばりばずがら!! がわいぞうなでいぶはづぶざないでぐだざい!!!おでがいじばずぅぅ!!!」 「ゆぁぁぁん!ちにちゃくにゃいぃぃ!! だれきゃきゃわいいれいみゅをたしゅけちぇぇ!!!」 「ゆんやぁぁぁ!こんにゃにょっちぇにゃいよぉぉぉ!!! れいみゅゆっくちしちゃいだけにゃにょにぃぃ!!!」 「にんげんしゃん、まりしゃをゆっくちしゃしぇてほしいんだじぇ!! いもうちょたちはみんにゃちゅぶしちぇもいいかりゃ まりしゃはたしゅけちぇほしいんだじぇ!!」 見苦しい事この上ねえな。この期に及んで、自分だけは~か。 そりゃ生きる上では誰だって持ってる本能だろうが、家族を全部売ってまでしがみ付きたいもんなのかよ…… まあいいさ。どうであれ、こいつら野良がどうしようもないやつってことには違いない。 せめて最後はお前らの流儀に合わせて、潰してやる。 「あー、じゃあ取引だ。」 「ゆ゛っ!?ど、どりひぎ!!?」 「なんでぼじばず!!ばでぃざなんでぼじばずがら!!!」 「あっそう。じゃ、俺はお前達でゆっくりさせてもらう事にするわ。 その代わりお前らをゆっくりさせてやるよ」 俺の言葉に少し顔色がよくなる饅頭達。 「ゆ、ゆっくちさしぇてくれりゅの……?」 「ほんちょに…?」 「……まりしゃたしゅかりゅんだじぇ?」 「に、にんげんざん、あでぃがどうございばずぅ!!」 「までぃざだぢなんでぼじばず!!!」 急に明るくなって、涙を流しながら感謝の言葉まで言い出す饅頭達。 ……なにか勘違いしてんな、こいつら。 「いや、別になんもしなくてもこっちで勝手にやるから、さっと!」 「ゆ゛ぴぃ゛!!!」 言い終わると同時に赤ゆを一匹踏み潰す。れいむ種だ。 「……ど、どぼじでぇぇぇぇ゛ぇ゛!!?」 「う゛わ゛ぁぁ゛ぁぁ゛!!でいぶのおぢびぢゃんがぁぁぁ!!!」 「れーみゅぅぅ!!」 「まりちゃのいみょうちょがぁ!ゆっきゅりちてぇ!!」 あー、うるさい。 今更言うのも何だけど近所迷惑だな、こりゃ。さっさと終わらせよう。 次は、うろたえているもう一匹のれいむに大股で近づく。 「おかーしゃんたしゅけ…ゆっ、ゆっ、も…もっちょゆっきゅりぢぃ゛!!!」 プチュン!! 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ばでぃざのあがぢゃんん゛ん゛ん゛!!!」 言わせるかよ、ゲスが。 お前らみたいな他者の事を顧みないゴミ屑に『もっとゆっくりしたかった』などとほざく権利があると思うなよ。 「おぢびじゃぁぁん゛!!! どぼじでごんなごどずるの゛ぉぉ゛ぉ゛!!?」 「どうしてって俺がゆっくりするために決まってんだろうが」 「な゛んでごんな゛ごどじでゆっぐりでぎるの゛ぉ゛ぉ゛!?」 「ゆっくちできにゃいぃぃ!!!」 「お前らの都合なんぞ知るかよ。 人間は、って言うか俺はこうしなきゃゆっくりできないんだっての。 さっき俺が言った事もう忘れたのか?餡子脳。お前らが居るとゆっくりできないの。 俺がゆっくりできないのは可哀相だろ? もう理解しなくてもいいから、さっさと潰されろ。いい加減めんどくせーし」 止めを刺そうとした俺に饅頭たちは尚も食い下がる。 「ばでぃざだぢゆっぐりでぎでないよ゛ぉぉ゛!!! どりひぎばどうなっだのぉぉ゛ぉ゛!!?」 「取引?ちゃんと守ってるだろうがよ」 「どごがぁぁぁ!?でいぶのがわい゛い゛おぢびぢゃんえいえんにゆっぐりじぢゃっだでじょぉぉ!!?」 「永遠にゆっくりしたんだろ? どんな形であれお前らをゆっくりさせてやってるじゃん。ほら、何も間違えて無い」 俺の答えを聞いて、饅頭達の顔が一気に青白くなった。 「「「ぞ、ぞんな゛ぁぁ゛ぁ゛「もういいよ、おまえら。じゃあな。」 「ゆ゛ん゛やぁぁ!!ゆ゛ん゛やぁぁ゛ぁ゛!!!」 「いやだ、いやだいやだいやだ!!ま゛だじにだぐない゛!! ばでぃざま゛だごれがらもっどゆっぐりずるんだぁぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 「なんでがわ゛いいでいぶがごんな゛め゛に゛ぃ゛… ごんなごどならごども゛なんがうばなぎゃよがっだ……」 親れいむの後悔の言葉を最後に、野良一家はその惨めなゆん生を終えた。 ―――――――――― 胸糞悪いやり取りを終え、ゴミ箱に捨て終わった後に時計を見ると、早朝というには少し遅すぎる時間になっていた。 帰ろうと後ろを振り向くとすぐそこに、昔っから俺の苦手なカミナリおじさんが青筋たててこっちを睨んでいる。 そりゃ朝っぱらからあんなに饅頭騒がせてりゃ、大迷惑に決まってる。 せっかくの休日の朝が台無しになった事に俺は深く悲しみ、いい歳こいて説教を受け、おじさんに謝りながら思った。 ―――ゆっくりゴミ饅頭なんかの戯言を聞いた結果がこれだよ、と ・あとがき 今作は「もっとゆっくりしたかった」と言わせたくないという、 ふとした想いからまたもや衝動的に生まれたものです。 その割にはえらく長いうえにどこかで見たような話に… でも反省はするけど、後悔はしません。多分。 もっと簡潔、かつ解り易くするのが今後の課題かも。 本当は…おもいっきり希少種愛でるようなやつも書きたいです…… では、ここまで読んで下さった全ての人に感謝を。 本当にありがとうございました!! ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 412 僕と『あの子』とゴミ饅頭と トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 所詮はゆっくりだね。こいつらで「すっきりー!」するなんてさっさと潰したりサンドバッグさんにするしか無いんだねー。わかるよー。 -- 2015-08-12 21 31 12 すっきりー! -- 2014-11-09 13 32 43 どこかにまともなゆっくりはいないもんかねぇ、、、ってそんな事考えても無駄か -- 2014-07-23 16 14 24 ゲスは、やっぱりくずだw -- 2013-09-08 21 08 33 取引の意味を学んで来い!(【取引】商売として、商品を売り買いすること) -- 2013-02-26 00 54 47 ドス以外の取引はしんようできないよー。わかるよー。 -- 2012-03-25 19 53 22 エ゛ン゛ッ゛!!!wwww -- 2011-12-12 19 29 33 この話好きだなぁ、すっきりー。 -- 2011-05-11 00 09 56 ゲス親のせいで殺される赤ゆっくりが不幸すぎる まあたぶんゲスに成長するんでしょうがね。というかもうゲスだし。 なんかよくわからなくなってきた。ゲスは制裁 -- 2011-04-14 03 57 46 「エ゛ン゛ッ゛!!!」wwwwww -- 2011-04-13 23 33 36 お兄さんに矛盾を突かれたという事を 僅かでも理解出来てるから かなり優秀な個体だよね でいぶというよりかは賢い(ゆっくりレベルで)ゲスかな -- 2010-11-06 14 08 27 お兄さんが正論すぐる… 野良ゆなんかと会話すべきじゃなかったんだね、わかるよー -- 2010-10-10 18 29 27 ゆっくりは喋るゴミ -- 2010-09-30 00 31 32 こんなことなら生まなきゃよかった って、まりさはそういう提案してたんだけどな れいむが諸悪の根源 まりさはゲスなりにまだまともだった -- 2010-09-28 13 07 04 説教されたお兄さん可哀想だけどゴミの会話に付き合ったせいだし自業自得かなぁ -- 2010-08-29 19 37 42 お兄さんの言うことがあまりにも正論すぎる -- 2010-08-10 23 28 02 ゴミと真面目に会話しようとするなんてキチガイ -- 2010-08-02 05 57 50 人間がゆっくりできたと自ら認めたんだから取引き成立じゃね? 野良どもに約束どおり報酬を渡すべき。渡すあまあまは潰した親まりさで -- 2010-07-27 23 17 08 そんな…可愛いおちびちゃんを見てゆっくりできないなんて…うそだろ… -- 2010-07-24 17 24 29 結局自己中なんだよゆっくりは。こんなの潰してすっきりだよ。 -- 2010-07-24 08 36 04
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私ってリーダーじゃない、だからみんなを平等にしなきゃって思うんだよね。 ほら、特に佐藤なんかは構ってあげないと、余計になにしだすかわかんないから、 そばに寄ってきたら相手をするの、とにかく子供なんで他愛もない事してるだけなんだけどね。 そうしたら生田がね、焼くのよ焼きもちを。 確かにさ、カメと入れ替わってた間はあんなことやこんなこともしちゃったし、 まして生田の初めても頂いちゃってるしね‥‥ もちろん私だって生田の事は可愛いしさ、大事に思ってるよ、ずっと一緒にいたいし‥‥ でも、それとこれとは別なんだよね。 一応あの娘もわかってはいるみたいで、その時は知らん顔してはいるんだけど チラッてこっち見た時の目がね、もう可愛いのよ。 なんていうかな、すがるような甘えるような、わかるかなぁ。 だからさぁ、ついついしちゃうんだよね、あえて生田のそばで。 そりゃ自分でも思いますよ、二十歳過ぎた大人が中学生に焼きもち焼かせて喜んでるなんてなにやってるかなって。 だけどその後がまた可愛いんだもん。 二人になってもいつみたいに甘えてこないの。 少し間空けて座ったりなんかしてさ、そっぽ向いて何気なく話そうとしてるんだけどね 顔をこっち向かせると涙目なんだよね、もうキュンキュンしちゃうくらい可愛くて。 たまらなくて、ギュッて抱き締めちゃうんだよね 。 耳元で優しく好きなのは衣梨奈だけだよって囁くと、泣き声でホントって… もうね、たまんないよ、可愛くて可愛くて ずっとこのままでいて欲しいな
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「ふたば系ゆっくりいじめ 156 ゆっくりに選ばせる青年/コメントログ」 たのしめた -- 2010-02-24 02 16 53 ゲスは制裁 いいゆっくりは救う この手の小説はきもちいい -- 2010-04-08 21 17 03 因果応報ってすばらしい -- 2010-04-17 21 47 55 なんか爽快 -- 2010-06-05 01 37 52 いいね -- 2010-06-06 10 45 08 虐待は好きだけどいいゆっくりは幸せになってもいいと思います -- 2010-06-18 01 28 27 とかいはなおにいさんね!! -- 2010-06-19 06 15 18 これは良かった -- 2010-06-30 12 56 34 こういうのは良いね たしかにあまあまだね。嘘は付いていない -- 2010-06-30 17 31 41 さっかりんww -- 2010-09-11 21 43 59 いいなぁ。 本当にゆっくりが存在するなら私はこういう事がしたい でも赤ゆは全部潰す^q^ -- 2010-09-21 02 58 14 やっぱり制裁派多いようだな -- 2010-09-27 01 06 36 こんな大人になりたい -- 2011-05-28 20 00 59 いいや性格がいいゆっくりも殺して悪いゆっくりも殺すほうが気持ちいい -- 2011-09-19 14 29 39 いい話だぁ -- 2012-03-20 20 53 09 普通に良いお兄さんだった・・・ 最近のは必要以上に殺しすぎるから困る -- 2012-10-03 00 26 23 有益な奴は残す いいね あ、でいぶは絶滅な -- 2014-07-30 22 52 43
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「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ・・・。ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛・・・。」 「ふぁぁ~・・・。何だもう朝か・・・。よいしょっと。」 とあるアパートの一室、朝8時に1人の男が目を覚ました。今日は誰もが昼まで寝ていたいと思う日曜日。 しかし、彼にとっての日曜日は自分の趣味をフル解放できる貴重な日・・・寝ている訳にはいかないのである。 特に、今回はある任務のために早起きする必要があった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ・・・。ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛・・・。ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ・・・ゆべぇ・・・っ。」 「さ~て・・・。早速森にでも出かけるかな・・・。」 ちなみにさっきから五月蝿い目覚まし時計の正体は、特製の『ゆっくり痙攣目覚まし(れいむバージョン)』だ。 時間になるとチューブが餡子を吸い出し強制的に痙攣させるのである。1つにつき約3日は使える仕様になっている。 目覚ましを止めると吸い出した餡子が戻るようできていたのだが・・・。 今使ってたれいむはどうやら力尽きてしまったらしい・・・。溜息を付きながら燃えるゴミに放り込んでおく。 「せっかくだし新しい時計用ゆっくりを調達するかな・・・。」 彼は人々からは『痙攣鬼異惨』と呼ばれていた。数少ないSランク所持者であり、政府からその腕を認められ 現在は『ゆ虐七連星』の1人となっている。呼び名の通りゆっくりの痙攣する姿が好きで好きで堪らないという、 ちょっと変わった趣向をを持つ人物だ。 「そうだ・・・。その前に生徒のレポートの評価しないと・・・。はぁ・・・。」 彼の仕事は某大学の教授である。最近出来たゆっくりについて調べる学部の教授であり、彼の講義にはいつも 溢れる程生徒が集まると言われている。 午前11時、ようやく解放された鬼異惨は近所にある森に足を運んでいた。基本ここに人は立ち入れず、 そのせいかゆっくり共がわんさか溢れている。 「ゆ!?にんげんさんだよ!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆ~?にんげんさんをみるのははじめてだよ!とってもおおきいね!」 「むきゅ!にんげんさんがここにくるなんておどろきね!」 森に入るとどこからかゆっくりたちの声が聞こえてくる。もう少し警戒心を持った方がいいと思いつつ、鬼異惨は足を進める。 この辺のゆっくりは特に天敵が存在しないため実にゆっくりしており、野生に生きる動物(?)にあるまじき生活を送っている。 そこらを見るとれいむとまりさの家族が子供を連れて散歩をしていたり、大勢で集まって歌を歌っていたり、 みょんが卑猥な単語を連発してありすをレイパー化させたり・・・。本当にやりたい放題やっている感じがする。 ゆっくりからすればここは最高のゆっくりプレイスなのだろう。だがその楽園を鬼異惨は崩さねばならない・・・。 1週間前・・・ 鬼異惨は森の管理人である政府の役人と対談していた。 「あの森はゆっくりの生態を調べるために手つかずの状態にしてあるのだが、最近調査員を派遣したところ・・・。」 「どうだったんですか?」 「ゆっくりの数が異常に膨れ上がっていたのだ。恐ろしい繁殖力でね・・・あのゆっくりとかいう奴らは謎だらけだ・・・。」 「・・・で、私にどうしろとおっしゃるんですか・・・?」 「うむ、もしこれ以上増え続ければ奴らは森の食料を食い尽くし、森の外に出てきてしまうかも知れん。奴らはあの森を ゆっくりプレイスとか言って滞在しているが、いつ外に出て人間に危害を加えるか分かったものではない。 そこで、君に森のゆっくりの駆除を頼みたい・・・。数を適正にして欲しいのだ。」 「・・・腑に落ちませんね。わざわざ私に頼まずとも、適当に役員を動員して駆除すればいいじゃないですか。何故私に・・・?」 「君は森の近くに住んでいるみたいだし、正直ゆっくりのことを我々はよく知らないのだ。ゆ虐七連星である君に頼むのが 一番賢明だと思ってね・・・。もちろん報酬は払う。引き受けてくれないかね・・・?」 そして現在に至るという訳だ。任務とは『適当に数を減らし、尚且つ人間が恐ろしい存在であることを認識させる』ことだったのだ。 「・・・まあ頼られることは良いことだ。それに大量のゆっくりを痙攣させて痙攣大合唱をさせてみるのも面白いかも・・・。」 「ゆ~・・・。にんげんしゃん!ゆっきゅちしちぇいっちぇね!!!」 「何だ赤ゆじゃないか・・・。赤ゆが昼間から外にいるとか・・・どんだけ警戒心無いんだ・・・。」 鬼異惨は呆れつつも切り株に座り、駆除の方法を考えた。何も全滅させる必要は無いのだ。それに歩き回って潰していくのも非合理的だ。 何か有効な作戦は・・・。ひたすら考えた・・・。とにかく考えた。考えたが、雑音のせいで気が散ってしまった。 「ぴゅきゅ~!にんげんしゃん!むしちにゃいじぇね!!!れいみゅとあちょんでね!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり・・・。」 鬼異惨は赤れいむを左手でそっと持ち上げ、そして潰れない程度に握り絞めた。赤れいむは苦しそうにもがいたが当然逃げられない。 「ゆぎゅぎゅ・・・。ぐりゅじいよぉぉぉ・・・。はにゃちてぇぇぇぇぇぇぇ~・・・!」 「心配いらないよ。今ゆっくりさせてあげるからね・・・。」 すると鬼異惨はポケットから小さい注射器のような物を取り出した。これはゆっくりの中身を吸い出す道具だ。すぐさま赤れいむの後頭部に突き刺す。 「ゆぎゅっ!!?いぢゃいっいぢゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!ゆぎゃびびびびびびび・・・!!!」 あっという間に注射器に餡子を吸い取られ、奇声を響かせる赤れいむ。中身を半分程抜き取ったと判断した鬼異惨はそっと注射器を引き抜き、 切り株に赤れいむをそっと置いた。 「ゆ゛っ゛!!ゆ゛っ゛!!!」 「やっぱり赤ゆじゃつまらないな・・・。でもどうだ?ゆっくりできただろう?ゆっくりは痙攣してる姿が一番美しいと思うんだ。」 「ゆ゛っ゛・・・!ゆ゛っ゛・・・!!」 「痙攣によってリズム良く震えながら呻いて、徐々に声と動きが小さくなって、最後は静かに動かなくなって静寂に包まれる・・・。 私はゆっくりの痙攣を一種の芸術だと思うんだ。周りはあまり理解してくれないけどね・・・。」 「ゆ゛っ゛・・・・・・。」 「はぁ・・・。もう動かなくなってしまった・・・。この儚さがまた心に響くんだけど・・・。さて、任務を実行しないと・・・。」 鬼異惨は平和ボケしたゆっくりたちを見て嘆いた。ゆっくりは進化こそしないが退化ならいくらでもする存在だ。 天敵もいないこの森のゆっくりは確かにゆっくりしているが、守るべき赤ゆを放置しておくなんて・・・親は何をやってるんだ・・・。 「私には関係無いか・・・。よし、設置完了だ・・・。」 鬼異惨は背中のバッグから大量のゆっくりフード(毒入り、ゆっくりにだけ効果有り)を取り出し、周辺にばら撒いたのである。 そしてわざとらしく叫んだ・・・。 「すぅ~・・・。・・・わぁ!!うっかり食べ物を落としてしまった!!!仕方ない、放っておこう!!!あ~あ、おいしいのに勿体無いなぁ~!!!!」 叫んだ後はすぐにそこから離れ、木の裏から様子を見た・・・。叫んでから5秒でゆっくりたちがめちゃくちゃ集まった・・・。 「ゆっ!おいしそうなにおいがするよ!!!にんげんさんがおとしたんだね!!!」 「もったいないからまりさたちでたべるんだぜ!!む~しゃむ~しゃ・・・しししししし・・・しあわせぇぇぇぇぇ!!!!」 「むきゅ~!!!こんなおいしいものたべたことないわ!!!」 「むぐむぐ・・・!なかなかとかいはなあじね!!!とくべつにたくさんたべてあげるわ!!!」 「さぁおちびちゃんたちもむ~しゃむ~しゃしようね!!・・・ゆ?ひとりたりないきがするよ?」 「きのしぇいだよ!まりしゃはやくむ~ちゃむ~ちゃちたいよ!!!」 「ゆゆ!!そうだね!!!みんなでいっぱいむ~しゃむ~しゃしようね!!!」 「わかるよ・・・わかるよー・・・おいしすぎてなみだがでるよー・・・。」 「ちーんぽ!まら!!!」 どうやら大盛況のようだ。にしてもあの親ゆひどいな・・・。多分さっきの赤ゆのことなんだろうけど・・・。すぐ近くにいるのに気付かないとは・・・。 そう、鬼異惨が虐待派なのはゆっくりが無知で愚かで見てるだけで気分が悪くなるからだ。理解できない行動や習性が鬼異惨をイライラさせているのだ。 だがそんな鬼異惨も痙攣してるゆっくりだけは大好きだ。あらゆる欲望や邪念を払拭し、一定のリズムで痙攣するゆっくりはとても規則正しく、 鬼異惨の心を癒した。痙攣してるゆっくりこそ、真にゆっくりしてるゆっくりなんだと信じて疑わなかった。そして数分後・・・。 「そろそろかな・・・。録音機セットして・・・。ワクワク・・・。」 「ゆふ~!おなかいっぱいだよ!!!おうちにかえろ・・・ゆぎ・・・?」 「ゆぐ?なんか・・・なんかおかしいよ・・・?ぐるじ・・・?いだい・・・?」 「ゆぐ・・・ゆげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!エレエレエレエレ・・・。」 「むぎゅぶべっ!!!!」 「おがーじゃ・・・ぐるじ・・・ゆぶふひぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」 「でいぶのあがぢゃんどうじで・・・ゆげへぇぇっ!!!」 「あんこさんでないで・・・ゆえぇぇぇぇぇぇ・・・!!!」 「わがらない・・・よ・・・にゃげげげげげげっっっ!!!」 「ちちちちちんぽぽぽぽぽぽぽぽぽ・・・!!!!」 効果が出てきた・・・。この毒はゆっくりの中身を吐き出させる効果がある。毒の量は調整してあり、中身を全て吐かないようにしていた。 もちろんその目的とは・・・。 「ゆ゛っ゛・・・!ゆぐ・・・ゆぐぐ・・・!!!」 「あ・・・ぎ・・・ゆぐ・・・っ!!!!」 「・・・おお、来るぞ来るぞ・・・!ドキドキ・・・!!!」 そして一瞬の間の後・・・ゆっくりたちは一斉に白目を剥き始め・・・ 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・。」 「ゆ゛っ゛っ!!!ゆ゛っ゛っ っ!!!!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛・・・!!」 痙攣を始めた。 「よっしゃ、キターーーーーー!!!!!!!!!急いで録音しなきゃ・・・!!!」 いつもの知性を捨て、子供のようにはしゃぎ、その後すぐに黙って痙攣音に耳を傾けた・・・。 ゆっくりが次から次へと痙攣していき、たちまち森の中はゆっくりたちの痙攣音で埋め尽くされた・・・。 鬼異惨は幸せのど真ん中にいる気分になった。 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・。」 「むぎゅっむぎゅっむぎゅっむぎゅ・・・っ!!!!」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・!!!!」 「みんなゆっぐりじで・・・ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・!」 「どぼじでこんな・・・ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・。」 「わぎゃりゃな・・・い・・・ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・!!」 次々と痙攣していくゆっくりたち。まさに痙攣音による合唱だ。 「・・・・・・(下手くそな歌よりこっちの方がよっぽど素敵じゃないか・・・)。」 録音中なのでしゃべらずじっとゆっくりの痙攣する姿を目に焼き付けた・・・。少なくとも50匹・・・ひょっとしたら100匹はいるかも・・・。 こんな光景滅多に見れないので、鬼異惨はかつて無い程興奮しry『ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛』 痙攣の大合唱は10分足らずで終了し、辺りにはただの餡子やらクリームやらが散乱していた・・・。 だが鬼異惨にとってこの10分は今までの人生の中で最も素晴らしく、充実した時間だった。鬼異惨はそっと近づいてみる・・・。 するとほんの一部、まだ生きているゆっくりがいた。鬼異惨に擦り寄り、弱った声で助けを求めてきた・・・。 「ゆ・・・にんげ・・・ん・・・さん・・・。れいむ・・・を・・・たす・・・。」 「悪いね。痙攣してないゆっくりには興味が無いんだ。じゃあね。」 鬼異惨はずりずりと寄って来るゆっくりを跳ねのけさっさと森の入口の所へ歩いて行ってしまった。もう満足したのでここに用は無いのだ。 「あの散らばった中身を食ったゆっくりも2次被害を受けるし・・・。だいぶ数を減らせるだろう・・・。任務完了・・・。」 鬼異惨の目論み通り、森のゆっくりの人口・・・もとい、ゆん口は7割近く減少した。吐いた中身を他のゆっくりが食べ、毒に侵され・・・ それを延々と続けた結果がこれという訳だ。警戒心どころか食品への疑念も失っていたらしい。まさに愚の骨頂である。 報告書にはこう記しておいた・・・。 『森の周辺にバリケードを設置し外と隔絶すべきです。奴らは人間を恐ろしい存在だと認識できる程の知能もありません。 あとれみりゃも数匹森に開放してみてはいかがでしょう?生態をより詳しく正確に調べられますし、 何より自然に数を適正に保てるようになるでしょう。』 鬼異惨は任務から解放された。これからは趣味の時間だ。イヤホンと装着し、さっき録音した痙攣大合唱を早速聞いた。 これがあれば目覚ましゆっくりなどいらない。朝起きたい時間にこれを流せばいいのだから。きっと気持ち良く目覚められるだろう。 それから一週間後、どうやら鬼異惨の指摘した通りバリケードで森を隔絶し、れみりゃを放ち、さらに監視カメラも設置したらしい。 ゆっくりたちの楽園・・・ゆっくりプレイス・・・。だがそう思っているのはわずかに生き残った運の良い、そして愚かなゆっくりだけだ。 そこはもう楽園でも何でも無く、ただ人間が研究・調査のために使う実験施設となったのだ。 どうせまたゆっくりは数を増やし、また森はゆっくりで溢れるだろう・・・。だがその頃になれば放たれたれみりゃたちも増えているはず・・・。 何の苦労も無く暮らしてきたゆっくりたちが、果たしてその時生き残れるだろうか?ゆっくりたちの運命は如何に・・・。 だが鬼異惨にとってはそんなことどうでも良かった。例の痙攣大合唱を知り合いの虐待鬼意山に聞かせたらすごく喜んでくれた。 何だか同じ趣味を共有できたみたいで鬼異惨の心は癒された。あのゆっくりたちの死は決して無駄では無かったのである。 「おはよう。早速講義を始めるぞ。今日の講義は・・・。」 今日も鬼異惨は多くの未来ある若者に教えを授けていく・・・。次の日曜日を楽しみに待ちながら・・・。 Fin・・・ 補足 Sランクとかって? 政府が定めたゆっくりに関する検定の称号のこと。ゆっくりを潰して遊ぶ人間が増えたことで暴力的な性格になることを危惧した政府が 定めた。D~Sまであり、漢検や英検のような試験を行い、合格すれば授与できる。 できること・・・ゆっくりの駆除、販売目的でのブリーダーとしての飼育など・・・持ってないのにゆっくりを殺すと罰金が科せられてしまう。 ランクが上がると手を出せるゆっくりの種類が増えていく。持ってない場合は殺さず捕らえ加工場に送れば良い。 Sランクは一部の超上級者しか合格できない程難しい。Sランクの者はゆっくりに関する商売を好きなだけ行える。 ゆ虐七連星って? Sランクの中で、特に政府にその力を認められた者だけで構成される特殊チーム。名前通り7人の猛者で構築されている。 彼らは政府から直接ゆっくりに関する問題や事件を任せられる程の存在であり、その権力は大物政治家に匹敵する。 過去に書いた作品 2517 ちぇんマー投げ 2526 ゆンペルダウン このSSに感想をつける